硬派かと思いきやかわいい一面がある祖父
私の実家では、戦前からずっと猫と生活を共にしています。それは令和の現在も変わらず、実家と電話をした際には、電話口から猫のかわいい声も一緒に聞こえます。
今はもう亡くなってしまった私の祖父は、昔気質な頑固で無口な人ではあったのですが、実は甘いものと猫が大好きというお茶目な人。家族に隠れてこっそりとスイーツを食べたり、家族に見えないところで「猫なで声」で猫をかわいがったりしていました。もっとも、これらの祖父の行動は家族にバレていたため「みんなが知っている秘密」という扱いをされていました。
旅行の前日にまさかの発熱
今からおよそ50年ほど前、そんな祖父が30代の働き盛りだったころの話です。私から見ると曽祖母である、祖父の母が当時の定年である55歳を迎え、記念にと家族水いらずの旅行を計画していました。
しかし、そんな旅行へ出発する前日に祖父が熱を出してしまいました。キャンセルをするのにも宿泊先にご迷惑がかかってしまうタイミングでの出来事でした。そのため、素人判断で風邪だろうと見立てた祖父と家族は、念のために祖父抜きで旅行へ向かうことにしました。
またそのころ、家には今にも出産を控えた三毛猫がいました。
祖父を抜きにして旅行に出かけた家族でしたが、やはり祖父のことが心配で旅行を楽しむ気にはなれませんでした。宿の方に心から謝罪をし、当初の予定を切り上げて一泊二日で帰路に着くことにしました。
帰宅した家族が見たものは、熱が上がり苦しむ祖父の姿でした。祖父は昔気質な人であったためか「我慢は美徳」と強く考えるタイプです。そのため、めったなことで自身が痛かったり苦しかったりすることを言葉や態度に出す人ではありませんでした。
そんな祖父がそこまで苦しむ姿に驚いた家族が、祖父を緊急で病院に連れて行ったところ、医師から「急性髄膜炎(きゅうせいずいまくえん/脳を覆う髄膜に急速に進行する炎症が生じる病気)」であると診断されました。併せて「現在、非常に危険な状態である」「もし助かったとしても、後遺症で目が見えなくなるか、手が不自由になるか。どちらかは覚悟してほしい」とも告げられました。
絶望の中、猫が出産
あまりにも絶望的な医師のひと言で家の中は落胆の空気でいっぱいになりました。いろいろな心配や不安がせきを切ったようにあふれる中、以前から出産を控えていた三毛猫がいよいよ産気づき始めました。
出産の様子が落ちついた後に家族がお産箱の中を見てみると、子猫の中の1匹が明らかにおかしい様子であることに気が付きました。まるで両目は小豆のようで、両前足がなえた状態の子猫がいたのです。家族の懸命な介抱のかいもなく、その子猫は生後2日ほどで亡くなってしまいました。
時期を同じくして、祖父はみるみると回復していき、なんと心配されていた後遺症も何一つ現れませんでした。祖父の担当医からは「奇跡的だ」とも言われました。
このとき家族は、医師が予告した祖父の症状と、子猫の状態があまりにも一致していることに気付きました。「目が見えなくなるか、手が不自由になるか」という医師から告げられた言葉と、「両目が小豆のようで、両前足がなえた状態で生まれ、死んでしまった子猫」のことを何度も交互に繰り返しては思い返し、子猫が身代わりになってくれたと感じ、祈りを捧げたと聞いています。
その後の祖父は私の知っている通り、晩年まで元気に過ごし天寿を全うしました。
まとめ
昔から猫に関する言い伝えは「猫は九つの命を持つ」などミステリアスなものが多いように思います。
決して「見返りを望む」という意味合いではありませんが、人にも動物にも思いやりややさしさを持ち、少なくても恨みを買うようなことは絶対にせず、日々過ごしていこうと改めて思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年2月)
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