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「あんたの旦那うちにお泊りしてたの♡」略奪婚を狙う幼なじみに「ちょっと笑えるんだけど」真実を知った彼女は…

お気に入りのカフェで、ひとりランチをしていた私。そこに偶然、私の幼なじみがいたのです。私の姿に気づくと、「え~! 偶然~! 久しぶり~!」と近づいてきた幼なじみ。彼女は私の左手の薬指の指輪に視線をやり、「えっ、結婚してたの!?」と言ってきたのです……。

「なんで教えてくれなかったの? 高校のとき私が彼氏をとっちゃったこと、まだ気にしてるの?」「でもさ、幼なじみなんだし、結婚くらい報告してくれてもよかったじゃない」と言ってきた幼なじみ。

 

その言葉に、胸の奥がチクリと痛み、不快な記憶がかすかによみがえりました。

 

 

狙いを定めた幼なじみ

小さいころから、まわりの人を見下し、振り回してきた彼女。私も何度迷惑を被ったことか……嫌な記憶がよみがえりそうになり、私は軽く頭を振りました。

 

「結婚相手、どんな人? 写真見せてよ!」と言ってきた幼なじみに、私は結婚式の写真を数枚見せました。「えっ、結婚式なんて挙げてたの!? 呼ばれてないんだけど」と言う彼女に、「……親と仕事関係の人だけの、小さな式だったから」と答えた私。

 

「幼なじみなんだから呼んでよ! どこだって駆けつけたのに! ……でも、なんでこのドレスにしたの? 旦那さんイケメンだし、私ならもっと華やかなのを選んだけど……」「まぁ、ドレスって似合う似合わないがあるもんね! これであなたは満足したんでしょ? 」と幼なじみ。まるで祝っているようには聞こえないその言葉に、私は黙り込んでしまいました。

 

そのあとも、幼なじみは「旦那さんってどんな仕事してるの?」「普段の写真見せてよ!」と私の夫について私に質問攻め。聞かれるままにぽつぽつと答えていると、だんだんと幼なじみの目の色が変わっていました。

 

一通り質問を終えたのか、幼なじみはニヤっとくちびるをゆがめ、私に向かって「ふーん、素敵な人だね」「顔もかっこいいし、いいところのスーツも着てるし……あなたにはもったいないくらいの人じゃない?」と言ったのです……。

 

その幼なじみの笑みを見て、私は「しまった! 夫の情報を話し過ぎた!」と思いました。

 

学生時代に、私が好きになった人や私の彼氏を次々に奪っていった幼なじみ。彼女はわがままでしたが、男性にはモテていました。だから、当時は仕方ない……と思っていたのです。

 

でも、もし、幼なじみが私の好きな人に狙いを定めて奪っていたのだとしたら……? 今度は夫を奪われるかもしれないと気づき、私は背筋がゾッとしたのでした。

 

 

変わっていく夫の言動

2カ月後――。

 

もともと謙虚でやさしかった夫。知り合ったばかりのころに起業したいと将来の夢を話したときも、馬鹿にせず応援してくれました。だからこそ、私も夫と結婚したいと思ったのです。

 

しかし、結婚してから夫の態度はだんだんと変わっていきました。最近はスーツや革靴を新調したり、ジムに通い出したりと、出費も外出も増えていっています。今までスキンケアなんてしたこともなかった夫が化粧水をぬっているのを見かけたとき、私は思わず声を上げてしまいました。

 

「失礼だなぁ。社会人として当然のことをやってるだけだろ」という夫の言葉に、そうだけど……と納得しかけた私。ただ、それにしても、やけに最近外見にばかり気を配っている夫の姿に疑いの気持ちがでてきたのです。

 

「ジムで運動するのはいいことだと思うけど……最近、スーツも靴も新調したよね? あちこち出かけてもいるみたいだし、お金は大丈夫なの……?」と聞くと、「必要な出費だから、ちゃんと考えて使ってるよ」と不満そうな夫。

 

「お前のほうが稼いでるのは事実だけど、それで俺の金の使い方に文句を言ってくるのは違うんじゃない?」「夫婦なら対等だろ? 俺だってお前のやりたいことを支えてるんだから、お前も俺のことを少しは理解してほしいよ」

 

そう言ってきた夫に、私は「ごめん……」と謝りました。たしかに、私も給料を好きなように使っています。夫だって同じように使ったっていいでしょう。でも、私の心にはもやもやが残ったままなのでした。

 

 

あてが外れた幼なじみと夫の末路

2週間後――。

 

