お互いの近況を報告する中で、私が同じく大学の同級生である夫と結婚し、7歳の娘がいることを話すと、彼女は「うらやましい!」と笑って、詳しく私たち夫婦のことを聞いてきました。私たち3人は大学時代からの知り合いなのです。
仕事に家事、育児と目まぐるしい毎日だと私が話すと、彼女は「充実しているね」と言ってくれました。一方、独身の彼女は代わり映えのない毎日だと言いますが、それはそれで気楽な面もあるはず。ないものねだりだねなんて話をして、その日は会話を終えました。
ラブラブだった夫婦関係は過ぎ去り…
私と夫は大学卒業後から付き合い出し、3年の交際期間を経て、結婚して8年。ラブラブだった夫婦関係はとうに過ぎ去り、様々なことが重なって、一時は真剣に離婚を考えたこともありました。
学生時代の夫は、優秀で人当たりも良く、女性からの人気もありました。安定した企業に入社し、順風満帆な社会人人生をスタートさせましたが、長く一緒にいれば今まで見えていなかった部分も見えてくるものです。
最近も私は精神的につらい時期が続いていましたが、離婚には踏み切れず、何とか家族を続けていました。時々、夫が娘を連れて丸一日外出してくれるので、その時間を自分のための休養にあて、何とか気持ちを立て直す日々。
そんなある日、夫が娘を連れてアミューズメントパークへ出かけてくれました。
「パパとお出かけ楽しかった?」
今から帰ると連絡を受けたとき、娘が私に……。
「うん、お姉さんとたくさん遊んだよ」
「今度ママと話したいって!」
「え……?」
娘の言葉に、私は得体の知れない不安を覚えました。
娘に伝言を預けた「お姉さん」
娘によると、一緒に遊んだのは夫の女友達で、「お姉さんがいたことは、ママには内緒だよ」と娘は夫に口止めされていたそうです。しかし、娘はその女性から私への伝言を預かっていたため、私に事実を話してくれました。
娘が女性から預かった伝言というのは「お姉さんもママと話したい」という内容。さらに娘は、私への手紙も預かってきていました。その手紙には「お会いしてお話したいことがあります」と綴られ、最後に日時と場所が書かれていました。
私は嫌な予感を覚えながら、指定された日時に、指定されたお店へ行くと、そこには夫と見知らぬ女性が親密そうに話している姿が……。夫の不倫を確信した私は2人に突撃はせず、すぐにその場を離れ帰宅。
すると、先日連絡をくれた友人から電話がかかってきました。戸惑いながら私が電話に出ると「ねぇ、娘ちゃんから私の手紙受け取らなかった?」と聞いてきたのです。なんと、娘が言っていた「お姉さん」とは、彼女のことでした。
大学時代とは雰囲気が変わっていたため一目では分かりませんでしたが、手紙で指定されたお店で夫と密会していたのは彼女だったのです。彼女は自ら不倫の事実を暴露し、さらに信じられない言葉を続けました。
夫との関係は5年前に1度、そして1年前から再び始まったこと。かつて音信不通になったのは、1度目の関係を夫から清算され、ひどく落ち込んでいたからだと言います。
さらに彼女は、「子どもが生まれてから、彼はあなたのことを女性として見られなくなったって言ってたよ?」「家庭に安らげる場所がなくて、私といる時間が一番自分らしくいられるんだって♡」と言い、最後には「夫がつらいと感じるのは妻に問題があるってことでしょ? 離婚しなさいよ」とまで言い放ちました。
電話を切った後、彼女は夫との親密な写真を複数枚とともに、「私とのほうがお似合いでしょ? 身を引いてよ」というメッセージを私に送りつけてきたのです。彼女の発言には頭にきましたが、しかしそのおかげで私の迷いは完全に消え去りました。彼女が送ってきた写真には、肉体関係があったことを物語る写真もあり、思わぬ形で不倫の証拠を手に入れた私は離婚を決意。
夫には愛想が尽きたので、のしを付けて彼女に夫をプレゼントすることに。彼女へは「夫は差し上げます」とだけ返信しました。
彼女は知らない夫の現在
その日の夜、何事もなかったかのように帰ってきた夫に、私は離婚を宣言。彼女から送られてきた写真を見せて、弁護士にも依頼して慰謝料も請求すると告げました。私からの突然の離婚宣言に、夫は大慌て。土下座までして「離婚したくない」と泣きつきました。彼女とは遊びの関係で、一番大切なのは私と娘だと訴えましたが、私の決心は揺らぎませんでした。
その後すぐ、私は弁護士を立てて離婚協議を進め、離婚が成立し、元夫にも友人にも慰謝料を請求しました。彼女は元夫に支払ってもらい、再婚するつもりだったようですが、それは不可能。実は、夫は1年ほど前に勤め先で上司と揉めて、自ら退職しています。希望の会社に転職できず、現在は契約社員として働いていますが、収入はごくわずか。生活は、私の収入で成り立っていたのです。きっと元夫は、彼女にはそのことを話していなかったのでしょう。
結局、元夫は財産分与したお金で自分の慰謝料を支払う形となり、手元にお金はほとんど残りませんでした。想像とは異なる結果となった彼女は「彼を返すから慰謝料は勘弁してほしい」と言ってきましたが、今さら元夫を返却されても困るので、きっぱり断りました。
その後、2人がどうなったかは知りません。私は慰謝料を受け取った後、彼女とは完全に縁を切り、元夫とは養育費のやり取りのみの関係となりました。これからは娘と2人、穏やかで幸せな人生を歩んでいきます。
◇ ◇ ◇
信じていた人に裏切られた悲しみは、簡単には癒えないものだと思います。それでも、自分の足で立ち上がって前を向いたその勇気が、未来への扉を開いたのですね。困難を乗り越えたお母さんと娘さんのこれからの毎日に、たくさんの笑顔が訪れることを願っています。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。