厳しい下積み時代
料理人を目指していた私の教育担当となったA男は、常に厳しい指導をしてきました。しかし、その厳しさは不条理なもの。私を一人前にするためではなく、「女をさっさと辞めさせたいから」というのが根本にあったようです。
私に用があるときはいつも「そこの女!」と呼び、ひどいときには「お前」呼ばわりされることも。料理の技術などとは関係のないところで難癖をつけ、何一つ教えてくれるどころか、本人も料理をサボって他の同僚たちに任せてばかり。
さらには「高卒で何も知識のないやつがいきなり来てもさ……。教えるほうの身にもなってくれよ。今どき料理学校くらい出ておけ」と私を見下す始末。
私はA男の言動にもめげず、「将来自分の店を持つ」という夢のために一生懸命頑張ってきたのです。
上司の態度は悪化するばかり
修行を始めて10年がたち、私にも女性の後輩ができました。後輩たちは同じ女性料理人である私によく懐いており、休憩中には楽しく話をするほどの仲になっていました。
ある日、私たちが楽しそうに話をしていると……。「いつまでペラペラ話しているんだ! 少しは真面目に働け! だから女は……」とA男が怒鳴ってきました。
A男は相変わらず私に嫌みったらしく接し、他の従業員にもキツく当たるようになっていたのです。そんなA男のせいで職場の雰囲気は悪化の一途をたどっており、後輩たちの中には不満を持っている人もいました。
それからさらに8年後……。A男の態度は相変わらずでしたが、私は何とか一人前の料理人になることができました。そしてついに、念願だった自分のレストランを持つことになったのです。
開店から1カ月、突然の電話が
私がレストランをオープンさせると聞いたA男は、苦虫をかみつぶしたような顔で私のことを見ていました。
そんなA男ともおさらばです。長年お世話になったお店を辞め、いよいよ自分のレストランで仕事をスタート。数十人のスタッフと一緒に、どうすれば店が繁盛するのか真剣に考え、いろいろと試行錯誤をする日々に突入したのです。
オープンから1カ月が経過したある日、私のレストランにA男から電話がかかってきました。
A男は、うちのレストランの経営状況を聞き、「1週間後に100人の予約を取りたい」と言ってきました。どうやら、慰労会を開きたいということで1人1万円程度で料理を提供してほしいとのこと。
私はもちろん快諾。そして、100人分の料理を用意するため、できる限り準備をすると約束しました。
「やっぱり、キャンセルで!」
1週間が経過し、慰労会の日になったのですが……。予約時間になってもA男が店に現れる様子はありません。それどころか、A男関係のお客様は誰もやって来ません。
私がA男に電話をすると……。「お前、100人の予約って本気にしたのか? そんなわけねーだろうが」と笑いながら暴露。そう、レストランに来る気は最初からなかったのです。
しかし私はまったく動じませんでした。実は、「A男のことだから何か裏がある」と思っていたのです。
A男は、「もしかして、もう100人分の料理をテーブルに運んじゃった?」とあおってきましたが、私は冷静に、「そんな予約、入ってませんけど?」と返してやりました。
助けてくれたのは
初めから不信感を抱いていた私は、今もA男と同じお店に勤めている元同僚にヘルプを求めました。すると、私を慕ってくれていた後輩たちが、A男がニヤニヤ顔で私に電話をしている姿を見かけ、その様子を録画して私に送ってくれたのです。
おかげで私は、A男のくだらないウソにだまされることはなく、100人分の料理を作ってしまうという事態を避けることができたのです。
私の店は、キャンセル料の規定を明示しており、いたずらの予約を入れられたということでA男に迷惑料を請求しました。後輩たちから送られた動画が証拠となり、A男は言い逃れできない状況に。食材を無駄にしかねない悪質ないたずらということで、同業者としても見過ごせないとオーナーから厳しく叱られ、減俸・降格処分されて異動になったそうです。
私は、自分のレストランに力を入れ、お客様に喜んでもらうために毎日頑張っています。夢は実現したけれど、まだまだこれからです。
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長年の嫌みや嫌がらせだけの果てに、100人分の予約詐欺だなんて、同じ業界に勤める料理人として許せないですよね。これからはこんな元上司に手を焼くことなく、レストランの繁盛に向けてまい進してほしいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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