深夜に聞こえた“本音”
夕食後、いつものように義両親は友人や職場の話を始めました。すると義母がふとこんな話を切り出したのです。義母「お友達に3人目の孫が生まれたの」とひと言。それを受けて、義父も「部下のところも2人目が男の子だって!」と笑顔で話すのです。すると、義母が満面の笑みで「まぁ、男の子が2人もだなんて安心ね」と言葉を重ねるのでした。
私は義両親の会話を聞き胸がチクリとしました。私たちも2人目を望んでいるけど、なかなか授からず……。すると夫が、少し申し訳なさそうに「ごめんな……。2人目できなくて……」と呟きました。私は慌てて「誰のせいでもないよ! 焦らずに待とうよう!」と声をかけました。しかし、心の奥では夫と同じように胸が締めつけられていました。
ある夜、娘に「ママ、トイレ」と起こされ私は静かに廊下を歩いていました。そのとき、義両親の部屋から「ハズレ嫁を引いちゃって!息子が不憫だわ」と耳を疑う言葉が聞こえたのです。思わず立ち止まった私の耳に、さらに信じられない言葉が! 義父が「男孫を産めない嫁は追い出せ!若い嫁に変えろ!」と言い放ったのです。まさかの発言に、私は体が固まりました。きっと娘も聞いてしまったのでしょう……。娘は私の手をぎゅっと握り、うつむいたまま動けずにいたのでした。
仕組まれた“買い物”
数日後の朝、義母が突然「今度の休み、買い物に付き合ってくれる?」と夫に声をかけました。続けて、私に向かって「あなたは娘ちゃんとゆっくりしててね」と言うのです。義母の少しよそよそしい態度に、私は胸の奥に違和感を覚えました。普段夫と一緒に買い物に行くことなんてないのに……。
当日、義母の言動がどうしても気になった私は、娘とこっそり後をつけることにしました。夫と義母が入ったのは、買い物ではなくカフェでした。そこへ突然、若い女性とその母親が“偶然”を装って現れたのです。 義母は白々しく「あら、奇遇ねぇ」と言い、笑顔を浮かべながら挨拶を交わしました。そして義母は「息子なの」と夫を紹介したのです。すると若い女性が「初めまして! 男の子がほしいっておばさんから聞いてます♡」とひと言。
女性の発言を聞いた夫は仕組まれたことに気づき、「俺には妻と娘がいるんだ!こんなことが目的なら帰る!」と声を荒げました。義母は慌てて取り繕いますが、時すでに遅し。隠しようがありませんでした。
娘の反撃
次の瞬間、隠れていた娘が我慢できず前に出ました。そして小さな声で「おばあちゃん、私のこと嫌いなの?」と問いかけました。さらに娘は「ママが赤ちゃん産めないから、追い出すつもりだったんでしょ?」とズバッとひと言!
義母は口ごもり、視線を逸らしました。娘の言葉に心を動かされた私は勇気を振り絞り「お義母さん、男孫が欲しいからって、こんな計画立てるなんて……!もう元の仲には戻れません!」と反論! 義母は顔を覆い、何か言い訳しようとしますが、もう無理でした。そして夫は静かに「俺、妻と娘と出て行くよ」と別居宣言をするのでした。
義母は崩れ落ちましたが、夫は振り返りもせず私たちはカフェを後にしました。その後、私たちは荷物をまとめ新居へと移りました。義両親からの圧力がなくなり、穏やかな日々を過ごしています。
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男孫へのこだわりや無神経な言葉が、家族を大きく傷つけることもあります。子どもは“性別や人数”で価値が決まるものではありません。家族を思うなら、まず相手の気持ちに寄り添うことが大切ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。