ただの“幼なじみ”だったはずの彼女
僕は高校3年生の受験生。ある日、学校の模試の日に弁当と財布を家に忘れてしまいました。この日は、受験前の最後の模試の日で、取りに帰っている時間はありません。そんな僕のもとへ弁当を届けに来たのが、幼なじみのAでした。Aは近所に住んでいる高校2年生で、僕にとっては妹のような存在です。昔は僕に懐いていましたが……。
「お弁当ありがとう、助かったよ」
「別に……あんたのお母さんに頼まれただけだから」とAはぶっきらぼうに答えます。
その様子を見ていた同級生が「まるで思春期の娘と父親だな」と一言。そう、いつの間にかAは僕に対してぶっきらぼうな態度をとるようになったのです。
無視して気づいた、彼女の存在の大きさ
ある夜のこと。予備校から帰るときに僕の頭上に虫が落ちてきました。
「ぎゃ~~~~~~~~~~~~~~~!!」
虫が大の苦手な僕は、大声をあげて慌ててしまいました。
こうして、さんざん大声を出した僕。なんと次の日の朝に声が出なくなってしまったのです。
念のため病院を受診し、医師に相談すると、医者からは「しばらく喋らなければよくなるだろう」と言われ、母からも「受験まであと1週間。面接も控えているからそれまで黙っていなさい」と強く言われてしまいました。そのため、僕は、仕方なく話すことを控えることに。
次の日、学校でAに会いましたが、声が出せない僕は話しかけられても彼女の言葉を無視するような形になってしまいました。
その日から、僕はあえてAと距離を置きました。最近、Aが僕に対して冷たい態度をとるようになったこともあり、意地になっていた部分もあります。
「僕がAに冷たい態度をとったらどうなるんだろう…」
僕は、彼女の反応を見てみたいという好奇心もありました。
3日が過ぎたころ、母から「Aちゃんがこれを届けてくれたの」と言って、合格祈願の御守りを手渡されました。Aが僕のことを気づかってくれていたことがわかり、Aに冷たい態度をとっていることに胸が痛みました。
彼氏ができたと思い込んで…
喉の調子もよくなり、入試と面接に臨んだその後、無事に第1志望の大学に合格。合否判定までバタバタしていて、気が付いたらAと距離を置いてから2週間が経過していましたが、僕が真っ先に合格を知らせたかった相手はAでした。
僕は、Aに伝えるため彼女の家へ向かいました。彼女の家へ到着し「ようやく伝えられる…」と思った僕が玄関前で見かけたのは、Aとイケメンが抱き合う姿。僕はその光景にビックリ。逃げるようにその場を離れました。
Aが僕の姿に気が付いたようで「待って!」と追いかけてきました。僕は彼女に腕をつかまれても、何も言えませんでした。「僕が冷たい態度をとっている間に、Aは彼氏を作っていたんだ…」と思うと、やるせない気持ちになったのです。
そんなとき、「なんでも言うこときくから…子どものころみたいにぎゅーってして?」と泣きそうな顔で懇願する彼女を見て、僕の中で何かがはっきりしました。
妹みたいな存在だと思っていたA。しかし、Aに彼氏ができたと思うと素直に喜ぶことができなかったのです。こうして僕は、1人の女性としてずっとAのことが好きだったことを自覚しました。
願いごとを3つ、叶えてくれる彼女
しかし、Aには彼氏がいるので僕は自分の想いを胸にしまっておくことにしました。
Aが受験前に届けてくれた御守りが心の支えになったことを伝えると、Aはうれしそうに
「お願いごと、なんでも3つ叶えてあげる」と言ったのです。
Aの提案に甘えて、掃除や好きな料理を作ってもらうなど、久しぶりに楽しい時間を過ごしました。話をしているなかで、僕がAの彼氏だと思っていた人が実は女の子だったことが判明。
「あんたに彼女ができたと思って焦った」と照れるA。急にAへの態度が冷たくなった僕に彼女ができたと勘違いして、相談していたようです。
そんなやりとりの中で、僕はつい口を滑らせてしまいました。
「それはないよ。だって僕、Aのことしか見てなかったから」
Aが真っ赤になって抱きついてきたとき、僕の心の中の迷いはもう消えていました。
3つ目の願いは…?
帰り道、コンビニの前で僕は思い切って言いました。
「料理と片付けで2つお願いを聞いてもらったよね。3つ目のお願い、聞いてくれる?」
Aは少し戸惑ったあと、小さくうなずきました。
「僕の彼女になってください」
「…はい!」
こうして長い片思いをしていた僕は、やっと「両想い」になることができたのです。
恋人になっても、変わらない関係
Aと付き合い始めたとはいえ、僕とAの関係は根本的には変わっていません。お互いに素直じゃなくて、からかったり照れたりしてばかり。でも、想いが伝わった今僕たちがすれ違うことはもうありません。前よりもずっと心の距離が近くなったのです。
「2週間も無視して、ひどいんだからね!」
と怒るAに「ごめんって!」と謝りながらも、僕は心の中で思っていました。
これからは、きちんと自分の気持ちを伝えて不安にさせたぶん分、Aのことを幸せにしていこう、と。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されてないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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