義母は予告なしで突然わが家にやってきては、開口一番、冷蔵庫を開けながらこう言います。
突然の訪問を繰り返す義母
「野菜が少ない! お魚も入ってない! あの子の好きな牛乳もないじゃないの!」
私は食品ロスをなくすために、必要な分だけを買っていると説明するのですが、義母には通じません。さらに、お菓子やフルーツなどを「これ、もらっていくわね」と言いながら勝手に持ち帰る始末。
夫も注意してくれましたが、言うことを聞いてくれるのは一時的。数日後には何事もなかったように、またわが家のインターホンが鳴るのです。
限界の一言に耐え切れず
ある日、またもや義母がアポなしでやってきて、キッチンやリビングを見回したかと思うと、「掃除も料理もやり直し! 嫁失格!」というひどい言葉を投げかけてきました。
その瞬間、私の中の何かがぷつんと切れました。
「わかりました」
そう答えて、私は小さなバッグをひとつだけ持って家を出ました。怒りよりも、心の疲れが勝っていました。
明らかになった新事実
私はすぐに夫に電話をかけ、すべてを話しました。
「さっき、またお義母さんが突然家に上がり込んで来て、“嫁失格”って言われたの。だから、家を出たよ」
電話越しの夫は静かに話を聞いてくれて、すぐに義両親と話し合いをしてくれました。その結果、義母は今後、私ひとりのときには家に来ないと約束してくれたそうです。
さらに義母の話を聞いた夫によると、義母自身が新婚当初に嫁いびりを受けていたとのこと。その悔しさが、私に向いてしまったのかもしれないというのです。
義父はその話を初めて聞いたようで、「守ってやれなくてごめんな」と、義母に謝ったそうです。
涙目で謝罪する義母に
次の週末、義母が一人でやってきました。「……話せるかしら?」インターホン越しにためらう声で言いました。
玄関を開けると義母は、静かに頭を下げて、「ごめんなさい。あなたにやさしくできなかったのは、自分の過去のせいだったと思う。ちゃんと謝りたかったの」と。
私は義母の謝罪の言葉を聞き、もう一度信じてみようと思いました。
義母と和解
それから数カ月後、私は待望の赤ちゃんを授かりました。夫に伝えると、彼は目を丸くして驚き、一緒に喜んでくれました。
その週末、義両親に報告すると、義母は涙ぐみながら「ありがとうね。今度こそ、あなたをちゃんと守るから」と、私の手を取って言ってくれました。
家族の形はきっと少しずつ、時間をかけてできていくもの。私たちは小さな命と一緒に、新しい一歩を踏み出そうとしています。義母との関係に悩み、一度は家を出たこともありますが、あのとき諦めず関係修復ができてよかったと、今では思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。