夫はだんだんと家に帰ってきても、私にはつれない態度で、スマホばかり見るようになりました。また、泊まり込みで仕事をすると言って、帰らない日も出てきたのです。ますます夫の行動を怪しく感じてきた私。そろそろ興信所や探偵を頼むべきか……と悩んでいると、幼なじみから電話がかかってきたのです。

 

「お久しぶり~! 最近、旦那さんとはどう?」と言われ、「うん、まぁ……それなりに順調かな」と答えた私。

 

「本当? 旦那さん、家にあんまりいないんじゃない?」と幼なじみに言われて、私はドキッとしてしまいました。「なにか知ってるの……?」とおそるおそる聞いてみると、「まだわからないの?」と幼なじみ。

 

「あんたみたいに地味でつまらない女が、彼みたいなイケメン社長をどうやって捕まえたんだか……先に私と出会ってれば彼だってちゃんと幸せになれたのに」と言われて、私は目の前が真っ白になりました。

 

"やっぱり"という感覚と"まさか"という裏切りの気落ちが同時に私を襲ってきたのです。あのとき、幼なじみに聞かれるままに、夫のことを話さなければよかったという後悔も、少し遅れてやってきました。

 

ただ、幼なじみの言った「彼みたいなイケメン社長」という言葉には引っかかりました。私がどういうことか聞こうとするより先に、幼なじみが再び口を開きました。

 

「あなたの夫、最近家に帰ってないでしょ?うちにお泊りしてたってわけ♡」

「経営者だから慰謝料500万でも余裕で払うわよ。だからさっさと離婚して!」

「ひどいわ……でもちょっと笑える」

「……は?」

 

 

 

どうやら幼なじみは大きな勘違いをしているようです。夫は経営者ではありません。私が経営者で、夫は私の会社で働く一般社員です。私は幼なじみにそのことを説明しました。

 

すると「そんなわけないじゃない! 彼、『俺が会社を支えてる』『会社が回ってるのは俺のおかげ』ってことあるごとに言ってたし……。「資産だってたんまりある」って……。彼を取られたくないからって、うそつかないで!」と幼なじみ。

 

たしかに夫も会社を支えてくれているひとりではありますが、夫だけが会社を支えているわけではありません。そして彼が言う資産は、私の個人資産のことでしょう。そのことも幼なじみに伝えました。

 

「……え? それ、本当なの? ……うそでしょ……社長じゃなかったって……そんなの聞いてない……」しばらく黙り込んだ幼なじみは、動揺を隠せない様子で口を開いた。
「……じゃあ、私は……もう引くわ。こんなことになって、私だってバカだったって思ってる」と手のひらを返そうとした幼なじみを、「ちょっと待ってよ!」と私は制しました。

 

「浮気するような夫なんて、こっちから願い下げ。勝手な勘違いで人の家庭を壊そうとするあなたにも、もう関わりたくない。どうなろうと知ったことじゃないけど、慰謝料はきっちり請求させてもらうから」と声は震えていましたが、初めて幼なじみに反抗できた私。

 

「ごめんってば! 彼が社長だと思ってたから、仕事も辞めたのよ……。彼、私に夢中のようだったし。『結婚しよう』って言ってくれてたから……。でもこんな状況で慰謝料なんて払えるはずないじゃない! 彼とはうまく別れるから、なかったことにしといて!」と言って、幼なじみは勢いよく電話を切りました。

 

初めて幼なじみに反抗できて、私は過去の私が救われたように感じていました。もうあんな嫌な思いをすることはない……と思えたからです。もちろん夫に裏切られたショックはありましたが、それでもすぐに、次何をすべきかを考え始めることができました。

 

その後――。

 

 

私は夫のSNSアカウントを特定し、興信所にもお願いして夫と幼なじみの浮気の証拠を集めました。ある程度証拠が集まったところで、夫にそれを突き付けました。それと、幼なじみから連絡があったことも説明しました。

 

「……え。うそだろ? あいつ何やってんだよ」「興信所!? まじか……」さすがに証拠を目の前に並べられたからか、否定はしませんでした。ただ、予期せぬ展開に、動揺している様子の夫。

 

「だってさ、あいつは俺のこと、ちゃんとわかってくれるんだよ。お前はいつもお金のこととか、正論ばっかで、窮屈でさ……」「だからもうこんな結婚、潮時だと思ってたんだ。仕事も辞めて転職するつもりだった。慰謝料だって数百万ぐらいだろ? 財産分与で帳消しにしてくれていいよ」と開き直り始めたのです。

 

