ある日、義母から立派な桃が届きました。夫は箱を開けるなり、「さすが母さん、俺がいま食べたいものをよくわかっている」と満足げ。箱の中には「あなたが大好きな桃を送りました。ひとりで食べれば、しばらく楽しめるわね。おいしく味わって、頑張ってね」という義母直筆のメモまで添えられています。
夫は「相変わらず母さんに嫌われてるな」と笑い、すぐさま私の家事の不行き届きを指摘し始めました。「母さんは毎食5品を欠かさなかったし、掃除も完璧だった」と言ってきます。私が在宅とはいえフルタイムで働いていることを説明しても、夫には「言い訳」としか映らないようで……。
“義母基準”を押しつける夫。反論すると…!
夫は「母さんに認めてもらえれば、盆や正月に実家へ呼ばれるようになる」と畳みかけてきます。私は「義母の印象は、あなたが私のことをどう伝えるかで変わるのではないか」と言いましたが、「努力がたりない」と一蹴されました。
話題は義母への金銭援助に移り、以前マッサージチェアを買うために30万円を求められ、私が断ったことまで責められます。将来のために貯金を優先したいという私の考えも、夫にとっては「また言い訳か」としか映らないようです。
“ある作戦”を実行するため、嫁らしく振る舞うと?
あるとき、夫から「今夜は飲んで帰るから遅くなる」と連絡がありました。私は「わかりました」と答え、外で食事を済ませるのなら軽めの夕食で十分だろうと考え、お茶漬けと副菜を用意することにしました。二日酔い対策に常備している薬の準備も怠りませんでした。
夫は「最近は気が利くじゃないか」と笑い、私が「早くあなたとお義母さんに認めてもらえるように頑張っています」と返すと、「共働きでも夫婦は対等じゃない。男のほうが稼ぎがいい以上、嫁が夫を支えるのは当たり前だ。ようやく嫁らしくなってきたな」と満足げ。
最後に夫は「女は男に捨てられたら終わりなんだから、この調子で頑張ってくれよ」と釘を刺してきました。私は微笑み返しましたが、胸の奥には言いようのないモヤモヤが……。
義母から久しぶりの連絡。何かと思ったら…30万!?
しばらくぶりに義母から電話がありました。開口一番、「今度、友人たちと船旅に出る計画があるの」と弾んだ声。私が「いいですね」と応じると、義母は続けて「旅費は息子たちが出してくれると言うのだけれど、あなたたち夫婦も負担する気はあるかしら?」と尋ねてきます。夫の弟はすでに20万円を出すと申し出ているそうで、私は「それでは、わたしたちも負担します」と即答しました。
すると義母は驚き交じりに「あなたが真面目に主婦業に励むようになったと息子から聞いていたけれど、本当だったのね」と満足げ。私は「できる限り力になりたいと思っています」と答えましたが、具体的な金額を示されていなかったため、やや身構えていました。
次の瞬間、義母ははっきりと「では30万円お願いね」と提示。共働きとはいえ即座に用意できる金額ではなく、私は内心で計画を巡らせながらも「かしこまりました。ただ、来月までお時間をいただけますか」とお願いしました。義母は「来月ね。いいわ、待ってあげる」と承知しつつ、「できるだけ早く連絡してちょうだい」と念を押します。
電話を切った私は深呼吸し、家計簿を開きました。30万円をどう捻出するか——来月までに具体的なプランを立てようと気を引き締めたのです。
義母から“嫁”として認められた!喜ぶ夫に…
数日後、夫がうれしそうに話しかけてきました。
「今年のお盆は実家に行くぞ」
「母さんがお前を嫁として認める気になったって!」
そこで私はーー夫に本心を伝えることにしました。
「あら、それは良かったね」
「あなたは念願のお盆帰省ね」
私は夫に「あなたの実家へは行かないし、家族として認められなくても結構です」と宣言しました。突然の言葉に夫は戸惑い、「どうしたんだ?」と私の顔色をうかがいますが、私の決意は揺るぎません。夫の家族は義母の顔色ばかりを気にかけ、無理難題を次々と受け入れる――私には、一族全体が義母の操り人形のように映っていました。
夫は「母さんに認めてもらいたくて家事を頑張ってきたんじゃないのか」と訴えましたが、あれは私が演技していただけにすぎません。義母と夫から押しつけられる「嫁らしさ」を黙らせるための苦肉の策で、その間に私は離婚の準備を進め、新居探しや転職活動を水面下で進行していました。収入を増やすため、外勤の可能性も視野に入れていたのです。
離婚を切り出された夫は「意味がわからない」と繰り返すばかり。しかし私にはもう迷いはありません。私は「離婚手続きは弁護士を通じておこないます」と告げ、部屋を後にしました。
私たちの離婚問題。ほかの兄弟にも影響が…!?
数日後、夫から「今どこにいる?一度会って話がしたい」と連絡がありました。私は静かに「連絡は弁護士を通して下さい」とだけ伝えました。夫は「そんな……」を繰り返すばかり。
私は「お義母さんに離婚のことを話したのね」と問いかけました。案の定、義母からは「嫁失格」「地獄に落ちろ」など罵詈雑言が並ぶ長文LINEが届いており、私はすべてスクリーンショットで保存。調停になった際の証拠にするつもりです。
夫は「兄や弟の妻たちも実家に戻ってしまった」と漏らしました。長年、義母の強圧的な態度に耐えてきた彼女たちも、私が声を上げたことで一斉に距離を置いたようです。「これからは変わる、家事もする、母さんとも距離を置く」と必死に訴える夫。けれど私には、彼が離婚したくない本音――家事や金銭面の負担を避けたい――が透けて見えました。
後日、離婚が成立。私は夫と、暴言を浴びせた義母の双方に慰謝料を請求しました。そして新しい住まいで再出発。新たな職場で頑張りたいと思います。
◇ ◇ ◇
夫は離婚したくないのであれば、結婚当初からもっと妻を気遣ってほしかったですが……。妻の気持ちを踏みにじってきた夫と、傍若無人な振る舞いを続けてきた義母。どちらも、しっかりと反省してほしいですね。
【取材時期:2025年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。