クラスの女子で呼ばれたのは、私だけ
放課後、保健室に集合したのは各クラスから数人ずつ。私のクラスからは私ひとりでした。
そんな私たちに、保健の先生から話されたのは、初潮や生理について。「学年全体の授業は5年生になってからおこないます。ただ、あなたたちは生理が早く始まるかもしれないから、先に呼びました」と先生は言ったのです。
改めてその場にいる子たちを見ると、体が大きく発育のいい子ばかり。胸がほかの子より早く膨らんできたことを気にしていた私は、「先生たちからもそういう目で見られていたんだ……」という恥ずかしさでいっぱいになってしまいました。
生理用ショーツをはいた人形
そして先生は、「生理になったら、ショーツに生理用ナプキンをつけます」と言って、保健室に置いてあった大型の人形を使って実演を始めたのです。
横たわった人形に生理用ショーツをはかせている姿は、赤ちゃんにおむつをはかせているようにしか見えませんでした。その後、「初潮がくるのは大人の女性の体になったしるし」などのポジティブな言葉が続いたのですが、お世辞にも素敵な大人の女性を想像させるものには見えない姿に、「こんなのをはかなきゃならないんなら、生理になりたくない」とも思ってしまいました。
初潮を迎えたのは授業から2年後
先生からの説明が終わったあとも、シーンと静まりかえった保健室。顔を赤らめ話を聞いていたほかの子も、私と同じような思いをしていたようです。あの「先取り授業」については、居合わせた女子生徒全員が口をつぐみ、噂になることもありませんでした。
その後、私が初潮を迎えたのは6年生の冬。個別指導?から2年後のことでした。全体での性教育の授業も終わり、何人かのクラスメイトが生理が始まっていたように思います。
大人になった今思うと、突然の生理に衝撃を受けるよりは先に知っておいたほうが心の準備ができますし、「早く説明してあげたほうがいい」と思ったのだろうと、先生たちの考えは理解できます。けれど、私としては、体型で生徒を選抜していたようにも感じて正直、複雑な思いでした。
成長する中で「生理は恥ずかしいものではない」という認識になり、今でこそ生理についてナチュラルに話すことができますが、性に関する話題はとてもデリケート。特に小学生のころならなおさらだと思います。性教育の授業は全員一緒におこなうなど、もう少し気持ちに寄り添ってもらえていたらどうなるだろう……?と考えさせられた出来事です。
著者:桐谷きこり/女性・主婦
イラスト:すうみ
監修:助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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