「無職の貧乏人と別れて正解w」屈辱の再会
その日、僕は姉に頼まれて、姪の桜を保育園に迎えに行っていました。
そこで出くわしたのは、かつて僕が付き合っていた恋人。その園で保育士として働いている彼女は、僕を見るなりあからさまに嫌そうな顔をして言いました。
「……え?こんなところで何してるの?真昼間にお迎え来られるなんて、相変わらず無職だったりして(笑)」
耳を疑いました。彼女の口から出たのは、僕を蔑むような言葉ばかり。「無職の貧乏人と別れて正解だったわw」とまで言われ、当時の苦い記憶が蘇りました。
僕は教師になる夢を追いかけるために会社を辞め、一時的に無職だった時期があります。彼女はそんな僕を「自分にふさわしくない」と見限り、あっという間に去っていきました。
そんな空気の中、桜が無邪気に言った言葉が救いでした。
「よくわかんないけど、今お兄ちゃんの一番の仲良しは桜だもん!先生には譲らなーい!!」
僕はその手をしっかり握り、気まずさを振り払うように駐車場へと向かいました。
駐車場で顔色を変えた元カノ
「桜、早く帰ろうか」
僕たちが向かった先には、姉が所有する真紅の高級車が停まっていました。 姉が忙しくて僕が代わりに借りたその車を見た瞬間、彼女の顔がみるみる青ざめていきました。
「あ、ちょっと。え!? なんでこんな高級車に!?び、貧乏人じゃなかったの!?」
僕がそんな車を持っているはずがない、そう思い込んでいたのでしょう。
僕は淡々と答えました。
「勘違いしてるようだけど、これは姉の車。今日は姉が仕事で忙しくて、代わりに借りてきただけだから」
すると彼女は、「な、なーんだ!やっぱり今もあのボロアパートに住んでるんでしょ?」と、再び皮肉まじりの笑みを浮かべました。
すると、その様子を見ていた園長先生が、静かに口を開きました。
「保護者の方に、こんな態度を取るなんて信じられません。昔の知り合いだからといって、保育士という立場をお忘れではありませんか?」
彼女は顔を真っ赤にして、うつむくしかありませんでした。
本当の僕の姿と、彼女のその後
あの場では何も言い返しませんでしたが──実は今、僕は念願だった教師として働いています。
無職と見下されていたあの頃から、コツコツ努力を重ねて教員免許を取り、今では毎日子どもたちに囲まれて働いています。
そして数日後、姉からこんな話を聞きました。
「あの保育園の先生、最近いろいろトラブルが多いみたい。裏表があるのが保護者にもバレて、結構問題になってるって」
僕はその話を聞いて、何も言わずにうなずきました。
人を見た目や過去の肩書きで判断し、勝手に決めつける人は、いずれ周りから見放されてしまう。
本当に大切なのは、持ち物や地位じゃなくて、どんな想いで、どんなふうに生きているか。
僕はこれからも、自分の信じた道を、胸を張って進んでいこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。