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「まさか火のそばに洗濯物!?」父の異変に気付けなかった私たちの後悔【体験談】

自分の父が、少しずつ様子がおかしくなっていたのに、なかなか認めることができずにいました。「ちょっとぼんやりしてるだけ」「ちょっとうっかりしただけ」なんて思い、深刻に考えていなかったのです。父が認知症になって、あやうく自宅が火事になる寸前だった事件のお話です。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師菊池大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長

地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
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定年後、毎日テレビを見るだけの父

父は65歳で定年してから、一日中ほとんど外出せず、家の中で過ごすようになりました。ほぼ1日中テレビの前から座って動かず、甘いコーヒーを何杯も飲み、母が作る夕食以外は菓子パンばかり食べていました。

 

母はまだパート勤めを続けていたので、昼間家にいる父が家の掃除などはしてくれますが、それ以外に体を動かすような運動は何もしていないのです。父の偏った食事と刺激のない日々の過ごし方は、さすがに不健康ではないかと心配していたところでした。

 

父の行動に違和感が

そんな生活が続いたある日、父はときどきふらりと出かけるようになりました。ようやく健康を意識し始めたのか、近所を軽くウォーキングしてるのだと母や私は思っていたのです。

 

ところが、そのころから少しずつ父の違和感のある行動が気になり始めました。部屋の掃除をしてくれたと思ったら、お風呂場の洗面器がなぜかキッチンに置いたままになっていたり、母や私の私物が押し入れの中などの妙な場所で見つかったり……。

 

日中、家の中にいる父が部屋の掃除をしていてうっかり置いたのだろうと思うことにしていましたが、「どうしてそんな場所にそんなものを置くのか?」と首を傾げることばかりです。今思うと、私も母も父の様子がおかしいことをどこか受け入れたくなかったのだと思います。

 

 

焦げ臭い! 石油ストーブでボヤ騒ぎ

決定的なことが起こったのは、父の気になる行動が増えて、いよいよ私と母も父のことが心配になり始めていた初冬のことでした。寒くなってきたのに、夏のシャツで外に出て散歩していたり、話しかけても聞こえていないようにぼんやりしていたり……。お風呂上がりに、バスタオルと間違えたのか、足拭きマットで体を拭こうとしていたこともあります。母も「お父さん、もしかして認知症が始まってるんじゃないかしら」などとこぼすことが増えて、不安が募りました。

 

そんなある日、パート勤めから帰ってきた母が、家の中から焦げ臭いにおいがするのに気づきました。11月下旬ごろで、急に寒くなってきたため数日前に石油ストーブを出したところでした。

 

慌てて母が見に行くと、火のついたストーブのすぐ前に取り込んだばかりの洗濯物が積まれていて、近くの服が焦げ始めていたのです。あと少し母が帰ってくるのが遅かったら、火事になっていたと思います。しかも、父はストーブを消すこともせず、家のドアに施錠もせずに、ふらりと外へ出て行ったままでした。

 

早急に病院で検査、要介護認定へ

事の重大さに気づいた母は、父を病院に連れて行き、検査をしてもらうことに。そこで父の認知症が判明したのです。父はまだ60代でしたが、10年ほど前に軽度の脳梗塞(のうこうそく)を発症したことがあるため、医師の話ではそれがきっかけで進行性の認知症になっていたとのことでした。

 

あやうく火事未遂になり、母は心臓が縮むような思いをしたようです。これ以上、父を日中家にひとりきりにさせられないと感じたのです。父の認知症を認めるのはつらかったと思いますが、早急に役所や父のかかりつけの病院に相談に行き、要介護認定を受けることができました。その後、父の施設入所が決まりました。

 

 

まとめ

気づかないまま父の認知症が深刻になる前に、早めに父を施設に入所させることができて、結果的によかったと思います。介護施設で手厚く見守ってもらえて、おかげで私たちも安心して過ごせています。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

著者:雪田みゆ子/40代女性・主婦。

イラスト:おんたま

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています

 

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