キッズスペースを占領する学生たち…
5年前、長女がまだ生後3カ月のころ、車で30分ほどの距離にある実家に子どもたちを連れて帰省したときのことです。地元の小さなショッピングモールへ買い物に行くことに。その日は休日でしたがサービス業の夫は仕事で来られなかったので、私の両親がついてきてくれ、子どもたちもおもちゃを買ってもらいうれしそうでした。
しばらくして当時2歳だった長男が「おなかすいた」と言うので、フードコートで昼食を食べることに。両親は先に注文に行き、私と子どもたちは座敷タイプのキッズエリアに向かいました。しかしそこでは、高校生6人がまるで自宅かのように足を広げくつろいでいたのです。キッズエリアには、ローテーブルが3つのみ。大きな高校生たちが6人もいると、私たち子連れが座るスペースはありません。
フードコートが混む前の時間帯だったので、ほかのテーブル席は空いていたのですが、今回はベビーカーを持ってきておらず、まだ子ども用の椅子にも座れない長女を抱っこしながら食べるのは大変。私は高校生たちに「ここ小さい子どものエリアだから、場所変わってもらえるかな?」と声をかけました。
すると「は? 俺たちが先にいたんだから、そっちがどっか行けば?」「俺たちもまだ学生だから“子ども”だよな」と笑って、移動しようとしない高校生たち。態度にイラッとしましたが、周りの視線もあり仕方なく移動することに。しかし、よく見ると高校生たちの制服と持ち物に見覚えが……。
そこへ「場所あったか?」と父が合流。キッズエリアにいる高校生たちの制服と持ちものを見て「おぉ! 〇〇高校の野球部か」と話しかけに行くではありませんか。高校生たちも「誰? このおじさん」というような目で見ています。しかしそんな視線にはお構いなしで話を続ける父。「わしも同じ〇〇高校の野球部出身なんよ」「今の顧問はわしの後輩でな。この前も差し入れさせてもらったんやが、覚えとらんか」という話を聞いて、ハッと思い出したのか目を丸くする高校生たち。血相を変えて「あ、どうぞ使ってください。すみません、いつも差し入れありがとうございます!」と、そそくさとキッズエリアを出ていきました。
父とその学生たちの通っていた高校の野球部は、地元では昔から有名な強豪校。孫がいる年齢になってもいまだに差し入れを持って行くなどの関係が続いていて、上下関係も厳しいそう。高校生たちは「顧問の先生にこの状況がバレたらまずい……」と思ったのでしょう。高校生たちの制服に見覚えがあったのは、父がすれ違う高校生を見ると「わしの後輩だ!」と自慢していたから。こんなところで、父の経歴に救われるとは思いませんでした。
このことがあって以来「悪いことをすると、絶対に誰かが見ているからね」と子どもたちにも教訓として伝えています。
著者:下野香月/30代・ライター。面倒見のいい7歳の長男と、ひょうきんな5歳の長女、甘えじょうずな3歳の次女を育てている元保育士ママ。在宅勤務をしながらスキルアップ中。日々子どもたちに癒やされながら、忙しくにぎやかな毎日を送る。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
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