ワンオペ育児の息抜きで実家へ
毎日の育児に追われ、思うように家事が進まないイライラと気持ちの余裕がなくなっていた私。「たまには甘えてもいいよね」と思い立ち、実家に2人を連れて帰省することにしたのです。夫は仕事で同行できず、3人だけの車で1時間半の小旅行でした。
玄関先まで迎えに来てくれた両親は満面の笑み。「長旅だったな、のど乾いてないか?」と父が差し出してくれたのは、麦茶の入ったコップでした。
一口飲んで「おや?」
ありがたくひと口飲んだその瞬間、口の中に広がる酸味と妙な生ぬるさ。私はすぐ、「ん? なんか変な味がする」と違和感を覚えたのです。
一方、父は無邪気に「この子たちにも麦茶あげなきゃな」とキッチンにいた娘と息子のために、同じペットボトルの麦茶を哺乳瓶に注ごうとしているところでした。私は慌てて「ちょっと待って! それ、やめて!」と制止しました。
ペットボトルの中には浮遊物が…
麦茶が入ったペットボトルを確認すると、中には白くふわふわと浮いた異物が。においをかぐと、明らかに酸っぱいにおいがしました。私が「これ、いつ開けたやつ?」と聞くと、父はあっさりと「半年前、お前が来たときに開けた麦茶だよ。もったいないから残しておいた」と返答。なんと、その麦茶は開封後に冷蔵庫ではなく、押し入れにしまっていたとのことでした。
そのときの私の心境は、もう言葉にならないほど衝撃的でした。もし子どもたちが飲んでいたら……と思うとゾッとします。その後、体に異変が起きなかったことが、奇跡だと思いました。
「実家だから安心」「親だから大丈夫」と思い込むのは危険だと身に染みて感じました。親世代の「もったいない精神」は、ときとして命取りになることもあるとさえ思ったほどです。それからは、実家で出されるものも必ず確認するようになりました。何でも「ありがとう」と受け取るのではなく、子どもを守るためには自分の感覚を信じて声をあげるべきだと学んだ出来事でした。
◇ ◇ ◇
麦茶はノンカフェインで飲みやすく、子どもにも安心と思われがちですが、実はほかのお茶に比べて傷みやすい飲み物です。大麦に含まれるデンプン質が細菌のエサになりやすく、また、麦茶には抗菌成分が少ないため、室温では短時間で菌が増殖すると言われています。
そのため、市販のペットボトルを開けたら、必ず冷蔵庫に入れて保存しましょう。なお、室温、湿度、冷蔵庫を開ける頻度など、環境などによって菌の増殖スピードは異なります。冷蔵庫に保存しておいても、できるだけ早めに飲み切るとよいでしょう。ペットボトルに口をつけて飲んだ場合は、口の中の菌が入りやすくなるため、すぐに飲み切るのが安全です。
また、家庭で煮出したり、ティーバッグで作った麦茶も同様に注意が必要です。粗熱が取れたらすぐに冷蔵庫に入れて、その日のうち、遅くとも翌日までに飲み切るようにしてください。
お伝えしたように環境によっても菌の増殖スピードは異なります。酸味を感じたり、浮遊物が見えるなど、「いつもと違う」と感じたら、もったいなくても迷わず廃棄を。大人はもちろん、免疫力が低い乳幼児や高齢者にとっては特に注意が必要です。たかが麦茶と油断せず、正しい保存と管理で、家族の健康を守りましょう。
著者:野中 まゆ/30代女性/2022年生まれの男女双子の母。13年保育士として勤務。出産を機に退職し、現在は保育士経験や自身の子育て体験をもとに、在宅で執筆業務をおこなっている。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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