そしてためらいもせず離婚届にサインしました。その余裕ぶった態度に、私は内心「わかってないな」と思いました。ただ、夫が私と生きていくつもりがないことがわかり、もう前を向くしかないと、ふっきることができたのです。

 

私は夫に私たちの共有財産なんてほとんどないことを告げました。するとひどく動揺する夫。「は? お前の資産、数千万あるんだろ? 半分は俺のもんになるんじゃないのかよ!」

 

私は大きなため息をつきました。私のお金を散財していた夫が、あっけなく離婚届にサインしたのは、やはりとんでもない勘違いをしているからだったのだと、再確認したからです。

 

「私たち結婚してまだ1年未満……共有財産なんてほぼないのに、なにを分けるつもりだったの?」「今住んでいるマンションだって、私が独身時代に購入したものだし」「財産分与は、夫婦二人で築き上げてきた資産をわけあうものでしょ? 私たち、何も形成してないわよね。まさか私の個人資産をもらえるとでも思ってたわけ?」

 

最初はぽかんとしていた夫でしたが、徐々に顔が引きつっていきました。

 

「ちょっと待って。結婚してたんだし、財産を半分もらえるもんじゃないの? 財産分与でなんとかなると思ってたのに……。結婚してまだ1年も経ってないからって、ほとんど対象にならないって……どういうことだよ……」とうろたえる夫。

 

「マ、マンションはどうなるんだよ?」と言うので「私が独身のときに購入したものでしょ。ローンも名義も私。あなたが払ったお金は1円もありません」と丁寧に教えました。

 

「……は? 冗談だろ……。じゃあ、俺に残るもんなんて、なにもないってことかよ……」

 

あきれ返りつつ「だいたいね、浮気してたのはあなたでしょ? 裏切ったほうが、お金をもらおうなんて、虫がよすぎない? 慰謝料と相殺って、そんな都合よくいくわけないじゃない」と言うと、そのとき初めて、夫の目に焦りの色がにじみました。

 

「できるだけ早く荷物をまとめて出て行ってね」「仕事も転職するつもりだったのよね? 早めにお願いね」

 

夫はようやく自分が窮地に立たされていることを理解したようです。

 

数日後、浮気相手である幼なじみと連絡が取れなくなったそうで、とりあえず実家に身を寄せたらしい元夫。私の会社は退職したものの、転職先もまだ見つからないようです。私に連絡をしてきて「なあ……俺が間違ってたよ。許してくれ。やっぱりお前しかいないって……やり直せないか……?」とふざけたことを言ってくるように。もちろん、丁重にお断りしています。元夫は、浮気相手には逃げられ、職も住まいも失い、手元に残ったのは慰謝料の支払いだけだったのです。

 

私は幼なじみにも慰謝料を請求。逃げ回る幼なじみに「支払わないなら、あなたの実家に連絡する」と通告すると、ようやく電話がかかってきました。

 

「あんたさ、本気で行ってるの? 幼なじみじゃない、私たち」と泣き落としで私を揺さぶろうとする幼なじみ。

 

「幼なじみって、人の夫を略奪しておいてよく言えるね」と返すと「だって彼、言ってたのよ!『社長の俺が会社を動かしてる』って。まさかあんたが社長で彼が従業員だったなんて思わなかったのよ!」と声を荒げて言いました。

 

「元夫が社長だろうと、従業員だろうと、社長だと思い込んで私の夫だとわかっていて近づいたのよね? それって最低だと思うの」

 

私が淡々と言うとしばらく沈黙が続きました。

 

そして「……お願い。分割にしてもらえない? 払うから……。でもいま、仕事辞めちゃったから無職で。家賃も滞納しちゃってて……。親にも知られたくないの」

 

震える声で言う幼なじみ。もうかつての強気な姿はどこにもありませんでした。

 

「わかった。分割でも構わないわ。でも、支払わなければ次は実家に内容証明を送ります。それだけは忘れないでね」

 

自分がどれほどのことをしたのか、理解したことでしょう。

 

今思えば、彼女は私より上に立っていたいという優越感を支えに、自分の幸せを信じていたのかもしれません。けれど、本当の幸せは人と比べて得られるものではないはず。誰かを裏切ったり、踏み台にしたりした瞬間から、幸せではなくなるのだと彼女を見て感じました。慰謝料を全部受け取ったら、彼女とはきっぱり縁を切るつもりです。過去を手放して、前に進むために。私自身たくさん傷ついたけれど、ようやく自分の人生を取り戻せたような気がしています。これからは、人に振り回されず、自分らしく、落ち着いた毎日を過ごしていけたらいいなと思っています。

 

 

【取材時期:2025年4月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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