仕事を続ける私に対し、義母は「外で遊ぶのが目的なのだろう、どうせ不倫でもしているに違いない」と、ありもしない疑いまでかけてくるのです。あまりに突飛な発想に、ただ困惑するばかりでした。
四六時中、離婚を迫る義母
私たち夫婦にまだ子どもがいないことを理由に、義母の言動はさらにエスカレート。「いつまでも仕事をしているから妊娠できない」「子孫繁栄の気がないなら離婚しろ」とまで言われるようになりました。幸い、同居はしていないので顔は合わせないのですが、義母からの「仕事をやめろ」「子ども作れ」「言うことを聞かないなら離婚しろ」などという連絡が、昼夜問わず四六時中届くのです。
すべてに反応していたらキリがない……そう思い、私は夫に相談して義母からのメッセージを通知オフ、電話も出ないようになりました。すると、私に言っても意味がないと諦めたのか義母は、今度は夫を標的にしました。朝昼晩、仕事中もお構いなしに電話をかけ、私と別れるよう説得を続けたそうです。夫が義母を着信拒否にすると、再び私に連絡が来るという堂々巡りでした。
「もう連絡はやめてほしい」と伝えても、義母は「あなたたちのためを思っているのに、悪者扱いされるとは心外だ」と怒るだけ。最近では、そんな義母の態度に義父も夫も距離を置くようになり、それすらも義母は「あんたが嫁いで来てからすべておかしくなった」と私のせいにするのでした。
話し合いは平行線をたどり、解決の糸口が見えなかったため、私たち夫婦はしばらく義母からの連絡を一切相手にしないことに決めました。
緊急の連絡とは…?
それから1カ月が経ったある日、義母から緊急の連絡が入りました。義父が急逝したというのです。そして、葬儀の準備があるから、夫と一緒に急いで帰ってきてほしいと……。しかし、私はその頼みを断りました。
「義理の父親の葬儀を欠席?」
「帰ってこないなら息子と離婚させることも検討しますから」
私の返事を聞いて激昂した義母は、「言うことを聞かないなら、息子と離婚させる」と憤ります。しかし、私には断るだけの、確かな理由があったのです。
「お義父さんなら一緒ですが……」
「は?」
私の言葉に、義母はひどく動揺し、慌てて電話をかけてきました。電話に出るや否や義母は、私が嘘をついていると言って罵声を浴びせます。そして、必死に何かを言い募りますが、その言葉の端々から義母の嘘が露呈します。
「あんたと一緒にいるわけないでしょ!? お父さんは昨日から出張で、あっ……」怒りのあまり、自ら嘘を告白してしまった義母。私はわが家でお茶を飲む義父の姿を写真に撮って、義母に送りました。本当に私と義父が一緒にいるとわかると、義母はついに観念し、自分が嘘をついたことを認めました。
義母からの連絡を無視し続ける私たちが、義父の訃報を聞けば飛んで帰ってくるに違いないと考え、義母は一芝居打ったとのこと。私に仕事を辞めろと迫ったことも、離婚させると脅したことも、すべては私たち夫婦のためだったと義母は言い訳。隣で話を聞いていた義父は、ただただあきれていました。
義父があきれるのも無理はありません。なぜなら、その言い訳さえも嘘だからです。義父は、毎日のように私の悪口を義母から聞かされていたのです。義母はシンプルに、私が言うことを聞かないことが気に入らず、毎日毎日嫌がらせのように連絡をしていただけだと義父が話してくれました。
愛想を尽かされた義母の末路
実は、義父がわが家に来ていたのは、義母から逃れるためでした。長年、家事もせず散財を繰り返し、人の悪口ばかり言う義母に愛想が尽き、離婚も考えていると打ち明けてくれました。
10年ほど前のことですが、義母は散財によって借金を作った過去もあるそう。義父はそれがずっと心に引っかかっていたようですが、今回の嘘が、義父の決意を固める最後の一押しとなりました。
離婚を切り出され大慌ての義母は、今までの態度を反省していると必死にアピールしましたが、義父の決心は変わりません。行き詰まった義母は、私に「私たちの離婚を阻止してくれたら、あんたのことを認めるわ」と、とんでもない提案をしてきましたが、もちろんお断りしました。
その後ほどなくして、義父母の離婚は成立。行き場をなくした義母は、荷物をまとめて故郷に戻ったそうです。しかし、義母のご両親はすでに亡くなっているので、きっと今ではひとりでさみしい生活を送っていることでしょう。
私たち夫婦も、義父母の離婚を機に義母とは完全に縁を切りました。長かった苦しみからようやく解放され、今は夫婦で穏やかな毎日を過ごしています。この笑顔の日々を、これからも大切にしていきたいです。
◇ ◇ ◇
義母は、家族全員から見放されるという形で、自らの行いが招いた結果と向き合うことになりました。過去の行いは消せませんが、これを機に自分を見つめ直し、これからの人生を誠実に歩んでいってほしいと願うばかりです。関わる人みんなに思いやりを持って接したいものですね。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。