家族になれない私たち
再婚してから1年がたつ私。しかし夫との関係も、高校3年生の義息子との距離も、一向に縮まりませんでした。
仕事を理由に帰ってこない夫に、「今日も帰れないの?」と尋ねても、返ってくるのは冷たい言葉ばかり。義息子からは、ただ「オバサン」と呼ばれるだけの関係でした。
そう、家庭の中で私はずっと部外者のような存在だったのです。少しずつ仲良くなれたらと願っていたけれど、私の慎重さは「弱気」として扱われてしまうよう。私はただ、無理に押しつけず、丁寧に関係を築いていきたかっただけなのに……。
そんなある日突然、買い物に出ていた私に、義息子からメッセージが届いたのです。
崩れ落ちた仮面
「オバサン、パパから離婚届が届いたよ」
「ついに捨てられたね」
「やった!今すぐ出してくる!」
「明日から家なきオバサン確定」
夫は今、出張中。それなのに、わざわざ離婚届を郵送……? ともあれ、私は思わず「今すぐ出してくる!」と返信していました。
本当はもう気付いていたのです。夫の気持ちが私にはなく、不倫していたこと。そして彼の目的が、他界した元夫の遺産だったということにも。再婚後すぐ抱いた違和感は、すべて現実だったのです。
夫婦共通の口座の残額はほぼゼロになったので、私は用済み。離婚しようと言うのでしょう。そして、主婦の私を見下す発言をしてきました。
挙句に、「他人のオバサンがいなくなって清々する」とまで。私は冷静に返信しました。
「あなたとは1年の付き合いだったし、いきなり家族になるのも大変だったと思う……。ただ、離婚するなら、あなたのお父さんに多額の慰謝料を請求する。これから生活苦になるかも。あなたが悪いわけじゃないからかわいそうだけれど、恨むなら父親を恨んでね」
まさにどんでん返し
それから数週間後……。義息子が、「お義母さん……。助けてください」と頭を下げに来ました。
あの後、不倫の証拠をつかんでいた私が有責離婚で慰謝料を請求。元夫は息子の学費を出せないと言い、慰謝料の取り下げをするよう息子をたきつけたというのです。
かつて私を「ホームレス確定」と嘲笑していた彼が、今は泣きながら懇願する姿を見て、複雑な気持ちになりましたが、許す筋合いはありません。
結局元夫は、不倫相手と慰謝料のことでもめにもめ、破局したそうです。私はといえば、不倫相手から一括で慰謝料を返済してもらい、貢ぎ過ぎて貯金すらも底をついていた元夫からは、分割払いになりました。
一方の義息子は、実母と暮らすようになり、何とか落ち着いたようです。
まさか、前夫の他界を乗り越えた先の再婚がこうなってしまうとは……。他界した夫以上にすてきな人はいないということなのでしょう。あの人に胸が張れるよう、私はひとりでも好きなことを楽しんで、残りの人生を悔いなく生きていこうと思います。
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せっかく再婚した相手が、遺産狙いの浮気男だったとは……。義息子からも暴言を浴びせられて、大変でしたね。すぐに離婚できてスッキリ。これを機に、生き方について覚悟が決まったのなら、むしろよかったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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