乳がんの気付きから2~3年放置してしまった
乳がんと診断されたのは49歳のときでした。ある日、乳房に触れるとしこりがあることに気付きました。最初に触れたとき、「もしかすると、がんかもしれない」と頭をよぎりました。
しかし、自分の病気として捉えるまでには至らず、2~3年放置してしまいました。私は「がん化学療法看護認定看護師」として働いており、がんについての知識は十分に持っていたにもかかわらず、自分ががんであることを受け入れるまでには時間がかかってしまったのです。
その間にしこりは大きくなって痛みを伴い、ついにしこりから出血しました。そこで、「ただ事じゃない」と感じ、ようやく受診を決意しました。
乳がん検診を受けていなかったことを後悔
また、乳がん検診を受けていなかったことも悔やまれます。40歳から人間ドックで乳がん検診を受けることができるにもかかわらず、通常の健康診断しか受けていませんでした。
「あと5年、10年もすれば血液検査だけでがんがわかる時代になる」という医療の進歩への期待から、乳がんや胃カメラなどの検査は選択していなかったのです。
しかし、この経験から「今をどうするか」を考え、切り替えることを学びました。診断結果は悪性でしたが、グレードは0か1で増殖性もありませんでした。そのおかげで、「2~3年放置していても、私は死ななかったんだ」と思いました。
つらい治療の支えになった仲間の存在
術前には、抗がん剤治療としてEC療法4コース、パクリタキセル4コースの全8コースを受け、その1カ月後に乳房全摘手術をおこないました。皮膚から出血もあったため、腹囲から皮膚を移植して胸に持ってくる方法が選択されました。入院期間は通常3週間ほどですが、看護師として自宅でケアできたため、1週間で退院することができました。
抗がん剤治療では体のだるさが特につらく、「言いようのないだるさ」が常にありました。しかし、同じ時期に同じ病気になった友人たちとの励まし合いが大きな支えとなりました。
乳がん治療中も美しくいるための工夫
抗がん剤治療では髪がすっかり抜けてしまいました。乳がん治療では100%髪が抜けるするといわれており、私も例外ではありませんでした。しかし、髪が抜ける前に準備したウィッグ(ボブ・ミディアム・ロング)の3種類でおしゃれを楽しむことにしました(画像はボブのウィッグを着用)。看護師時代には、髪を伸ばすには束ねる必要があり、髪型に制限がありました。「自由なおしゃれ」ができるこの機会を「病気の恩恵」と捉えました。
ウィッグ選びでは扱いやすさや自然な見た目を重視し、人毛50%・人工毛50%のミックス毛を選びました。また、自分で頭囲を詰めたり調整したりしてカスタマイズしました。手芸が得意だったため、自分で糸で縫い直すなどして快適さを追求しました。こうした工夫によって、「美しくいること」を意識することで精神的な支えにもなりました。
体力回復のため規則正しい生活への取り組み
治療後、自宅療養期間中には体力回復と規則正しい生活リズムを取り戻すため、女性だけの30分健康フィットネス「カーブス」への入会を決意しました。以前通っていたジムでは継続が難しかったため、営業時間や女性専用という環境面で通いやすく、私にぴったりでした。
また短時間で運動できる環境で続けやすく、体力回復だけでなく、人との交流やコーチのサポートもあり、心身ともに癒やされる時間となりました。
まとめ
乳がんという大病は私に「当たり前の日常」の大切さを教えてくれました。この経験から「今この瞬間」を大切に生きることや、自分らしくあるための工夫や努力の必要性も学びました。同じ境遇の方々にも「自分らしさ」を忘れず前向きに生きてほしいと思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:雑賀 美和(さいかみわ)/50代女性・看護師。49歳で乳がんの診断を受け、乳房全摘手術を受ける。乳がんに罹患するまでは「がん化学療法看護認定看護師」として、大学病院に勤務。乳がんの治療を経て、絵本作家としてデビュー。
イラスト/山口がたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)
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