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「徘徊?」認知症の祖母がいない!幼い娘と探し回った私に祖母からまさかのひと言

長女が4歳、次女が1歳のころ、叔母から頼まれ、急きょ遠方に住む認知症の祖母の見守りをすることに。新幹線に乗り、祖母宅に到着したのですが、なんと祖母は不在。徘徊しているかもと焦りながら、ようやく見つかった祖母に声をかけたのですが、そこで私は思わぬ失敗をしてしまったのです。

 

「数日間だけ祖母をお願い」叔母からSOS電話

私は南九州に住む、2人姉妹の母です。次女が1歳になった2019年の6月のある日、山口県に住む叔母から電話がありました。切羽詰まった声で「本当に申し訳ないんだけど……数日間おばあちゃんの面倒を見てくれない?」と。

 

事情を聞くと、叔母のいとこが病気になり、手術の付き添いが必要なのですが、ほかに頼れる人はおらず、その間祖母の面倒を見る人がいないという話でした。「私だって4歳と1歳の姉妹がいるから難しいんだけど……」と言うと、叔母は「そこをなんとか……」と本当に困った様子でした。

 

聞けば、認知症を患っていた86歳の祖母は、体は元気で要介護度がそう高くないため、利用できるサービスに限りがあり、利用できそうなサービスも急な対応ができないとのこと。しかし、たびたび徘徊などがあり、ひとりきりで過ごさせるには心配なため、育児中で無職の私に白羽の矢が立ったのです。

 

私は子連れで祖母の面倒が見られるだろうかととても心配でしたが、困り果てた叔母のことも考え、引き受けを決心。「わかった。3日間だけなら」と答えると、叔母は「ありがとう」と、ホッとした様子でした。翌週、私は1歳の娘を抱っこひもに入れ、4歳の娘の手を引いて3人分の荷物が入ったキャリーバッグを手に、新幹線に乗り込みました。

 

姿が見えなかった祖母にきつく注意すると…

祖母の家に到着しても、元気だったころのように出迎えてくれる祖母の姿はありません。「おばあちゃん、入るよー」と声をかけ、家に入りました。居間のちゃぶ台の上には、叔母からの伝言や注意書きが置いてあり、薬を飲ませる順番も書いてあります。しかし、祖母がどこにもいないのです。

 

「おばあちゃーん」「おばあちゃんどこー」と声をかけますが、返事がありません。「まさか徘徊してるのでは……?」と焦った私は、慌てて子どもたちを連れ、祖母を探しに外へ出ました。

 

近所を一周した後、4歳の娘が「音がする」と言うので、裏庭へ。そこに祖母はいました。静かに座って空中を見つめているのです。「まあ、ちーちゃん来たの」と、娘を見て祖母は叔母の名前を呼びました。

 

私は安堵するやらホッとするやら「おばあちゃん、心配させないでよ! 私が来るまで家に居てって電話で言ったじゃない」と少し強めに言ってしまいました。すると祖母は私を見て「ちーちゃん、怖いおばさんがいるから、おうちに行こうね」と娘の手を引いて家に入ってしまったのです。

 

そしてその日の晩まで、私のことは「怖いおばさん」扱いでした。トイレに行くのも、薬を飲むのも「あなたはイヤ」と言われ、拒否されてしまいました。

 

 

娘が救世主に!素直に言うことを聞く祖母

私は自分の態度を後悔し、なんとか祖母の態度を和らげようと謝罪しましたが、祖母は聞く耳を持ちません。私が出した食事も食べてくれないのです。どうしようかと困っていたとき、娘が「おばあちゃんアーンして」とスプーンで祖母にご飯を食べさせるマネをしました。

 

祖母は「ちーちゃんありがとうね~」と言いながら、娘が差し出したごはんは食べてくれました。そして娘が「おばあちゃん、ちゃんと食べないと元気になれないよ」と説得したら、「そうだね、ちゃんと食べよう」と言ってごはんを食べてくれたのです。

 

その後も、幸いなことに、娘のことをちーちゃんと呼び、言うことを聞いてくれました。娘におばあちゃんに薬を飲むよう伝えてもらったり、トイレに行こうと誘ってもらったりして1日を無事に終えることができました。

 

次の日朝起きると、祖母はすでに起きていて、昨日とは別人のように「あら、ゆうちゃん来てたの」と私の名前を呼びました。叔母から聞いてはいましたが、時折頭がはっきりするときがあるというのは本当だったようです。

 

でも、娘は昨日の出来事を覚えていたので「私、ちーちゃんに似てる?」と祖母に聞くと、祖母は「あなたはちーちゃんよ」。その答えがおかしかったので、長女は「私はプリンセスだよ」とふざけて返し、かみ合わない会話を楽しみました。

 

まとめ

その後、無事に3日間の見守りを終え、叔母は無事に帰宅。祖母は、子どもたちが家にいることで少し疲れたようでしたが、時折笑顔を見せてくれました。結婚してから祖母の家に遊びに行くことも少なくなっていたので、ゆっくりと時間を過ごせる良い機会になったと思います。

 

しかし、いくら焦っていたとはいえ、イライラして祖母に強い口調で声をかけたのは間違いでした。幸い娘の言うことを聞いてくれたので助かりましたが、今後同じようなことがあれば、対応に注意したいと思わされた出来事でした。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

 

著者:ヤナセ ユウコ/2015年生まれの長女と2018年生まれの次女と夫と海の近くに暮らしている。お菓子作りや隠れた名店の焼き菓子を探すのを趣味としているママライター。

イラスト/ほや助

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)

 

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