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「遺産目当ての嫁は帰れ!」私を怪しんで義父の葬儀から追い出した義姉→私「なにも知らないんですね」真実を伝えると

5年もの間、事実婚状態だった婚約者と私。2年前に婚約者の父親が病に倒れたのをきっかけに、婚約者から介護を手伝ってもらえないかと相談され、私は介護を担うことになりました。義父の体調が不安定で、私たちも生活のことで手一杯。入籍はいつも「もう少し落ち着いたら」と先延ばしになっていたのです。

婚約者の母親はすでに亡くなっており、婚約者の兄夫婦は近場に住んでいるものの、なかなか顔を見せず……。私が挨拶に訪ねたとき、すでに婚約者の実家は荒れ果てていました。

 

最初は「なにもせんでいい」とぶっきらぼうに言っていた婚約者の父親でしたが、次第に心を開いてくれるように。もともと穏やかな性格だったらしく、最近は「いつもありがとう」「あなたのごはんが一番おいしい」とやさしく話してくれるようになっていました。

 

そんなある日、婚約者から「いつも親父のことを任せきりでごめんな」「俺の仕事も落ち着いてきたし、親父にも晴れ姿を見せたいし、そろそろ籍を入れないか」と言われた私。大粒のうれし涙をこぼしながら、私はYESの返事をしました。

 

婚約者の父親にも正式に結婚することを告げ、私たちは急ピッチで結婚の準備を進めました。無事に婚姻届を出したのですが、そのあとすぐに義父の容体が急変して……?

 

 

遺産目当ての入籍と決めつける義姉

義父の急変におろおろしていた私のもとに、夫の兄の妻、つまり義姉から電話がかかってきました。

 

「どうしてこのタイミングで入籍したの?」といきなり質問されて、びっくりしてしまった私。

 

「やっぱり、お義父さんの遺産が目当てだったの? 5年間も籍を入れてなかったのに……」

 

私たちは、義父の容体が急変する前に入籍しています。私たちも、まさかこのタイミングで義父が入院するとは思っていませんでした。

 

「いい? 遺産は“跡取り”であるうちの旦那と、孫である子どもたちのもの。あなたみたいに、あとから入ってきた嫁には関係ないのよ。今さらいい顔したって、遅いの」

 

まだ義父は存命中なのに、まるで遺産を“取り合うもの”として扱うその言い方に、言葉を失いました。けれど、私の中で何かが静かに切り替わるのを感じました。

 

「お義姉さん、私がどういう気持ちで2年間、義父のそばにいたのか……何もご存じないんですね」

 

「今さら何をしても無駄よ。遺産はうちの家族で分けるものなんだから。変な噂を立てられたくなかったら、静かにしておいたほうがいいわよ?」

 

義姉によれば、義父の資産は相当なもの。貯金だけでなく、不動産もあるらしいのです。でも、そうだとしたら当然、私の夫にも取り分があるはず。にもかかわらず、どうして義姉は“うちだけのもの”と言い張るのか。なぜここまで遺産に執着するのか。私には、その理由がまったくわかりませんでした。

 

 

義父の葬儀から私を追い出そうとする義姉

2週間後――。

 

義父はそのまま帰らぬ人となりました。

 

いろいろ準備があったらしい夫は先に葬儀場へ。あとから私はタクシーで葬儀場に向かいました。義姉は葬儀場に着いたばかりの私を目ざとく見つけ、「なんであなたがここにいるの?」と話しかけてきたのです。

 

「え……お義父さんにお別れを告げに……」と言うと、「あなたの目当ては遺産でしょ? 親戚たちに良い嫁アピールして、正々堂々と遺産をもらおうって魂胆じゃないの?」「そもそも、ついこの間まで部外者だったあなたが来るのがおかしいのよ」と義姉。

 

「そんな……お義父さんの葬儀にも参列させてくれないんですか?」と聞くと、「それだってどうせパフォーマンスでしょ?」と義姉は鼻で嗤いました。「私だって子育てで忙しくなければ、介護ぐらい余裕でできたわよ」と私を見下してきました。

 

病院の送迎から食事の準備、ときにはお風呂の介護も……。打算で2年間もできるようなものではありません。グッとくちびるを噛み締めた私を見て、義姉は勝ち誇ったようににやりと笑いました。

 

「遺産目当ての嫁は帰れ!」

 

私は義姉に「お義姉さん、なにも知らないんですね」と言いました。すると、「は?」と私を馬鹿にしたような返事をする義姉。私が言い返してきたことに驚いたのかもしれません。

 

「お義父さんの遺産は私も相続します」と伝えると、「何言ってるの? 遺産は跡取りである私たち家族が受け取るのが当然でしょ!」と言った声は、わずかに震えていました。

 

義父が伝えたかった感謝の気持ち

生前、義父は介護のお礼として「あなたに遺産を渡したい」と言ってくれていましたが、私自身は難しいだろうと思っていました。しかし義父は本気だったらしく、入院してからすぐに公証人を呼んで、私に”財産全体の8割を相続させる”という内容で正式に文書化していたのでした。

