不妊治療といってもさまざまですが、わが家の場合は精子が少なく、運動能力も低いため妊娠に至らないという男性不妊でした。その診断を受けた日から二度の体外受精を経て妊娠し、産婦人科へ転院するまでの流れと、かかった金額を振り返ってみました。
初めて生殖補助医療専門クリニックへ
私が結婚したのが32歳のとき。結婚してから2年経っても妊娠しなかったため、生殖補助医療専門クリニックへ夫と2人で行きました。夫は躊躇しているような様子も見られましたが、子どもを欲しがっていただけに、行こうと決めたらすぐに都合をつけて2人で出かけることができました。
まずは、受診後すぐに検査可能な精子の検査をして、後日私に関する検査を2カ月間にわたっておこないました。結果、私には異常がなかったのですが、夫の精子が少なく運動能力も低いとの診断。体外受精に進んだほうがいいと医師から言われました。そしてすぐに、体外受精に向けて準備が始まりました。
採卵から移植まで
一度目の採卵で採れた卵子は1個。これを体外受精させて胚盤胞まで育ててから凍結し、子宮の状態を良くしてから子宮に戻しました。採卵前のホルモン調整の薬、採卵から凍結、薬代や血液検査などの通院を含めてここまで約19万円、続けて1カ月後の胚盤胞移植に向けてのエコーや血液検査など約8回の通院と薬代、移植当日の凍結胚融解、胚盤胞移植に約25万円かかりました。
結局このときは妊娠しませんでした。ちなみに私たちは顕微受精ではなく体外受精でした。
二度目の採卵から移植、妊娠確定して転院
基本的に1回目のときと同じ金額ですが、2回目は3個採卵でき、3個とも受精卵から胚盤胞に育って凍結できました。私たちが通ったクリニックでは、凍結と培養は1個につき何万円という計算だったため、この点では3倍の金額になりました。移植についても金額は同じでしたが、このときは妊娠判定が陽性だったため、妊娠継続のための薬や注射代で約32万円かかりました。そして、赤ちゃんの心拍が確認されたタイミングで別の産婦人科へ転院になりました。
最終的に妊娠確定後に産婦人科へ転院するまで、約140万円かかりました。細かい金額表は事前にもらっていましたが、不妊治療が初めての私たちにとっては、想定外の出費のほうが多かったように感じました。特に私たちの場合は、妊娠判定後の通院と薬代がまったくの想定外でした。
病院によって計算方法や金額は違うと思いますが、不妊治療は経済的にもけっして簡単なものではないと痛感しました。
著者:小渕 菜々
2歳の女の子の母。長い妊活からの妊娠、4日間にわたる陣痛促進剤投与の末の帝王切開、様々な体調不良に見舞われながらの育児など、波乱万丈の産前産後についての記事を執筆している。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。