平穏な日々を過ごしていたわが家でしたが、ある日、事件が起こりました。突然、義妹が義実家に戻ってきたいと言ってきたのです。義母は私を気遣って一度断ったようですが、私は歓迎することにしました。家事が1人分増えるくらい、どうってことはありません。そう義母に伝えると……。
義母が心配していたのは、義妹の性格のことでした。私はあまり面識がなかったので、よく知らなかったのですが、難関大学を卒業し、大手企業に勤めている義妹は、義家族内のトラブルメーカーらしいのです。我が強く、プライドが高いので、相手を見下したような口ぶりで、自慢ばかりしていて、いつも周囲を不快にするのだと義母は言います。
そんな性格が災いして、人間関係のトラブルが多く、義家族と揉めて、もう何年も義実家に帰ってきていません。それが急に同居……何かあったのでしょうか。
専業主婦の私を見下す義妹
いよいよ義妹が引っ越してくる日となりました。そして、さっそく義妹は「私は優秀で会社の稼ぎ頭だから、忙しくて仕事を休めないの」と言って、引っ越し荷物の受け取りを私に丸投げしてきました。「お義姉さんは専業主婦だし、どうせ暇でしょ?」と言われたのです。
外で働く大変さは私も経験しているので、協力することにしましたが、義妹は自分の大変さは私にはわからないとバカにしてきます。そして、大手企業で出世コースを歩める人材は異例だと、自らをほめ倒していました。その上、専業主婦の私を見下し、「お義姉さんみたいに社会に必要とされなくなったら生きていけない〜。誰かに養われるなんてプライドが許さないもん」と豪語。
その日から、義妹に嫌みを言われる生活が始まりました。義妹いわく、「結婚は無能な女がするもの」だそうです。世の中には、子どもを育てながら立派に仕事をしている女性がたくさんいます。それに、結婚したいと思っている女性を悪く言っているようにも聞こえるので、それはどうなのだろうかと私は疑問を呈しました。
そんな私に、「な〜に〜? 悔しいの? 恥ずかしいの?」と、重ねて侮辱する義妹。挙げ句、「エリートの私に嫉妬しても無駄よ? 出来が違うんだから」とまで……。
そんな見下される生活を続けて1年。私たち夫婦に子どもが生まれると、さらに輪をかけて私をいびるようになった義妹。「泣き声がうるさい」と毎日のように文句を言われ、出ていけとまで言われるようになりました。
そもそも、将来的なことを考え、義母の面倒をみるために同居した私たち夫婦。そのため、私たちが出ていっては意味がありません。
我慢の限界に達した私は…
「お義姉さんって専業主婦で世間知らずだから」
「外に出たほうがいいですよ!」
突然、義妹からアドバイスされた私。義妹は私の何を見てそんなことを言っているのでしょう……。私は社会人経験もあり、世間知らずだと思ったことも言われたことも一度もありません。
どうしてそこまで私を目の敵にするのか理解できませんでした。図々しく居座って、義母にすり寄り、義実家を手に入れるつもりだろうと疑ってくる義妹。義母に家事を押し付けているだとか、育児を手伝わせて負担をかけているだとか、事実ではない嘘まで並べ立てられ、文句を言ってきたのです。
「わかった! そうするね!」
もうこれ以上、義妹とは一緒に暮らせない……我慢の限界に達した私は、義妹のお望み通り出ていくと告げました。
私が承諾したというのに、それでもまだ義妹は「まぁでも、専業主婦のおばさんにできる仕事なんかないか〜。世間知らずが外に出たら迷惑か〜」と嫌みを続けます。
「トイレ掃除とかお似合い♪」
私をあざ笑いながら最後に吐き捨てられた言葉には、本当にあきれてしまいました。
義妹の要求を拒否!そして義母は…
私たちが義実家を出た日、帰宅して義母が見当たらず義母に電話をかけてきた義妹。義母が電話に出ると、「どこにいるのよ?」と質問したあと、義妹は義母の回答を待たずに「どうせ私が家を相続するのだから、今のうちに家の名義を私に変えてよ」と要求してきました。しかし、義母は名義変更を拒否。そして、「これからも長男家族と暮らす」と告げた義母。
このとき、義母は私たちと一緒に新居にいたのです。私が義妹に出ていけと言われるようになり、引っ越しを検討し始めたころ、義母から義妹とは一緒に暮らしたくないと言われ、私たちは義母と同居する新居への引っ越しを決めたのでした。
義母は、義実家の売却を決断。義妹には「家が見つかり次第、出ていきなさい」とだけ告げて、義妹に新居の住所を伝えませんでした。その後、義妹は義実家を出てひとり暮らしを始めたようです。今、私たちは新居でのびのびと育児をしながら、これまで通り平和に仲良く暮らしています。
◇ ◇ ◇
社会的地位や給与の額など、それらを誇りに思うことは悪いことではありません。しかし、それをひけらかして他者を見下してはいけませんよね。そうすることが幸せにつながるとも言えません。ときには競争が必要なときも、それがいい結果につながることもありますが、人間関係においては、張り合って優位に立つことよりも、助け合って穏やかに過ごすことのほうが、はるかに幸せなのではないでしょうか。相手を尊重して、思いやっていきたいものですね。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。