 

「今朝、夫から聞くまで私も知りませんでした。でも、私がしっかり相続できるよう、お義父さんは整えてくれていた――だから、ちゃんと受け取ろうと思います」

 

義姉の目を見てはっきり言うと、「……ちょっと介護しただけで、そんなに渡すなんて……! そっちに多くいったら、うちの分が減るじゃない!」と、義姉は声を荒らげました。

 

どうやら義姉は、私が義父に取り入って“何かを狙っている”と決めつけていたものの、まさか義父が私に実際に多くを相続するとは思っていなかったのでしょう。遺言書という確固たる証拠を突きつけられて、ようやく現実を思い知らされた――そんな表情をしていました。

 

長男の家が中心になるべきだという思い込みと、遺産が分散されて減ることへの焦り。
私を排除しようとしていたのは、すべてその不安と執着心の裏返しだったのかもしれません。自分に都合のいいようにしか考えていなかったのか、それとも本当に制度を理解していなかったのか……その姿に、私はもう何も言う気になれませんでした。

 

「私だって同じ嫁の立場だし、私はかわいい孫だって産んであげた! だから、私にももらえる権利があるわよね?」と義姉。私は「それは違います。お義父さんがどう判断されたかを尊重するのが、本来の姿じゃないですか?」と答えました。

 

義父は献身的な介護のお礼として、私に遺産を遺してくれたのです。義父が入院してからの2週間、義姉は一度も顔を見せなかった。そんな人に義父が遺産をわざわざ遺すとは思えませんでした。

 

「そ、そうだわ! あなたがお義父さんを脅したかなんかしたんでしょ! 介護とか言っておいて……それか、あなたが偽造したとか……」と、どうにか私に遺産が渡らないようにしたいらしい義姉。

 

「そう思うなら、どうぞ調べてください。遺言書は弁護士さんが預かっているそうですよ」「こんなところで遺産について揉めていたら、お義父さんだって浮かばれないでしょう。私は帰ります、失礼します」

 

そう言って、夫にだけ連絡を入れ、私はひとりタクシーで自宅へ向かいました。

 

 

 

30分後――。

 

「お願い! 葬儀場に戻ってきて!」と、涙声の義姉から連絡が。

 

さっきは追い出したくせに……と思いながらも、「どうしたんですか?」と聞くと、「緊急事態なの!」と義姉。

 

私を追い出したものの、遺産のことに納得がいかなかったらしい義姉。葬儀前にずっと義兄に文句を言っていたようです。しかし、義兄は「ずっと介護をしてきた彼女が遺産を受け取るのは当然」「僕たちはなにもできなかったんだから、彼女に感謝すべき」と私の肩を持ったそう。

 

そのまま義姉と義兄は言い合いに。義姉が私を葬儀場から追い出したことを知った義兄は激怒。「彼女にこそ父さんを弔ってほしい! しっかり謝って、葬儀に参列してもらえるようお願いしてこい!」と義姉に言って、それから口をきいてくれなくなったんだとか。

 

「わかりました、私もお義父さんにお別れを言いたいですし、戻りますね」と言うと、「本当!? よかった!」と義姉。

 

しかし、再びタクシーで葬儀場へ行くと、そこに義姉と子どもたちの姿はありませんでした。義兄は控室にいて、私と目が合ったものの、何も言わずにその場を離れていきました。口論が激しくなり、場を落ち着かせるために、義兄と義姉は別々に行動しているのかもしれません。

 

その後――。

 

 

夫を通じて、義兄からあらためて謝罪がありました。私が葬儀場に戻ってくるとなった段階で、義姉は「あの女がいるのは癇に障るけど、遺産のためなら仕方ない」と言ったらしく、義兄を再び激怒させたそう。さらに、義兄夫婦の子どもたちも「ママが『おじいちゃんがいなくなったら、うちはラクになる』って言ってたよ〜」と無邪気に言っていたそうで、義兄は愕然としたそうです。

 

義兄は、これまで気づけなかった自分を悔やむと同時に、義姉の言動に限界を感じたようでした。「子どもにまでそんな価値観を植えつけるなんて…」と、離婚を決断したそうです。ちなみに、義姉がそこまで遺産にこだわっていた理由は、義兄に黙って借金をしていたからだとわかりました。ママ友会や同窓会などがあるたびに新しいブランドものを買っていたようで、その返済に義父の遺産を充てようとしていたそう。

 

夫と私は、遺言書どおりの遺産を受け取りました。義父の遺産は、私たちのこれからの生活、マイホームや子どもの教育費に大切に使うつもりです。介護への感謝を、言葉と行動で示してくれた義父の思いを、私たちはこれからも大事にしていきたいと思っています。もし新しい命を授かれたら、そんな義父のように、人に感謝を忘れず、誠実に生きられる子に育ってほしいと、夫婦で話しています。

 

【取材時期:2025年4月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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