検査入院、それなのに夫は大パニック
体調に違和感が続き、私は病院で検査を受けました。すると医師から「念のため、数日だけ入院して詳しく検査をしましょう。心配はいりませんからね」と告げられました。
その日の夜、夫に報告すると「えっ!? 入院!? それってヤバいやつなんじゃないのか!?」と顔面蒼白に。私は「先生もそんなに心配するようなものじゃないって言ってるから大丈夫!」と説明しました。ところが、夫はまったく納得していない様子で 「本当は重い病気なんだろ? 隠してるんじゃないのか!?」と大慌て! 誰もそんなこと言ってないのに、夫の頭の中では勝手に“重病コース”が出来上がっているようでした。 すると夫は、なにかに追われるように立ち上がり「俺……ちょっと出かけてくる」と、 行き先も告げず家を出て行ったのでした。私はポカンとしつつ「心配性すぎるんだから……」とため息をつくしかありませんでした。
数日後、私は予定通り入院しました。これから行われる検査の説明を聞き終え、ゆっくりしていると枕元のスマホが震えました。画面を確認すると、夫からメッセージがありました。心配してくれているのかな?と思いメッセージを見ると「私はあなたの旦那さんの彼女です♡早く別れてください」とひと言。すぐに電話をかけると「い、今の違うから!勝手に送られて」と慌てる夫。すると電話越しから「ねぇ、奥さんにハッキリ離婚するって言いなよ!」と女性の声が……。次の瞬間、電話は一方的に切られました。 そのあと何度かけ直しても、ずっと出ないまま。メッセージも既読になりません。この時点で、私の中で「夫婦関係を続ける」という選択肢はほとんど消えかけていたのです。
病室に現れた「彼女」
入院生活にも少し慣れてきたころ、突然カーテンが開くと目の前に派手なメイクにブランド物らしきバッグを持った女性の姿が。すると女性が「私、あなたの旦那さんの彼女よ。この間、メッセージ送ったのも私よ」と言い放ったのです。
さらに、その女性が「奥さん余命3カ月なんでしょ? 今すぐ別れて!遺産と彼は私がもらうね♡」と言うのです。私は何のことかサッパリわからず「余命3カ月って何の話?」と聞き返しました。すると女性が「だって彼が言ってたよ? 部屋の前で“3カ月……無理しないで”“命あってこそ”ってあなたとお母さんの会話を聞いちゃったって」と言うのです。なんと、私の体を気遣う母の言葉を聞いた夫が勝手に余命宣告だと勘違い! さらに私を邪魔だと思う不倫カップルの脳内で“余命3カ月”に変換されたようなのです!
私は、わざとほんの少し弱った声で「いいよ。 別れてあげる」とひと言。すると女性は満足そうな表情で「彼も手に入れられて、お金まで……! 3カ月後が楽しみ♡」と言い、ヒールを鳴らし去って行きました。カーテンが閉まる音を聞きながら、私は「この勘違い、最大限に活かさせてもらおう」と決意するのでした。
不倫カップルの大誤算
退院後、私は実家で静かに過ごしていました。その間、夫とは連絡を絶ち、向こうが勝手に信じている「長くて3カ月」という私の命をあえて訂正せずにいました。
そして、あの日から3カ月が経った今日。きちんと区切りをつけるため、私は自宅へと戻りました。夫の帰りを待っていると、玄関の開く音が! そこには夫と不倫相手の姿がありました。私に気づいた瞬間、「なんで生きてるんだよ!」と叫ぶ夫。 私はゆっくりと2人に近づき「どうして“離婚届”、提出しなかったの?」と尋ねました。すると女性が「あなた、もう長くないんでしょ? だったら離婚しなくても“財産関係”は整理できると思って……。 揉めるより、待ったほうが得じゃない?」と言い放ったのです。夫も「そうだよ! 3カ月待てば自然に片付くと思って……!」とひと言。
呆れた私は封筒から離婚届を取り「“余命宣告をされた妻”を支えるどころか、その間に遺産の計算!? 離婚して」と宣言。さすがに言い返すことのできない夫は素直にサイン。その足で役所に向かい、離婚届を提出した。
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他人の生死や病気を、自分の欲望を正当化する材料にしてはいけない。自分の利益だけを優先して動く人に振り回されそうになったときは、その関係を見つめ直すことも、自分を守る大切な一歩なのだと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
離婚届を提出して終わりでその後の展開も無く、あまりスッキリしなかった