業務を押し付けられた僕
彼女から別れを告げられた数日後の仕事中。大量に仕事を抱えていた同僚に「手伝おうか?」と声をかけると、抱えていたほとんどの業務を押し付けられてしまいました。
ちょうどこの日は、社内での親睦会があり、彼はどうしてもその会に参加したかったのだとか。というのも、社長の娘であり、わが社の多くの社員たちが憧れる女性がその親睦会に参加するからだと言います。「絶対に口説きたい」と言う同僚。2人でやればなんとか親睦会までには片付きそうでしたが、彼にその気はないようでした。
「どうせお前、失恋して暇だろw じゃ、よろしくw」と行ってしまい、僕は仕方なく業務をおこなうことに。たしかに、失恋したばかりで親睦会に参加する気分でもありませんでしたし、家に帰っても落ち込んでしまいそうなだけなので「それなら仕事をしたほうがマシか」と、僕は仕事に取り掛かることにしました。
ひとり残業をする僕の前に現れたのは…
オフィスにひとり残って作業をしていると、ひんやりとした物が背後から頬に当たる感覚がありました。驚いて振り向くと、冷たい飲み物を持って笑顔で立っていたのは……同僚が親睦会で「口説きたい」と言っていた、あの女性社員ではありませんか。
どうしてここに? 親睦会は?と思っていると、彼女は「親睦会には不参加にしたの」「参加する理由がなくなったから」と微笑みます。そして僕の業務の手伝いを申し出てくれたのです。「参加する理由がなくなった」という言葉は少し引っかかりましたが、ありがたく彼女に業務を手伝ってもらうことにしました。
そして作業を進める中で、僕は失恋したばかりであることを彼女に打ち明けました。僕の思いを聞いてくれた彼女は「あなたはやさしくて誠実だし、仕事にも一生懸命。そんなあなたの魅力に気づかないなんて、元カノさんのほうが残念ね」と言葉をかけてくれ……。僕にはもったいないくらいの励ましの言葉に、思わずドキッとしてしまいました。
彼女が急に…!?
すると、彼女も自分のことを少しずつ話してくれました。なんと彼女には「片思いしている人」がいるのだそう。しかもその人は、同じ会社で、僕と同じ部署だと言います。僕は「あなたから好意を持たれていたら、誰だってうれしくて舞い上がっちゃうと思います」と素直な思いを伝えつつも、彼女の片思いの相手が誰なのか、ということは聞けませんでした。
それからなんとか無事に業務が終了。親睦会にはギリギリ間に合いそうな時間だったので彼女に行くよう促すと……。彼女からは「よかったら、まだ話したいな。2人きりで」とまさかの言葉が。そしてグッと距離を縮めてきて「私に迫られたら迷惑? あなたもうれしい?」と大胆な質問をされたのです。
彼女が急に近づいてきて、僕は頭が真っ白になってしまいました。ただ、頭の中では、彼女からかけられた言葉を何度も繰り返し、その意味を考えていて……。
「あなたが僕に好意を抱いてくれていると、勘違いしてしまいそうです……」
そう言葉を絞りだすことしかできませんでした。すると、彼女からはまさかの言葉が。
「勘違いじゃない。私、あなたのことが好きなんです」
彼女が僕に好意を抱いている? つまり彼女が「片思いしている人がいる」と言っていたのは僕!?と、突然の連続に、心臓が高鳴り、正直、どうにかなってしまいそうでした。
仕事を押し付けてきた同僚の反応は
彼女は、僕の普段の様子を目にする中で、僕に好意を抱いてくれていたようです。親睦会も本来なら行く予定だったものの、僕がフロアでひとり仕事をしている様子を見て行くのをやめたのだとか。恋人と別れたことを知り、アプローチした――そんな胸の内を明かしてくれました。
僕自身、彼女へのイメージは、彼女に告げた「あなたから好意を持たれていたら、誰だってうれしくて舞い上がっちゃうと思います」の言葉通りでした。しかし、全社員が憧れる「高嶺の花」である彼女から好意を抱かれているなんて思ってもいなくて……。状況を理解するのに必死ながらも、なんとこの夜、僕は彼女と交際をスタートすることになったのでした。
ちなみに、彼女を狙っていた同僚にこのことを告げると、同僚からは「俺のほうが彼女にふさわしいに決まってるだろ!?」とありえないという反応が。すると彼女が「仕事を人に押し付けるような人が私にふさわしいとか冗談言わないで」とバッサリ。彼はしばらく落ち込んでいました……。
失恋した直後に、まさかこんな展開になるなんて。人生、何があるかわからないとしみじみ感じてしまいます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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