産後すぐに母乳が出ず、夫のだいちさんからは「努力が足りないんじゃない?」と心無い言葉を掛けられ、サポートに来たはずの母親からは「甘ったれんじゃないよ」と非難されるばかり……。
次第にわかなさんは追い詰められ落ち込み、ゆうりちゃんに対して「大っ嫌い」「産まなきゃよかった」という負の感情が沸き上がり「もうだめだ」と悟ったわかなさんは、自ら警察に電話をかけ、これから子どもに手を掛けると告げます。
警察に保護されたわかなさんとゆうりちゃんを迎えに来た夫は世間体を心配しますが、結局娘は児童相談センターに一時保護されるのでした。
帰宅後、自ら命を絶とうとするも未遂に終わったわかなさん。
夫や両親の謝罪に「もっと先に助けてほしかった」と思いつつ、入院。産後うつだと診断されたわかなさんは、娘のいない生活に安らぎを感じるのでした。
望んでなったわけじゃない「ひどい母親」
週一のカウンセリングに渋々通うようになったわかなさんは、だいちさんや両親に気遣われながら過ごしています。
「産後うつは恐ろしい」
出産を経て、180度人が変わってしまったと訴えるわかなさん。
わが子を手にかけてしまった母親のニュースを思い出し、「あの日、あなたのことを軽蔑してごめんなさい」「私も一歩間違えれば、同じことをしていた」と、決して特別ではない、誰にでも起こりうることだと思うと同時に、「娘を愛したい」と心から願うのでした。
▼大小はあれど、産後に悩み、気持ちが落ち込んでしまう人は少なくありません。産後のつらさに「ラクになりたい」「解放されたい」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。
わかなさんのように心身ともに限界を迎えてしまう前に、周囲の人たちや専門機関にSOSを出せるとよかったのかもしれませんね。ママ自身が安らげる時間や場所をみつけて、体だけでなく、疲弊した心にも休息をあげられるといいですね。
※産後うつ病はホルモンバランスの崩れを発端に、いろいろな条件が重なって発症するもの。マタニティブルーズが一過性のものであるのに対し、産後うつは2週間以上症状が持続します。産後うつはおよそ10%の方が罹り、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3カ月以内(早ければ産後2週~4週間ごろ)に発症することが多いです。発症の背景要因として、うつ病の既往のほか、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。確定診断には精神科医などによる検査・診断が必要です。治療としては、薬物療法とカウンセリングなどの精神療法が主体となります。なんでも完璧にしようと思わず、休めるときは休み、夫にも知識として産後うつのことを知っておいてもらうことも大切です。すでにつらい症状があれば医師に相談してください。
心が限界を迎えたとき、相談窓口に連絡するのも一つの方法です。『#いのちSOS』や『いのちの電話』では、電話、チャットやSNSによる相談に専門の相談員が対応してくれます。まずは、0120-061-338(#いのちSOS)や0120-783-556(いのちの電話)に電話してください。
神谷もちさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。