救急車を呼んだ結果
焼肉をおいしく食べていた後半、息子が急にソファ席に横になり「おなかが痛い」と言い出しました。最初は機嫌よく食べていたのに、表情はみるみる曇り顔になっていったのです。「トイレに行っておいで」と伝えても、「それとは違う痛み」と首を振りました。
お会計を済ませて車に乗ると、痛みはどんどん強くなり、しまいには泣き出した息子。後部座席で体を丸める姿を見て、胸がざわつきました。
息子は小さいころ便秘気味で、薬を処方されて服用が続いた時期があったほどです。最近は調子がよかったため、服用は中断していました。そのため、「また便がたまっているのだろう」と思った私。一方で夫は「盲腸だったらどうするんだ!」と心配し、救急車を呼びました。
病院でレントゲンを撮ると、「便がたくさんたまっているね。浣腸しようか」と医師。やっぱり便秘か、と胸の中でつぶやきました。処置のあと、息子の表情は緩み、ようやくほっとした笑顔が見られました。
9歳になって振り返ると、ここ最近は排便の確認がおろそかになっていました。そこで今回を機に「出たら教えてね」と声をかけ直すと、今では「バナナうんちが出た」と照れくさそうに報告してくれます。
今回、私は「きっと便がたまっているだけ」と思い込み、正直なところ、最初は様子を見ていれば治るだろうと考えていました。けれど、結果的には浣腸が必要なほどの状態で、息子は本当に苦しかったのだと思います。
もしあのまま判断が遅れていたら……と考えると、夫が救急車を呼んでくれて本当によかったと、今では思います。痛みの強さや様子が「いつもと違う」と感じたら、自己判断せず、病院を受診することの大切さを学びました。そして、大人の小さな気づきが子どもの安心につながるのだと実感した私。これからも日々のサインを見守っていこうと思います。
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小児の腹痛は便秘をはじめよくある症状ですが、虫垂炎(いわゆる盲腸)などの緊急性の高い病気が隠れていることもあります。とくに、「すぐに治まるいつもの腹痛と違う」「顔色が悪い」「痛みが強くなっていく」「嘔吐を伴う」などの症状が見られた場合は早めに受診しましょう。また、「おなかを強くぶつけた可能性がある」場合も同様です。
救急車を呼ぶべきか判断に迷うときは、全国どこからでも「#7119」(救急安心センター)や、自治体の子ども医療相談「#8000」が利用できます。看護師や医師が状態を聞き取り、救急車を呼ぶべきか、受診したほうがいいかをアドバイスしてくれます。また、生後1カ月~6歳のお子さまであれば、日本小児科学会が運営するサイト「こどもの救急」で受診の必要性や対処方法を調べることができます。「腹痛・便秘」などの気になる症状を選んでお子さまにみられる項目をチェックすると、夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうか、判断の目安を提供してくれます。こちらもぜひ活用してください。
小さな異変に気づく力は、日々の観察から育つもの。親の「勘」も大切にしながら、迷ったときにはためらわずに相談や受診につなげましょう。
※「虫垂炎」は「盲腸」と呼ばれることもありますが、盲腸は病名ではなく、虫垂の根元にある大腸の一部のことを指します。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:前田美沙/40代女性/4歳と9歳を育てるワーママ。情報サービス企業に勤務。趣味はランニング。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年7月)
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