夫は育児をまったくせずに「努力が足りない」と責めるばかり。サポートに来たはずの母親からは「甘ったれんじゃないよ」と非難され、次第にわかなさんは追い詰められます。
ゆうりちゃんに対して「大っ嫌い」「産まなきゃよかった」という負の感情が沸き上がり「もうだめだ」と悟ったわかなさんは、自ら警察に電話をかけてこれから子どもに手を掛けると告ると、娘は児童相談センターに一時保護されるのでした。
帰宅後、自ら命を絶とうとするも未遂に終わり、産後うつだと診断されたわかなさん。カウンセリングを受けながら日常生活を送ります。つらさを感じながらも、わかなさんは「もう娘を憎みたくない。愛したい」と願うのでした。
待ってくれない時間と母親の変化
一時保護の期間が終わり、ゆうりちゃんとの生活が始まったわかなさん。
「ふとした瞬間に沸き上がる憎しみ」に怯えながらも、どうにか家族として前に進み始めます。
半年が経つころには、娘に触れても嫌悪感を抱くことはなくなり、娘をかわいいと思うことも増えていました。
「私はもう死にたいとは思わない」
わかなさんは、産後うつの重さ、現実の厳しさを改めて感じながらも、未来を見つめるのでした。
▼わかなさんのように産後うつに苦しむ母親は大勢います。誰のせいでもなく、望まずして陥ってしまう産後うつ。「苦しい」「つらい」と少しでも感じたら“周囲を頼って良い”、“頼れる場所がある”ことを知っておいてくださいね。わかなさんのように心を壊してしまう母親たちがひとりでも減ることを、心から願っています。
※産後うつ病はホルモンバランスの崩れを発端に、いろいろな条件が重なって発症するもの。マタニティブルーズが一過性のものであるのに対し、産後うつは2週間以上症状が持続します。産後うつはおよそ10%の方が罹り、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3カ月以内(早ければ産後2週~4週間ごろ)に発症することが多いです。発症の背景要因として、うつ病の既往のほか、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。確定診断には精神科医などによる検査・診断が必要です。治療としては、薬物療法とカウンセリングなどの精神療法が主体となります。なんでも完璧にしようと思わず、休めるときは休み、夫にも知識として産後うつのことを知っておいてもらうことも大切です。すでにつらい症状があれば医師に相談してください。
心が限界を迎えたとき、相談窓口に連絡するのも一つの方法です。『#いのちSOS』や『いのちの電話』では、電話、チャットやSNSによる相談に専門の相談員が対応してくれます。まずは、0120-061-338(#いのちSOS)や0120-783-556(いのちの電話)に電話してください。
神谷もちさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。