娘の誕生日をドタキャン!?
楽しみにしていた誕生日パーティーができず、娘はずっと泣き続けて、ついには疲れて眠ってしまいました。娘の傷ついた心を思うと、私の目からも涙が溢れそうです。
夫は、今まで地元の集まりがあっても「めんどくさいから今回はいいや」と言って、顔を出すことはありませんでした。娘の誕生日パーティーをドタキャンしてまで行くような人ではなかったと思うと、今日の行動は不可解でなりません。
ちょうど義母からお祝いの電話がかかってきたので、私は義母に相談してみることにしました。
夫の今日の行動を伝えると「あぁ、そうそう! その子、息子の初恋の相手なのよ! もしかしたら、運命の再会を果たしているのかもね」と浮かれる義母。私は絶句してしまいます。まさか、娘の誕生日に初恋の相手を優先するなんて……!
「本当に仲が良くてね〜! 高校に上がる前にご家庭の事情で引っ越しちゃったんだけど、まさか再会するなんてね! 運命の赤い糸で結ばれてたり……!?」と盛り上がる義母に、思わず「私、あなたの息子さんと結婚してるんですけど……」と口を挟んでしまいました。
すると義母は気まずそうに「ごめんなさい! 違うのよ! なんだかこっちまで懐かしくなってしまって……」と謝ってくれました。
初恋の相手はたしかに特別な存在かもしれませんが、娘の誕生日をすっぽかしてでも会いたいものでしょうか? 私には理解できません。義母に尋ねると「初恋だったら仕方ないじゃない?」という返答が……。夫の価値観は義母譲りなのかもしれません。
これ以上話しても意味がないと思った私は、話を切り上げて電話を切ったのでした。
初恋を諦めきれない夫
2週間後、パーティーをドタキャンした夫を許すことができず、夫婦関係もぎこちなくなっていたある日、夫が神妙な面持ちで私に話があると切り出したのです。
「俺、同級生の彼女とやり直したい。初恋ってやっぱり特別なんだよ。今の俺にとって本当に必要なのは彼女なんだ。だから、別れてくれ」
あまりの身勝手さに言葉を失った私。「でも……離婚ってそう簡単にできるものじゃないよ? 娘のこともあるし……」と拒みました。娘はパパが好きなので、離婚するつもりはないのです。
「できるさ。離婚届にサインをして提出するだけだ。ちゃんと養育費を払うから、娘はお前が育ててくれ」と夫。頑として離婚の意思を曲げませんでした。
義母からのお願い
翌日、義母から電話がかかってきました。「あなた、離婚に応じなかったそうね? 息子のことを思うなら、幸せを願って、大人しく身を引いて」と言います。
どう返事をして良いか迷い黙っていると、義母はいかに息子と初恋の彼女がお似合いか、今再会したのは運命に間違いないと、追い討ちをかけます。
私は義母の話を遮って言いました。「娘のこともありますし、夫と離婚はしません」「それに私が夫と離婚したとしても、彼女と夫が結婚できるわけじゃないでしょう?」
すると義母は「運命の相手同士なんだから、結婚なんて秒読みに決まってるじゃない!」と言うのです。
「……でも、その彼女、別の方と結婚しましたよ?」
夫の初恋の真実
実は、離婚を宣告された昨夜、不安でいっぱいになった私は、当時を知る共通の友人に初恋の彼女のことを探ってみました。すると彼女が今回地元に帰ってきたのは、結婚を控えた引っ越しのためだそう。初恋が再燃することなどあり得ないと言うのです。
それでも、疑いの気持ちが晴れなかった私。共通の友人を巻き込んで申し訳ないと思いながらも、夫と彼女の過去のことを聞いてみました。すると、仲が良かったと思っていたのは夫だけ。聞けば、初恋の彼女は学生時代から夫に嫌がらせじみたことをされてきていたそう。
担任を通じて保護者に相談しても、「好きな子には意地悪しちゃうよね~」という感じで見守るだけで、解決することはなかったのだとか……。あの義母が言いそうなことです。
つまり、初恋だ運命だという話は、夫と義母の完全なる思い込みだったのです。私は義母に真実を告げました。
初恋こじらせ夫の末路
「そんな……じゃあ、うちの息子が騙されてたってことじゃない! 弄ばれてたのね!」と言い出した義母に、「現実に向き合ってください!」とぴしゃりと言って、私は電話を切りました。
その後、義母からすべてを聞いた夫は「ごめん……冷静になったよ。離婚したくない。家族3人でやり直そう」と泣きついてきました。
「離婚はしない」と言った途端、ぱぁっと顔を輝かせた夫。しかし、続けて「娘のために籍だけはそのままにしておこうと思って。でも、平気で嫁と娘を裏切ろうとしたあなたと生活を共にしたくはないから、別居しましょう」と言うと、夫の顔色は真っ青を通り越して土気色になっていました。
「あなたは実家に住んで。私たちはこのままここで暮らすから」私の言葉に夫は呆然としていましたが、これくらいの報いは受けて当然でしょう。
義母からも「息子とやり直してあげて。一緒に生活して!」といった連絡が頻繁に来ますが、きっぱりと断り続けています。今は娘が「会いたい」と言ったときに会わせるようにしています。そして、娘を私から奪おうとした義母には二度と会わせたくないというのが本音です。
今、私は娘と2人で穏やかに過ごしています。別居に対して不安があるわけではありませんでしたが、娘を守れるのは私しかいない――そう思うと、やる気が出てきます。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。