私が育休に入って以降、夫はことあるごとに『俺の金』『俺の金』と、うるさく言ってくるようになったのです。
私と夫は、収入がほぼ同じ額なので、それまでは家賃も生活費も、すべて折半していました。妊娠がわかってすぐに、生活費について夫婦で話し合い、私の育休が明けるまでは生活費の大半を夫が負担してくれることに。
当初は「頑張って稼ぐから大丈夫! 2人で頑張っていこう」と言ってくれた夫。そのときは、とても頼もしく感じました。
しかし、娘が生まれてから、少しずつ夫の態度が変わっていったのです。
家事育児をすべて丸投げの夫
生活費のほとんどを自分が出しているということに、だんだんと納得がいかなくなってきた様子の夫。なにかにつけて、「無駄遣いだ!」「節約しろ!」と言ってくるようになりました。「俺の稼ぎで生活できているんだ!」と威張り散らし、私を見下すようになったのです。
その上、家事育児はすべて私任せで、一切手伝ってくれません。育休中で私の収入が減っているとはいえ、私も一応生活費は出しており、それなのに何も手伝ってくれない夫。私が料理中で手が離せないとき、娘が泣いても夫は娘を無視してスマホに夢中。娘を抱いてあやすことも、様子を見ることすらしてくれないのです。
家事育児は丸投げで、節約しろと言ってくる夫ですが、食事のメニューは食べたいものをリクエストしてきます。それも、手間のかかるものばかり……私には我慢や節約を強要するのに、自分はお金を好きに使って威張り散らす。日に日に、夫への不満は増していきました。
ある日、私は遊びにきた姉に、夫のことを相談しました。真剣に私の話を聞いてくれた姉は、やさしくほほ笑みながら「大切な娘のために、勇気を出すことも必要よ」と言ったのです。私の周りには頼れる人、味方がたくさんいるのだから大丈夫と、励ましてくれて、「ときには切り捨てることもいとわない、そんな決断力や行動力も大事なのよ」と教えられました。
姉からの言葉を受けて、母になった今、私にとって最も大切なもの、守りたいものについて改めて考えた私。そして、「必要なときには勇気を持って決断しよう」そう心に誓いました。
我慢の限界…決意を固めた私は
私が誓いを立ててから数週間後、またも料理中に娘が泣き出したある日。夫はいつも通り、娘を気にもとめません。私が娘を見てほしいと頼んでも、夫が娘をあやしてくれることはありませんでした。仕方なく私が、娘を抱っこしてあやしていると、今度は玄関のチャイムが。もちろん、夫は出てくれません。
宅配の荷物が届いたので、娘を抱っこしたまま私が対応しました。届いたのは、娘のおむつやミルク。娘を見ながら買いに行くのが大変なので、まとめて頼んでいたのです。
娘を寝かせて、私が荷物を開封していると、夫が「なんだそれは! 頼んだのか? 俺の金を無駄に使うな! なくなってから店まで安いのを買いに行けよ」と怒鳴ってきました。私の大変さを理解しようともせず、まとめ買いを無駄だと……それに、娘のおむつやミルクが、無駄な買い物だと言われた気がして、あ然としました。
怒りが込み上げてきた私は、今こそ勇気を持って決断すべきだと確信。夫は娘のための買い物を無駄だと言いますが、私は私と娘の未来には夫が無駄な存在だと思い、離婚を宣言しました。
すると、「離婚だと? 急になにを言い出すんだ!?」と夫は慌てましたが、私にとっては急な話ではありませんでした。引き出しから記入済みの離婚届を出して、「別れてください」と夫に告げた私。
私が育休に入ってからのここ数ヵ月、何度も離婚の2文字が頭をよぎっていました。娘には父親が必要だと思い、我慢してきましたが、もう限界でした。娘のお世話に加えて、夫のお世話。それに家事もすべて私ひとりで……この生活をこの先も続けるのは無理です。
私と娘の未来に無駄なのは夫の存在
夫は「俺がいなかったら生活できないだろ!?」と言ってきましたが、何にもしない夫にイライラしながら我慢する生活を続けることのほうが不可能。私は娘を連れて、実家へ戻りました。
両家両親と話したところ、みんな私の味方になってくれました。ゴネる夫を説得し、離婚届にサインさせ、養育費の支払いを約束させてくれたのは、義両親でした。両親は急に出戻った私を快く受け入れてくれて、育児も助けてくれています。姉も頻繁に様子を見にきてくれて、娘の遊び相手になってくれています。
夫からは復縁を懇願する連絡がきましたが、義両親にこっぴどく叱られたようで、しばらくして復縁について何も言われなくなりました。今は、両親と娘と幸せに暮らしています。父親がいなくても娘を立派に育ててみせます!
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人間関係を断舎離するのは、なかなか難しいですよね。その人との関係が近ければ近いほど、簡単に決断はできないはずです。しかし、その関係を維持することが、他の大切な人や自分の未来に影を落とす要因となるのであれば、勇気を持って決断、行動することも大切なのですね。両親と娘さんと幸せに暮らしていってほしいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。