記事サムネイル画像

「当店は敷居が高いので、車椅子では入れません」…はい!?横柄な態度の女将の勘違いとは

両親と3人で暮らしている私は、両親の還暦を祝うためにとある高級料亭で食事をすることに。ところが、料亭に着くと中学の同級生・A子の姿が。なんとその料亭の女将として働いているというのです。さらにA子から、とんでもない言葉を浴びせられ……!?

 

つらかった中学生時代

私の母は、その昔、交通事故が原因で脚が不自由になってしまい、車椅子での生活を余儀なくされました。私が幼いころは外に出るのもひと苦労だったため、母はいつも私のために本を読み聞かせてくれていました。

 

私が中学生のころ、同じクラスにA子という女の子がいました。しかしA子は、授業参観日で学校に来た母の姿を見てひと言。「あんたの母親、車椅子でめちゃくちゃ幅取っているじゃない。迷惑なんだけど」とありえない発言をしてきたのです。

 

A子は性格に難があり、友だちはまったくと言っていいほどいませんでした。反対に私には友だちが多かったため、A子にとっては憎い存在だったのかもしれません。

 

それにしても、車椅子の母のことをバカにするなんて……。私は悲しみと怒りでいっぱいに。しかし言い返して同じ土俵に立つものか、とスルーを決め込みました。A子からの嫌みは私が転校するまで続き、中学の思い出はつらいものばかりになってしまったのです。

 

還暦祝いで旅行へ

それから数十年後、父母が還暦を迎えるということで、3人での旅行をプレゼントすることにした私。どこがいいか聞いてみると、私が中学生のころに住んでいた街に行きたいと言われました。

 

私は一瞬悩んだものの、A子と遭遇する確率は限りなく低いと思い、1泊2日で旅行の手配を完備。しかし、驚いたことに、街に着いてすぐなんとA子と再会してしまったのです。私たちが駅からタクシーで移動しようと列に並んだところ、後ろから駆けてきて前に割り込んだのがA子でした。

 

おまけに、勝手に母の車椅子にぶつかっておきながら、不機嫌そうに舌打ちをしたのです。

 

数秒後、私の顔を見て気が付いたA子は、「本当、車椅子って幅取るわよね」と言い放ち、来たタクシーに乗って行ってしまいました。

 

 

両親が向かった先は…

A子のせいで嫌な思いをしたものの、お祝いの場だと気を取り直した私たちは旅行を楽しむことに。思い出の場所を巡って、ホテルでゆっくりと過ごしました。

 

翌日、この地域で昔から営まれているという高級料亭に行くことになった私たち。実は、母の昔からの縁もあったので、その料亭を訪れるのも目的の1つだったのです。

 

しかしここにきて、A子の実家が高級料亭だったということを思い出した私。まさかと思いつつ、不安を抱えて料亭へ行ってみると……。

 

私たちを出迎えたのは、なんとA子だったのです。そして「当店は敷居が高いので、車椅子では入れません」と言いました。これにはさすがの私たちも、我慢の限界に達しました。

 

A子とは言い争う価値もないと考え、私たちは無言できびすを返しました。そして、別の店へ行こうと思い、タクシーを捕まえようとしたのです。

 

暴走は止まらず

帰ろうとする私たちに向かって、A子は失礼な発言を続けました。すると、店内から板長が慌てて飛び出てきて、A子を制したのです。

 

「いいかげんにしてください! 車椅子のあの方は、グループ会社のオーナーですよ!?」

 

実は私の母は大企業のオーナーを務めており、子会社もたくさん抱えていました。この高級料亭もその1軒だったのです。

 

A子は顔を真っ青にしてあわあわ言っていましたが、時すでに遅し。やってきたタクシーに乗った私たちは、振り返らずにその場を去りました。と、すぐさま母の元に板長から電話が。この板長はA子の父親で、直接謝罪がしたいと言うのです。

 

母は静かに言いました。「私の会社の傘下にある店なのだから、しっかり見ておかなくちゃね」

 

料亭に戻ると……。「大変申し訳ありませんでした!」と土下座するA子と板長の姿がありました。

 

「敷居が高い」の意味は

なぜこんなにも態度の悪いA子が女将になっていたのか、気になったという母。聞けば、A子の母親が家を出てしまったため、人手が足りずに娘を女将にするしかなかったのだとか。

 

A子はなおも言い続けました。「でも、うちは敷居が高くて車椅子では入れないでしょ……」と。

 

私は気が付いたのです。この「敷居が高い」という表現、A子は本気で「バリアフリーではないから車椅子だと利用しづらい」という意味で言った様子。しかし本来の意味は、「格式が高い家や店に行きにくい」というものです。私が指摘するとA子はきょとん。「女将修行の前に日本語もしっかり学んでちょうだいね」と母に言われて顔を真っ赤にしたのです。

 

その後私たちは、平謝りする板長に豪勢な料理を振る舞ってもらい、無事に還暦祝いの旅行を終えることができました。

 

一方のA子はゼロから修行することになり、すっかり生気がなくなってしまったのだとか。心を入れ替えて、立派な女将になってくれたら、また傘下のお店で働いてもらいたいと思っています。

 

--------------

車椅子の方への暴言は人としてありえません。相手がオーナーでなくてもそれは同じです。誰もが住みやすいように、一人ひとりが心のバリアを取り払い、バリアフリーな世の中を作っていきたいですね。

 

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 

ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!

ベビーカレンダー記事制作の取り組み
  • \ この記事にいいね!しよう /
    シェアする

    • コメントがありません

    この記事の著者
    著者プロファイル

    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

    読者からの体験談をお届けします。

    同じ著者の連載

    新着記事が配信されたら、メールやプッシュ通知でお知らせ!
  • 気になる記事をまとめ読み

    人気連載

    新着連載

    連載完結

    もっと見る

    注目記事を探す

    人気記事ランキング

    アクセスランキング
    コメントランキング

    お得な無料キャンペーン

    エンタメの新着記事

  • PICKUP