帰ってきて半年も経つのに、毎日地元の友だちと遊んでばかりで一向に店を手伝おうとしない妹。生活費も入れないし、家事すら手伝ってくれません。
私が「手伝ってよ!」といくら言っても、「求職中の今ぐらい、ゆっくりリフレッシュしてもいいじゃん!」「お姉ちゃんはうるさいなぁ」「おしゃれの最先端、東京でアパレルやってたこの私が古臭い中華屋の店員なんて無理だから!」と聞かない妹。
そして、いつも「あ!友だちからお誘いのメッセージが来ちゃった!」「というわけでごめーん!今日もお店、手伝えないわ!」と逃げるのです。
妹に振り回されているのは私だけではありませんでした。両親も頭を悩ませていたのです。しかし、私の夫だけは違ったようで……?
やけに距離の近い夫と妹
店の営業終了後、私は夫に「今日も一日お疲れさま!それと……本当にごめんね、妹のことでも迷惑かけてばっかりで」と声をかけました。すると、「え?なんで謝るんだよ?」と夫。
「だって、あの子ったら急に実家に帰ってきて……ただでさえ嫁の実家暮らしで気を遣ってるだろうに妹まで増えて申し訳なくって」「それにあの子、お店のことまったく手伝わないし」
すると、夫は「いやいや、俺は全然平気だよ」と笑って首を横に振りました。「君もご両親も逆に俺を気遣ってくれてるし、妹さんがいると店の雰囲気も明るくなっていいじゃん?」「裏では結構がんばってくれてるよ?この前なんか、俺の休憩中に『毎日、厨房で立ちっぱなしだと疲れますよね』って差し入れくれたし、肩も揉んでくれたんだよね!」と夫。
私の前ではあんな態度を取っていた妹が、夫の前だけでいい顔をしているなんて……。「いつの間に、妹とそこまで仲良くなったの?」と聞くと、「いやぁ、自然と……かな?今度の日曜日も、一緒に買い物に行くことになってるし」と答えた夫。
出かけるなんて話、私はまったく聞いていませんでした。「まさか2人で!?」と聞くと、「そうだけど、なんかダメだった?」「日ごろのマッサージのお礼に、俺が運転手兼付き添いで引き受けたんだよね」と夫はサラッとした回答。
「そういうのって普通、私も誘うものなんじゃないの……?」と尋ねると、夫は「あくまでお礼だから!やましいことなんて何もないよ」と言ったのでした。
実家でのありえない不倫
2カ月後――。
妹があらたまったように「お姉ちゃん、もう私、つらくて隠せない……」と話しかけてきました。
「実は、お姉ちゃんの旦那さんと私、本気で愛し合ってるの……!」「だから、お願い!今すぐ離婚して!!」「彼も私も、もうこの熱い想いを抑えられないの!」
なんと、妹と夫は、私と両親が暮らしているこの家の中で不倫していたというのです!「これは不倫じゃないの!純愛なの!運命的な出会いなの!」と言われても、2人がやったことは不倫です。私は呆れてため息をつきました。
しかし、妹の勢いは止まりませんでした。
「それにね、彼、やっぱり同居に苦労してたみたい……」「『こんなボロい中華屋、本当はもうやりたくない』って私によく愚痴ってるから……この古臭い中華屋は閉店!そして、和風カフェに生まれ変わるのよ!」「オーナーは彼で、私がプロデュース担当なんだから!」
呆れ果てた私は「両親になんて言うつもり?『婿が嫁の妹と不倫して、店も乗っ取ります』って言うの?」と聞きました。すると、「乗っ取られて当然なのよ、こんな店!」「インスタ映えするカフェにして、若い女の子を呼び込んで……原価10円のドリンクを1,000円で売って荒稼ぎするんだから!」と妹。
「私がお姉ちゃんの旦那さんと再婚して、この実家の店を生まれ変わらせるの」
「私たちもう愛し合ってるんだからさ。離婚して早く出て行って!」
「出て行くのは私じゃないと思うけど?」
「は?」
ずさんな略奪計画を立てた妹と夫の末路
「あんたたちの浮気なんてとっくに気づいてたわよ。私も、両親もね」「普通に家の前の駐車場で抱き合ってるし……2階の私の部屋からばっちり見えたから、証拠写真も撮ってあるわ」「両親も『お前が我慢する必要なんてない、店のことは心配しなくていいから思うようにしなさい』ってはっきり言ってくれてるし」
両親が私の味方であることを知った途端、「え!?じゃあまさか……お父さんたち、私たちを追い出すつもりなの……?」と焦り出した妹。
「そりゃそうでしょ、『妹が姉の夫を寝取るなんてけしからん!』『しかも今は無職で同居させてもらってる分際で……恥を知れ』ってブチギレてたわよ」と言うと、妹は真っ青に。
「お姉ちゃんが素直に諦めて、実家から出て行って、戦力がいなくなって……両親も私たちに頼るしかないと思ってたのに……」「私たちのお店改装計画にお父さんの許可が必要なのに……」とブツブツ言い出した妹は、「許可はまだもらえてないけど、既成事実を作れば押し切れるって思ってたのに……」と、思わず本音も漏らしました。私はすかさず、「実家を利用しようとしてんじゃないわよ。どうしてもお店をやりたいなら、イチから2人でやればいいじゃない」と言い放ちました。
「そ、そうよね!私と彼でイチから始めればいいのよね!」「それで絶対に街一番の人気店にするんだから!こんな中華屋なんて潰して、2号店も出す予定なんだからね!」と勢いを取り戻した妹に、「私への慰謝料の支払いもあるから、がんばってね」と声をかけた私。
「え……?慰謝料……?」「家族なのに、そんなお金、請求するの……?」とまた顔色を悪くした妹に、「請求金額は弁護士を通して送るから、楽しみにしててね」とだけ言って私は自室に帰りました。
その後――。
私と夫はもちろん離婚。元夫と妹はさまざまな銀行に融資のお願いに行ったそうですが、事業計画書の段階で「素人すぎる」と門前払いを食らったそう。融資の前に物件や調理器具のリース会社も契約してしまったらしく、契約金はそのまま2人の借金に。
2人からお金の無心をされましたが、私も両親も断固拒否。結局2人は東京に行き、バイトを掛け持ちして借金返済に追われているそうです。
一方、わが家は『行列のできる町中華』として地元誌に掲載。さらに、本格中華料理屋で修業していた若手イケメンが元夫の代わりに入ったことで、女性からの人気もうなぎのぼり!
両親が40年間続けてきた中華料理屋が連日大盛況で、私もうれしくてたまりません。これからも両親をサポートしながら、ますます店を盛り立てていきたいと思っています!
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。