ママ友宅へ遊びに行くと、たまみさんはお菓子を大量に食べ、手ぶらで来たのに残りを持ち帰るなどの非常識な行動で周囲を驚かせます。
さらに保育園の友だち・つむぎちゃんの服がブランドもののお下がりだと知ると、一方的にねだり、きっぱりと断られても引き下がりません。その結果、ママ友たちに距離を置かれてしまいました。
そして職場でも、同僚が「みなさんでどうぞ」と差し入れたお土産を、たまみさんが多めに取ってしまったことで、全員に行き渡らずトラブルに発展します。
常識を問われモヤモヤしながらたまみさんは幼いころのことを振り返ります。スーパーの試食は「食べてきな!」と言われ、無料でもらえるビニール袋は「これは自由に取っていいのよ」など、母親から教えられた自分なりの常識を持っていたのです。
しみついた常識
「タダより安いものはない」「もらえるものは全部もらう」「くれない人はケチでいじわる」
たまみさんの非常識的な価値観は、幼いころから母親に教えられてきたものでした。代々受け継がれる家庭の知恵として長年刷り込まれてきた「賢く生きる知恵」は、たまみさんにとってはなんら違和感のない常識となっていました。
自分の言動が、周囲からは非常識だと指摘され、気持ちが沈んでしまいます。
ママ友との人間関係もうまくいかず、孤立感もぬぐえません。けれど、もうすぐ娘の卒園式。「次に仲良くなる人は、色々くれる人だといいな」と、新しい出会いに、小さな希望を抱いているのでした。
たまみさんは、「自分にとって当たり前だった価値観」が、社会の中で通用しないことに戸惑い、孤独を感じているようです。
自分や母親が否定されたように感じるのはつらいことですが、「正しさ」や「常識」は時代と場所で変わるもの。自分は間違っていない、と反省することなく周りを責めるのではなく、自分と周りの考えや価値観がどう違うのか、たまみさんにはしっかり考える時間が必要なのかもしれませんね。
神谷もちさんの連載は、ブログでも更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。