母が見えなくなると泣く娘
その日の子育てサロンには、顔なじみの親子が数組、専門学校の学生さんが実習生として2名参加されていました。そして、娘は私から少し離れて学生さんと遊んでいました。
このサロンでは、親がお手洗いに行く際は周囲の人に子どもを見ておいてもらえます。しかし、私の姿が見えなくなると娘は毎回泣いてしまうので、私はお手洗いへ行くたびに急いで用を足して戻っていました。
そして、この日も私は「お手洗いに行ってきます」とこっそり周囲に伝え、部屋を出ました。すると……。
泣き声が聞こえない…ドアを開けると!?
この日はなぜか、私が部屋を出てもお手洗いに入っても、用を足し終えてお手洗いを出ても、まったく聞こえない娘の声……。
え? 本当に? 毎回必ず聞こえていた大きな泣き声が、聞こえない!? 驚きながら部屋のドアを開けると、そこには変わらず遊んでいる娘の姿。
「すごーい!」「よく頑張りました!」「すごいね◯◯ちゃん!」「やったね!」。
拍手喝采とともに聞こえる、なじみのスタッフさんやママたちから娘への賛辞。
あぁ、スタッフさんやママたち、学生さんも、みんなで静かに娘を見守ってくれていたんだ……。娘の成長、拍手の温かさ、そして皆さんのやさしさが本当にありがたくて、つい涙腺が緩みました。
たくさんの人に見守られていた娘
その日の帰り際、この出来事が本当に印象的だった旨をスタッフさんに伝えました。
すると「初対面の実習生がママの不在を感じさせずに遊んでくれたこと、他のママたちもママの不在が伝わらないよう振る舞ってくれたこと。みんなが心の中で娘ちゃんとママのことを考えながら見守りをしてくれていた、その結果があの拍手ですね! 今日の素敵な一体感は、どこの子育てサロンでもあることじゃないですよ」とスタッフさんにそう言われ、とても幸せな気持ちで帰路に着きました。
行きつけの子育てサロンで、普段から娘の様子を見てくれているからこその拍手と賛辞。さまざまな人と支え合って育児をすることの大切さを学んだ出来事でした。
著者:吉岡 みどり/30代女性。2023年生まれの女の子のママ。さまざまな接客業を経て現在は専業主婦。音楽と本と散歩が好き。「子育ては究極の人間観察」をモットーに、日々愉快に育児中。
イラスト:あさうえさい
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年3月)