ところが式の前日、義母から信じられない連絡が入ったのです。「あなたが来ると派手すぎて目立つから、式には来なくていいわ」
義妹に確認すると「お母さんがそう言うなら……」と同調。義妹の性格上、義母に反抗できないのは予想通りでした。怒りと悲しみが入り混じった気持ちになりましたが、主役はあくまで義妹。私が出席して波風を立てるよりも、静かに身を引いたほうが良いと考え、欠席を決めました。
満足げな義母の声
式が終わった翌日、義母から電話がかかってきました。「昨日は最高の式だったわ! 悪目立ちする嫁がいないおかげで、娘のかわいさが引き立ったもの!」
たしかにアパレル業界に身を置く私は、少し派手に見えるかもしれません。それでもTPOをわきまえて、義実家に行くときはシンプルな格好を心がけていました。しかし義母は、私のメイクや持ち物など、すべてが目障りだったようです。
義母は「嫁は控えめにすべき」と説教までつけたしてきます。そんな理由で私の結婚式出席を拒んだのかと思うと、ため息しか出ません。
もし私が目障りであるなら、そう言ってくれればよかったのに……。極めて薄いメイクで地味な格好でも構いません。私は義妹のお祝いに出席したかったのです。
そう伝えると「親の愛情なのにわからない? あなたが来たら、娘よりも目立ってしまうじゃない」と主張します。結婚式の主役は新郎新婦です。それに、義妹もとても素敵な女性。笑顔いっぱいなドレス姿の新婦より私が目立つとは思えません。私は呆れてしまいました。
結婚式の裏事情
その少し後に今度は義妹から電話がありました。用件は、結婚式への出席を断ってしまったこと、義母をたしなめられなかったことへの謝罪。「お母さんの態度、あんまりだよね……ごめんなさい。私の結婚式、お義姉さんの力を借りて安くしてもらったままなんて、図々しくて耐えられない。だから、割り引いてもらったものは全部正規料金でお支払いさせてください」と弱々しい声で話しました。
義妹の結婚式に向けて、私は仕事のツテをフル活用してサポートをしていたのです。衣装や小物は格安で借り、カメラマンも知人価格で依頼。結婚式場は撮影で利用しているツテで割引を受け、装花も知り合いのフラワーデザイナーに用意してもらい、結果的に予算よりも150万円も安くなったと義妹は喜んでいました。
しかしこれは義妹へのお祝いの気持ちを込めて、私が率先してやったこと。今更支払ってもらうつもりはありません。
そう伝えても義妹は引きません。そこまで言うのなら……。私はあるアイデアを持ちかけました。義妹は最初は納得しなかったものの、説得の末、了承してくれたのです。
私の仕返し
義妹との電話を切ったのち、私は義母宅へある郵便を送りました。内容は請求書です。安くなった結婚式代150万円を義母に請求することにしたのです。
請求書を目にした義母は、驚きと怒りを込めて電話をかけてきました。「支払わない!」と主張する義母に、私は淡々と説明しました。
「式場もドレスもカメラマンも、私の仕事のつながりで紹介したものなんです。特別価格でそろえたので、本来の費用よりも150万円安くなっているはず。娘さんが『出席を断ったお詫びに正規料金で支払いたい』と言ってくれたんです。それで、結婚式の費用を建て替えていたのはお義母さんだと思い、直接お義母さんにお願いしました」
「そんなの払えるわけないわ!」と義母は大慌て! 私は「とにかく、娘さんと話し合って、しっかり支払ってくださいね。お義母さんが払わなかった場合、義妹に請求させてもらいます」とだけ伝えて、電話を切りました。
娘を溺愛する義母が、150万円を娘に負担させるはずがないことは明らかでした。これが私が義母をギャフンと言わせるためのアイデア。どう出るか、楽しみで仕方がありません。
絶縁宣言と新婦からの感謝
追い詰められた義母は感情を抑えきれず、「もう、あなたとは縁を切る!」と声を荒らげました。
「それでもいいですよ! 今回の件で夫からも『母さんとは距離を置いたほうがいい』って言われていますし」私が笑顔で即答すると、義母は絶句。慌てて「やっぱり絶縁は…」と取り繕おうとしましたが、もう手遅れでした。
その後、最終的に義母は支払いに応じてくれました。ただ、実際には受け取ったお金はお返しし、今後の関係もスッキリ整理することにしました。これでもう会うこともないでしょう。
義妹からはあらためて結婚式の写真と「式場もドレスも最高だったし、こんな写真が撮れたのもお義姉さんのおかげ! 本当にありがとう!」という感謝のメッセージが届きました。出席できなかったのは残念でしたが、義妹が満足する結婚式を挙げられてよかったと思っています。
義母の見栄と支配欲に振り回された結婚式でしたが、結果的には自らの言動が裏目に出ただけでした。これからは義母の干渉を気にせず、自分の生活を大切にして歩んでいきたいと思います。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。