育休復帰の試練と意外な味方
上司は電話口で、「また? さすがに休みすぎ。実家に預けるとか、病児保育を利用するとか、どうにかならないの?」と怪訝そうな声。実家は遠方で預けることが難しく、またその日の病児保育は定員オーバーでした。会社の従業員は数名なので、確かに休みや早退が多いと迷惑がかかります。申し訳なくなった私は、以前お子さんを職場に連れてきていた人がいたことを思い出し、苦肉の策として、朝一に息子を病院に連れて行ったあと、職場に息子を連れて行き仕事をするのはどうかと提案してみることに。上司も、「仕事してくれるなら子連れでもいい」とのことでした。
抱っこ紐で息子を寝かせながら仕事をしていると、ある50代の女性上司の視線が。その人はいわゆるお局気質で、細かいことにも厳しく、私の苦手な存在です。そんな女性上司が怖い顔でだんだんとこちらに近づいてきました。「ちょっと、あなた?」と肩をたたかれ、私は思わずビクッとして、怒られる……と察しながら「はい……」と小さく返事をして振り返ります。すると、女性上司が怒った顔をしながら「なんでこんなところに子どもを連れて来ているのよ」とひと言。私は男性上司との一連のやりとりを伝え、連れてくるしか方法がなかったことを説明しました。すると女性上司はさらに激高し、「あなた、今すぐ帰りなさい。上には私から言っておくから」とまさかの発言。私は驚き、きょとんとしてしまいました。続けて女性上司は「子どもが熱を出すのは当たり前のことよ。そんな日はしっかり休んで看病してあげなさい。子どもにとって母親はあなたひとりなの。仕事は誰かに任せることはできるけどね。はい、では今日はここまで。帰ってね」と言ってきたのです。その後女性上司は、私に言ったのと同じことを男性上司に伝え、説得してくれたのでした。その日から女性上司は、私の中で厳しくて苦手な人ではなく、頼れる上司になったのは言うまでもありません。
息子の発熱で思うように出社ができず、職場の人に迷惑をかけているのではと不安だった私ですが、女性上司のおかげで心が軽くなりました。私と同じように育児と仕事の両立でつらい思いをしている人を見かけたら、追い詰めるような言葉をかけるのではなく、手助けできるような人でいたいと思った出来事です。
著者:谷口ひかり/30代・ライター。1歳の男の子を育てるママ。義父母との関係に悩む日々。おでかけが大好きで、息子と過ごす日々を大切にしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年3月)
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