同期の執拗なマウント
「おはよう! 今日のメイクちょっとキツくない?」と、朝の挨拶代わりに毎日こんな言葉を投げてくるのが私の悩みの種である美人同期。見た目や噂で他人を値踏みしては、マウントを取りたがるのです。そして彼女の中では、あまり美人ではない私を“何をやっても自分より劣っている存在”というレッテルを貼っているようでした。
ある日、出社して早々に別部署の男性社員が結婚すると聞いた彼女が「残念だったね〜?狙ってたのに!」と私に向かって言いました。私は「いや、そんなことないけど……?」と否定したのですが、彼女はフロア中に響くほどの大声で「みんな聞いて! この子、失恋しちゃったの! みんなで慰めてあげないとね♪」と言うのです!
彼女を放っておくと変な噂が社内に広まってしまうと思った私は「私、婚約しているの。これ、婚約指輪」と彼女に伝えました。すると彼女は「あんたに婚約者!? 嘘でしょ!?」と呆然! 周りのみんなは驚きながらも「おめでとう!」と祝福してくれました。しかし、彼女だけは明らかに動揺し、顔がひきつっていました。
婚約者への侮辱
その日の夜、婚約者と待ち合わせしていた場所に到着すると、後ろからバタバタと足音が聞こえてきました。振り向くと、彼女の姿が見えました。彼女は「今日デートだって言ってたでしょ。だから、本当に婚約者がいるのか確かめに来たのよ!」と、仕事終わりに尾行してきたと言うのです。
すると待ち合わせ場所に現れた婚約者の姿を見るなり「うわ、地味! 安心した♪ しかも……窓際部署の人じゃん!」と言い放ったのです。信じられない発言に私は「人の婚約者を侮辱するなんて、失礼にもほどがあるわ!」と彼女に向かってひと言。すると彼女は「本当のこと言っただけじゃない!さえない2人……お似合いね!」と鼻で笑いました。あまりにも失礼な態度に、婚約者も「僕の大切な婚約者にひどい言葉を吐かないでください」とビシッ。
いつもは穏やかな彼の毅然とした姿に、私は胸を打たれました。「もう帰って。あなたに私たちのことをとやかく言われる筋合いはないわ」 私がそう言うと、彼女は「ふん!」と鼻を鳴らしてその場を去っていきました。
知らなかった“本当の立場”
週明け、私は部署のみんなに正式に婚約を報告することにしました。仕事の合間をぬって、一緒に挨拶をするために彼が私の部署まで来てくれました。すると同期の彼女が「あの窓際部署の彼ね〜。結婚なんかしちゃって大丈夫?」と皮肉たっぷりに笑いました。すると周囲がざわつき始め……。
実は彼の部署は、最近の社内改革によって大きく方針転換された海外事業部。今や、将来の柱として注目されている部署なのです。彼自身も、以前は外資系企業でキャリアを積んでいて、今の会社には社長のスカウトで入社。まさに“実力で選ばれた人”でした。そのことを知らなかった彼女はポカーン……。 さらに、結婚報告を聞いていた社長が「彼にはいずれ、会社を引っ張っていってほしいと思っているんだ」と言い、その場は一瞬で静まり返りました。顔面蒼白の彼女をよそに、同僚たちの間にはざわめきと驚きの声が広がっていきました。
その後、私たちはみんなに祝福され結婚しました。一方彼女はというと、自分のとんでもない発言や態度にようやく気づいたのか、それ以降は私にむやみに絡んでくることもなくなりました。
◇ ◇ ◇
人を見下し、マウントを取ることばかり考えている人は、いずれ自分の言葉や態度に足元をすくわれるもの。大事なのは、表面的な見た目や肩書きではありません。誰かを尊重する姿勢こそが、信頼と幸せを運んでくれるのです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。