弟からのSOS!
仕事が終わり、母の手料理を囲んで家族団らんの時間を過ごしていたとき……。弟が深刻な表情で相談を持ちかけてきました。「実はさ、うちの会社が今ピンチらしいんだ……」
聞けば、社長が代替わりしてから、会社の経営が不安定になっているのだとか。
「新社長のAさんがどうもね……」と話し始めた弟。「今後を見据えた投資だ」「攻めの姿勢でいく」と、会社のお金をあらゆることにつぎ込み、マネーリテラシーの欠如や現実を直視しない姿勢に、弟も社員一同も危機感を抱いているというのです。
そしてなんと、「姉さんはコンサル会社の部長なんだから、うちの社長にそれとなく話をしてみてくれない?」と頼んできました。
本来なら、クライアントから相談された場合に経営状況や今後の方針を一緒に決めていくのですが……。大事な弟のため、そしてわが社の営業もかねて、この社長と話をしてみようと決意しました。
「わかった。じゃあ日時を決めたら教えてね。訪問するから」と応じた私は、社員たちを救うべく行動を起こすことに決めました。
清掃員に怒鳴る社長
一方そのころ、新社長のAは自身の浪費を正当化。「俺がオヤジの代よりもデカい会社にしてやる!」という意気込みのもと、高級車やタワマンなどに浪費し、外見にばかりこだわっていたのです……。
弟や社員たちが提言しても、「仕方ねぇから社員の給料を下げるか」と、まるで的外れな判断をしようとしたのだとか。
そんな中、いよいよ弟がセッティングした私の訪問日になりました。A社長には、「大手企業をクライアントに持つコンサル会社の部長が会いたがっている」と伝えたため、鼻高々で『忙しいが仕方がない、会ってやるか』という話になったのです。
こうして私は弟の会社にやって来たのですが、会議室の手前まで通されて、しばらく社長を待つことに。しかし、会議室の前の廊下にはゴミが散乱。角に置いてあったゴミ箱の周りにも空き缶やらペットボトルやらがあふれているほどで、見かねた私はゴミ拾いを始めました。
そのとき、男性の怒鳴り声が聞こえたのです。「なんだお前は! これから会議なんだ、清掃員は目障りだから消えろ!」
そう。暴言を受けたその女性とは、この私だったのです。怒りを覚えた私はその場でアポを取りやめるメールを送信。弟にも、「この会社とはもう関わらないほうがいい。転職したら?」と告げました。
実はその人は…
数日後。あの清掃員がコンサル会社の部長をしている私だったと知った社長は、大慌てで弟に泣きついてきたのだとか。そして、急いで私の勤めるコンサル会社に謝罪に来ると言いだしたようです。
息せききってわが社にやって来たAでしたが、迎えたのは私だけではありません。わが社の代表を務める父が仁王立ちしていたのです。
「いつも息子がお世話になっています。先日は、御社に伺った娘のことも叱責していただいたようで……。至らぬ点がありましたかな?」とピシャリ。Aはしどろもどろになりながら、「清掃員と間違えた」と謝りましたが、父はさらに一喝。
「清掃の方を見下すことがそもそもありえない。さらに、掃除が必要なほど廊下が汚れていたそうじゃないか。こんな社長の会社には息子を任せられないし、コンサルティングも控えさせていただく!」
こうしてAはすごすごと引き下がっていきました。その後、弟は実力を見込まれて他の会社からヘッドハンティングを受け、転職に成功。Aの会社がこのまま倒産するのか、それとも再生できるのか……。それは、A自身のこれからの行動にかかっています。
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人を見た目で判断し、暴言まで吐いた非常識な新社長でしたが、最後はガツンと言えてよかったです。残った社員のためにも、これから心を入れ替えて会社を再建できるといいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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