起業してからというもの、夫はまるで別人のように偉そうな態度を取るようになりました。会社の業績が上がるにつれ、家族のことをどんどん後回しにするようになり、私は不信感を抱かざるを得なく……。
10年目の結婚記念日に夫が…
特にショックだったのは、10年目の結婚記念日前日、久しぶりに家族4人でショッピングに出かけたときのこと。夫は自分の買い物を済ませると、私たちを置いてひとりでどこかへ行ってしまったのです。明日の結婚記念日のことなんてまるで覚えていないといった夫の態度に、私は大きなショックを受けました。
そして結婚記念日当日、衝撃的な出来事が……!
夫が若い女性を連れて帰宅したのです。「この子、俺の彼女!」そう紹介され、私は驚きのあまり、言葉を失いました。そして、女性は鼻で笑いながら私に「あなた、30過ぎてるんでしょ? 浮気されてもしょうがないよね~オ・バ・サ・ン」と言ってきたのです。
さらに夫は追い打ちをかけるように「劣化した女は出ていけ! 新しい嫁にチェンジで!」と言い放ち、子どもたちの前で私に離婚届を突きつけてきました。最低な言葉を浴びせられた私は無言で離婚届を受け取り、その場でサイン。子どもたちを連れて部屋を移動し、荷物をまとめました。
夫は「慰謝料なら払ってやるよ! 俺の会社は絶好調だからな〜」と勝ち誇ったように笑い、女性の肩に手を回し、愛しているだとか、幸せにするだとか甘い言葉を並べます。そして、2人はグアム旅行の話で盛り上がっていました。
私は部屋のドアを少し開けて、そのやり取りを動画で撮影したあと、子どもたちを連れて実家へ。翌日には、夫が離婚届を役所に提出し私たちは離婚。相場とされる金額より少し多めの慰謝料と養育費が一括で私の口座に振り込まれていました。
離婚後、衝撃の事実に絶望する元夫
離婚して10日ほど経ったころ、元夫から鬼電。しばらくスルーしていたのですが、あまりにもしつこいので電話に出ると、元夫は開口一番「お前、彼女がA社の社長夫人だってこと、知ってて黙っていたのか!」と怒鳴りつけてきました。
A社は、義父の会社の取引先。元夫の言う通り、私は彼女がA社社長の奥様だということに気付いていました。元夫は「お前、俺の父さんとA社の社長に、俺と彼女の動画を送っただろ! 父さんに俺の会社との契約を解除するって言われた! どうしてくれるんだ!」そう言って、怒り狂っています。
A社は義父の会社にとって、最も大事な取引先。万が一、A社に契約を解除されたら、業績悪化はまぬがれません。そのため義父は、元夫の会社との契約を打ち切る決断をしたのでしょう。
私がそう伝えると、元夫は「父さんに契約を切られたら俺の会社は終わりだ」と絶望。すると今度は、電話の奥から彼女の声が聞こえてきて……。彼女は「ちょっと! 会社が終わるって何!? あなたからのお小遣いがなくなったら私、生活できないじゃん!」と、元夫に詰め寄っていました。
実は、A社の社長(彼女の旦那さん)は超堅実。若くして親から会社を引き継ぎ、大きく成長させた凄腕の経営者で、無駄を嫌い、仕事もプライベートも真面目でとても誠実な人。だからこそ、義父の会社とも厚い信頼を築き、長年にわたって良いお付き合いができていると義父が言っていました。
これは私の想像ですが、そんな社長だから彼女にも必要以上のお小遣いは渡していなかったのでしょう。普通に暮らしていれば何不自由なく生活できるはずが、無駄遣いが多い彼女にとっては、自由にお金を使わせてくれる元夫に乗り換えたほうが都合がよかったのかもしれません。
電話口からは元夫と彼女がののしり合う声が聞こえ、ついには2人とも泣き出し……私に電話がつながっていることを忘れているようだったので「2人とも、自業自得ね」そう言って私は電話を切りました。
家族を裏切った2人に待っていたのは…
その後、元夫の会社は倒産。さらに元夫は、A社の社長から多額の慰謝料を請求され、その支払いのため借金。なんとか再就職先を見つけたものの、そこのお給料だけでは生活できず、バイトも掛け持ちして、寝る間もないほど働いていると聞きました。
当然ながら、彼女も社長と離婚。自身の両親からの援助も受けられず、頼れるのはお金のない元夫のみ。2人で苦しい生活を送っていることでしょう。
一方私は、今でも義父の会社で社長秘書として働いています。義父は「本当に申し訳なかった」と何度も謝ってくれましたが、悪いのは元夫。これからも、義父とは信頼関係を築きながら、子どもたちと笑顔で暮らしていけるよう、仕事に励みたいと思います。
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身勝手な理由で家族を裏切った2人に待っていたのは、当然の結末だったのではないでしょうか。お金や欲望で簡単に人を裏切る生き方をすれば、いつか大きな代償が返ってくるものなのかもしれません。家族や友人、周りの誰かを傷つけることなく、誠実に生きていきたいものですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。