半年ほど前、義父が交通事故に遭い、大けがを負ってしまいました。いろいろと手を尽くしてもらったものの、足が不自由になってしまい要介護となってしまったのです。
義父は、私のよき理解者で、義母に嫁いびりをされていると助けてくれて、娘のことも溺愛してくれます。そんな義父のためならと、私は自宅での介護を決意しました。
わがまま放題の義母と夫
私はパートで働きながら、家事と育児に加えて介護までやるようになったのですが、義母と夫は手伝おうともせず、私にいろいろと指示を出すだけでゴロゴロするのが当たり前の生活です。
もともとあまり期待はしていなかったので、私自身はそこまでつらいと思うことはありませんでした。しかし、私ばかりに負担がかかることを義父は相当気にしているようで、毎日のように「すまないね……」と繰り返すように。
私は正直、義母と夫とはもう一緒に暮らしたくないと思っていたものの、義父をひとりで置いていく勇気がなく、義母や夫へのイライラは募るばかりでした。
無責任すぎる夫の衝撃発言
ある朝、いつもなら起きてくる時間だというのに、夫がいつまで経っても起きてきませんでした。私は仕事に間に合わなくなってしまうと心配して夫を起こしに寝室へ。
大いびきで寝ていた夫に声をかけると「昨日、会社を辞めてきたから、もう早起きする必要ないんだ」と言うのです。理由は、オフィスの移転が決まり自宅から遠くなるから。通勤が難しいほど遠くなるのかと聞くと、今までより15分ほど通勤時間が長くなる程度でした……。
夫は、次の仕事はまだ決まっていない、ゆっくり探すと言います。しかし、私達には進学を控える娘もいるため、そんなに悠長なことは言っていられません。
それなら、私がパートからフルタイムに切り替えるから、夫には介護をお願いしたいと言うと「介護は嫁の仕事だ!」と頑なに拒否……。あまりにも勝手な夫に、私は呆れかえってしまいました。
すると、そんなやりとりを聞いていた義父が、ある提案をしてくれたのです!
義父のやさしさに甘えて私は…
数日後、義父は自分のお世話をさせるため、家でゴロゴロしている夫を呼びました。「介護は嫁の仕事なんだから、俺を呼ぶなよ……」とつぶやく夫に、「嫁はいなくなるんだから、お前がやるしかないだろう」と言う義父。
その言葉を聞いた夫は、わけがわからないといった表情で私の顔を見てきます。そこで私は、結婚するときに、義父に預けていたサイン済みの離婚届を突きつけ、提出すると伝えました。
結婚が決まったとき、いきなり同居することになった私を気遣い、義父が私のタイミングでいつでも離婚できるようにと、記入済みの離婚届を預かってくれていたのです。そのとき、私の一方的な意思でも、夫は文句を言わないと約束し、文書にも残していました。
あまりにも前のことすぎて私はすっかりその存在を忘れていたのですが、義父はしっかり覚えていたようで、今こそそれを使うべきだと提案してくれたのです。
私自身、義父の介護が嫌なわけではありませんが、このまま義母と夫からこき使われる生活は耐えられないと思ったので、ありがたく義父の提案に乗っかることにしました。
意外にも夫は、離婚をあっさり受け入れ、「だったら子どもを連れて早く出て行け」と私と娘を追い出しました。こうして赤の他人となった私は、娘と実家に戻ることに。仕事に育児に介護にと、忙しい日々が続いていたので、しばらくは娘とゆっくり過ごそうと思います。
気がかりだった義父の介護も、義父から毎日細かい要求をされてウンザリしながらも、義母と夫が協力しながらなんとか介護をするようになったと聞いて、ホッとしました。
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介護は嫁の仕事だと押し付け、身勝手な理由で仕事を辞めてしまった夫。離婚を告げられても勝手にしろと言うような態度でしたが、妻の支えを失う苦労が想像できていなかったのかもしれませんね。義父の介護と、新しい職探しと、この先大変な思いをすることで、自分の行ないを反省してほしいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。