反抗的な妹に苦労
母は長女である私に、「ちょっと聞いて、あの子がひどいのよ~」と嘆いてきました。実家に残って母と2人暮らしをしている妹が、いつもグチグチと口うるさく反抗的で、アルバイトをしているのに家にお金を入れないというのです。
婚約者が地方に転勤することが決まった私は、心配しながらも母にそのことを伝えました。「私もついていくから、これからはすぐに実家に帰れなくなる。あの子にはあの子なりの考えがあるはずだから、お母さんも寄り添ってあげて。母娘で仲良くしてよ」となだめました。
しかし、あまりに母が落胆するので、その決心も揺らいでしまいました。妹との電話中に、「やっぱり私、こっちに残ろうかな……」とつぶやくと、妹は急に声を荒らげたのです。
「お姉ちゃんはさっさと結婚してよその家に入るんでしょ。私が何のためにこの家に残っていると思うの! 庭付き一軒家を相続するためだよ。そのうちお母さんも介護になる。そうしたらどこかホームに入れて、私がこの家を実質的に独占するんだから!」と宣言されてしまいました。
急な展開に
実の妹とわかり合えないことに気落ちしつつ、引っ越しの準備をしていたある日。突然、母が外出先で倒れて意識不明の重体になり、そのまま帰らぬ人となってしまったのです……。
姉妹2人でバタバタとお葬式や書類の手続きなどをすませ、ようやく初七日が過ぎました。私は、ずっと冷静でテキパキと行動していた妹に、感謝をするためにメッセージを送ると……。
「ほんとに急だったね」
「お母さんにもう会えないなんて信じたくないよ…」
「やっといなくなった」
「え?」
すると妹は、とんでもない返信をしてきたのです。「これでもう、あの人にはもう二度と会わなくてすむ……」と。それはまるで母の死を喜んでいるよう。私は慌てて妹に電話をかけ、「どういう意味よ、いくら何でもひどいんじゃ?」と問いました。
すると妹は、「喜んでいるわけじゃない、それなりに悲しい気持ちはある。でも、解放されたと思うと肩の荷が下りた感じがしてさ……」とつぶやくではありませんか。
本当のことを知り
私がなおも問いただすと、初めは渋っていた妹が、母との確執についてゆっくり話しだしました。
実は母が、ホストに散財し3000万円の借金を抱えていたこと。私が家を出てから、仕送りは母が管理し、高校生の妹が自由に使えるお金はなく、進学も諦めたこと。アルバイトを始めても母がほとんど横取りしていたこと。さらに、私の婚約者にも母がお金を無心しようとしたこと。それを知った妹が、私を母から守るため、あえて冷たく突き放したこと……。
「お姉ちゃんはやさしいから、一度搾取される立場になったら、一生たかられて逃げられなくなる。私と違ってお母さんに反抗できないでしょ」
そう。妹は、私の転勤や婚約を願って自分が犠牲になる道を選んでいたのです。
その後、私たち姉妹は相続を放棄し、実家は失いましたが母の借金も背負わずに済みました。妹は専門学校へ入学。進学費用は私の貯金から出しました。努力を重ねて国家資格を取得し、今は安定した職業に就いています。
そして私は婚約者と結婚し、転勤先に引っ越しました。妹も私を追ってきて、そこで運命の出会いをし、ゴールイン。今も姉妹仲は良く、年に1度、姉妹で旅行するほどです。すべてを犠牲にして私を守ろうとしてくれた妹を、私は一生大事にします。
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「問題児」だったのは妹ではなく、実は母親だったのですね。ずっと姉のことをかばって、一手に悪役を引き受けていたとは、姉妹の深い絆を感じます。 妹への誤解が解けてよかったです。これからは姉妹仲良く助け合っていけそうですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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