私はひとりで仕事ができるので!
新しく入社してきた社長令嬢のA子。彼女のあまりにも常識に欠ける態度に、私だけでなく他の社員たちも皆ドン引きしていました。
あいさつはしない、仕事を教えてもらっても集中しない、終始スマホをいじる……。内容を理解できたか聞くと、「私はひとりで仕事できるので、放っておいてください!」と豪語します。
「最低限の礼儀をわきまえて!」と注意をしたものの、「仕事を教えてなんて頼んだ覚えはないです。ネットで調べればわかりますから。取引先や顧客の前ではニコニコしていればいいんでしょ」と言って反省の様子はゼロ。あきれた私は、「あっそ。ならお望み通り全部自分で調べてね」とため息です。
そんなある日。社長がトンデモないことを言いだしました。もともと私が契約を取ってきた、Cグループとの取引を、娘のA子に一任するというのです。
私はA子のサポートにつくことになったのですが、資料の作り方を教えようとしても「横からごちゃごちゃうるさいと気が散ります!」と、聞く耳持たずでした。
私の考えは古いの?
その後も、Cグループとのやりとりなどで注意点を共有しようとするも、A子は一切無視。さらに社長からは、私がA子をいびっているのではないかと、まさかの疑惑まで持たれてしまいました。
娘から一体何を吹き込まれたのやら……。挙句に、「君のような古い考えの人間がいるから会社が大きくならない」と謎の理論を展開して、なんと私に解雇を言い渡したのです。
私のほうも、この社長にはついていけないと不信感でいっぱいに。解雇もやむなしと決意を固めました。
しかし実際に退職するまでは1カ月ほどの期間があった私。その間、せめて取引先に迷惑だけはかからないようにと、何とか他の同僚に仕事の引き継ぎをおこなっていました。そんなとき、Cグループの社長が来社したのです。
「社長、お久しぶりです。実はごあいさつしなければいけないことがあって……」
以前から顔見知りだった私が社長を待合室にご案内。退職の話も伝えなければとお茶を運んだときに、先に入室していたA子の悲鳴が響き渡りました。
資料が届いた先は…
「そ、そんなはずないですよ!」
どうやら、A子がメールで送ったはずの資料がCグループに届いていないとのこと。メール画面を開いて説明しようとしたA子ですが、社長は「このアカウントとアドレスは偽物です」とひと言。
実はこの社長はSNSで有名人。なりすましアカウントが多数あったのです。もちろん私は、A子にそのことを注意するよう散々伝えていましたが、A子はまったく聞いていなかったのです。
社長は、「わが社の情報が載った資料を第三者に送ったということですか? 外部に社内情報を漏らすだなんて、大問題ですよ?」と怒り心頭。A子のことが信用できないからと、取引も中止になりました。
その後……。A子は大手の契約を失った父親の社長から厳しく叱責され、社内での態度も厳しくチェックされるようになったのだとか。
私はといえば。不当解雇で担当を外れることになったとCグループの社長に伝えたところ、なんとヘッドハンティングを受けました。以前から見染めていてくれていたようで、かなりの好待遇で転職がかないました。
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一生懸命指導しようとしても、自分が社長令嬢だからと聞く耳を持たなかった新人A子。社会人として、上司からの指導やアドバイスは素直に聞く必要がありますよね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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