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夫「両親と温泉旅行中なんだから邪魔するな!」→「義父は一昨日亡くなったけど…」父親の最期に夫は…

学生時代から付き合っていた夫と結婚して10年。娘も生まれ、義両親とも良好な関係を築いていました。しかしそんなある日、義母から義父の突然の訃報を伝えられたのです。

「息子に連絡をお願いしてもいい? やることがたくさんあって……」と義母。私は「旅行に行く」と言って早朝に出かけた夫に電話をかけました。

亡くなったはずの義父と旅行する夫

一刻も早く夫に伝えて、家族3人で義実家に向かいたいと思っていた私。何度か電話を掛けて、夫につながったのは訃報から1時間後のことでした。

 

ようやく連絡が取れた夫に「旅行先ってどこなの? 誰といるの?」と尋ねると、「ちゃんと伝えなくてごめん! 今日は親孝行しようと思って両親と温泉旅行に来てるんだよね」と言います。

 

状況が飲み込めず言葉に詰まっていると「たまにはいい息子アピールしないとな!」と夫。私が疑っているとは、微塵も思っていないようです。

 

いけしゃあしゃあと嘘をつく夫に、私は言葉を失いました。本当のことを教えるのが嫌になり、黙って電話を切りました。

 

「お義父さん亡くなったよ」

このままだと、夫はしばらく帰って来ないでしょう。夫はスマホの電源を切ってしまったようで、それ以来電話もつながらなければメッセージに既読もつかなくなってしまいました。

 

さんざん悩んだ結果、私は義母に「夫は急ぎの出張ですぐには駆けつけられない」と伝えました。本当のことを伝えたら、ショックを受けると思い、言えなかったのです。

 

夫が帰ってきたのは、2日後のこと。2泊3日の旅行を楽しんできたようです。

帰宅した夫は、部屋に掛けておいた喪服を見て「誰か亡くなったの?」と呑気な様子。

 

「旅行どうだった?」と尋ねる私に、「親父がすごく喜んでいた」「定期的に家族旅行に行くことになった」と明らかな嘘を重ねます。その上、「旅行中は親子水入らずの時間を過ごしてるんだから、連絡してくるなよ?」とまで言われる始末。

 

そこで私が「お義父さん亡くなったよ」と言うと、夫は「なんて不謹慎なことを言うのだ」と怒ります。しかし私が真面目な顔で、改めて義父の訃報を伝えると、夫は急に口ごもってしまいました。

 

最期の別れに間に合わなかった夫

問い詰めたいのは山々ですが、葬儀の準備で義母がひとり忙しくしていることはわかっています。急いで義実家に駆けつけることにしました。

 

夫の実家のある地域では、葬儀の前に火葬を行う習慣があります。夫が帰宅した日は、ちょうど義父を火葬する日でした。いつ帰宅するのかわからない夫を待てず、私たちが到着したときには、義父はすでに小さな骨壷に収められていました。

 

義父の他界から3日、悲しい気持ちの中で手続きや葬儀の準備を気丈に取り仕切ったのは義母です。一番つらく大変だったとき、夫は何をしていたのでしょう。

 

夫は、自分の行動で父の最期に立ち会えなかった悔しさと、母をひとりにしてしまった罪悪感に押しつぶされたのか、声を押し殺して泣いていました。

 

取り返しのつかない後悔

葬儀の後、やっと話し合いの機会を持つことができました。なぜ父親が亡くなったのにすぐに駆けつけられなかったのか? と義母も納得のいかない顔をしていたので、同席してもらいます。

 

夫は観念したのか、亡くなった義父を前にこれ以上嘘を重ねられなかったのか、本当のことを告白しました。

 

両親への親孝行だと嘘をついて出かけていた旅行は、私の予想通り不倫旅行でした。まさかこんなことになるとは思わず、そして親孝行のための旅行だといえば私がこれ以上追求しないと思って嘘をついたと言います。

 

そのせいで父親の最後の顔も見られず、ひとり息子であるにもかかわらず母親を支えることもできず、深く深く後悔しているようでした。

 

私は許すことができず離婚を決意。義母は息子のしたことが受け入れられなかったのか、食事ものどを通らず、数日後には体調を崩して寝込んでしまいました。そんな息子のことを義父はどう思っているのか……、今ではもうわかりません。

 

 

取り返しのつかないことをしてしまった夫。両親を持ち出せば、妻は追及を控えるだろう――そんな安易な考えからついた嘘が、一生消えない後悔に変わります。夫は、これから先も一生、この後悔を抱えて生きていくことでしょう。今回の出来事は、誠実でいることの大切さを改めて思い知らされるものでした。

 

 

【取材時期:2025年7月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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