氷のクイーンと呼ばれる上司
僕は真面目だけが取り柄の会社員です。
僕の職場には、誰もが一目置く女性課長がいます。美人で仕事もできる、まさに理想の上司。ただし感情をあまり表に出さず、部下への指導も一切の甘えなし。その冷たさから、社内では「氷のクイーン」と呼ばれていました。
実際、課長が男性社員にデートに誘われる場面を何度か見たことがありますが、どれも秒でお断り。実は僕も、そんな彼女に恋をしている1人でした。
1年前、初めて課長のもとに配属された当初はよく怒られていました。
「ちょっと、会議資料が1ページ抜けてるわよ」
「す、すみません…」
細かな指摘が多く、その厳しさに僕は毎日胃がキリキリしていました。でも、ある日ふと褒められたのです。
「うん、この書類よくまとまってるわ。報告書のお手本にしようかしら」
そのひと一言がうれしくて。他にも、課長にはかわいい一面があって……。
ある日、コンビニでとあるキャラクターのグッズを前に悩んでいる課長を見かけました。
「う~ん…キミ、うちに来る?」
ぬいぐるみに話しかけているその姿は、いつものクールな表情とのギャップがあり、僕の胸はドキドキしました。
偶然の再会、そして急接近
そんなある日、終電を逃した姉が僕の家にやってきました。驚いたのは、その姉が大学時代の友人として課長を連れてきたことです。
「安心して~! 家の弟、彼女いない歴=年齢だから変なことしないって~!」
「ちょっ…姉ちゃん、なんで…課長!?」
どうやら2人でライブに行った帰りに飲みすぎて、帰れなくなったらしく……。僕の家に、課長が泊まることになりました。
「急に訪ねてごめんなさい…どうかお構いなく」
「そ、そんなこと…!」
僕の家でくつろぐ課長は、私服姿で普段よりもずっと柔らかい雰囲気。酔った姉の隣で、僕と課長の会話は自然と弾みました。
「心配しないで?さっきお姉ちゃんが言っていたことは、誰にも言わないから」
「私も、恋愛したことないの…あなたと一緒よ」
まさかの発言に、僕は心臓が飛び出しそうになりました。
少しずつ縮まる2人の距離
数日後、帰宅途中の電車で偶然課長と乗り合わせました。彼女のピアスに髪が引っかかっていたのを取ってあげた瞬間、電車が大きく揺れて……。
「きゃっ」
思わず僕の胸に飛び込んできた課長。
「ご、ごめんなさい…」
耳まで真っ赤に染まった彼女の顔が、今でも忘れられません。
その後も、課長は少しずつ僕に心を開いてくれるようになりました。指輪が抜けなくなったと頼まれ、取ってあげたこともありました。そんなとき、彼女がポツリとひと言。
「私…こういうときに冷たく断っちゃうから、よく”氷のような女”って言われるの…」
「そんなことないです。はっきり言える課長、僕はカッコいいと思ってます!」
彼女は彼女なりにみんなからの誘いを断っていることを気にしていたのです。僕のその言葉に、彼女は小さく「ありがとう」と笑ってくれました。
真っ赤になってしまった顔
年末、会社の忘年会でのこと。いつもより飲み過ぎてしまった課長を、僕は再び自宅に招くことに。課長は、以前姉が置いていった服を着て、僕の隣でアイスを食べながら無防備な笑顔を見せました。
「飲んだ後のアイス、最高ぉ♡」
酔っているとはいえ、あまりの距離の近さに僕の心拍数は上がりっぱなしでした。課長は、真っ赤になった僕を見て「顔赤くない? 酔っぱらったの?」とニヤニヤしていました。
「これは…課長が近くにいるから…」
僕がふとこぼした言葉に、課長は一瞬固まったようでした。
「…私のこと、怖くないの?」
「怖いだなんて思っていません! 僕は…課長が好きだから…!」
思わず口走った僕の告白に、彼女は小さく笑って言いました。
「うれしい、両想いだったのね、私たち♡」
その後の2人
こうして、僕と課長は恋人同士になりました。とはいえ、職場では相変わらず彼女はクールで厳しい上司。
「ここ、引用するデータが間違ってるわよ」
「す、すみません!」
でもプライベートでは……。
「今度、温泉行かない?恋人と旅行って憧れてたんだ♡」
浮かれて僕の腕に絡んでくる彼女を見ると、「氷のクイーン」だなんて信じられない気持ちになります。
初めての恋に戸惑いながらも、彼女は少しずつ、僕だけに笑顔を見せてくれるようになりました。これからも、僕たちのペースで恋愛を進めていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されてないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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