「里帰りはやめてくれ。すぐに戻ってきてほしい」と夫。義母が「嫁ぎ先で産んで当たり前、自分よりも先に嫁側の母親が赤ちゃんを抱っこするなんてありえない」と言って怒っているとのこと。
一方的な言い分に、私は耳を疑いました。
嫁は婚家で子どもを産むもの
そもそも里帰りを決めたとき、夫も「そのほうが安心だ」と賛成していたはず。義母から反対されただけで意見を変えるなんて、理解に苦しみます。
陣痛が来ても夫は近くにいられないでしょうし、出産後は私ひとりで家事や育児を担うことになります。どう考えても里帰り出産が安心だとわかるのに、夫は「帰ってこい」の一点張りです。
これから2人で子どもを育てていくというのに、夫が味方になってくれないなんて……私はこれからのことが不安で仕方ありませんでした。
その翌日、今度は義母本人から「私の時代は、嫁は婚家で子どもを産むのが当たり前だったのに……」と電話がありました。
さすがに義母は「今すぐ戻ってこい」とは言いませんでしたが、それでも「早く戻ってきてちょうだいね? 普通は夫の両親に最初に孫を見せるものなのよ?」と圧力をかけてきます。
しかし私も譲れません。体調が落ち着くまでは実家にいるつもりだと言ったところ、義母はわざとらしく大きなため息をつき「こっちで面倒を見るから、なるべく早く帰ってきてちょうだい」と言いました。
産後の不安定な時期に慣れない義実家で生活するなんて、私には考えられません。私が答えに詰まっていると「せっかく好意で言っているのに…そういう態度なら、私にも考えがある」と不穏な言葉を残し、義母は電話を切りました。
産後すぐに同居する!?
その数日後、夫が「お前が『すぐ戻る』って言ってくれれば丸く収まったんだよ。俺まで母さんに責められて、本当に気まずい思いをしてるんだ」と、再び電話をかけてきました。
本来であれば私や赤ちゃんを第一に考えてほしいのに、夫は自分のことばかりです。話はさらにとんでもない展開に……。なんと夫は、里帰りから帰ってきたら、義両親との同居の話を進めると言います。その上「同居を拒むなら離婚も視野に入れる」とのこと。
いつかは同居を、という話は以前からちらほら挙がっていましたが、体調も気持ちも不安定な産後にわざわざ同居をするなんて、ありえません。それに、こんなにも夫が義母の肩を持つとは思いませんでした。
母としての決断
意を決し「同居は受け入れられないし、このまま一緒に暮らすことも難しい。だから、離婚を選びます」と私が言うと、夫は黙ってしまいました。すんなり同居に応じるとでも思っていたのでしょうか。
そして「まさか、本気で離婚するっていうのか!? これから子どもが産まれるのに……」離婚を言い出したのは夫のほうなのに、急に焦り始めたのです。
結局夫は「わかった。離婚はやめる。同居の話もいったん白紙に戻すから、考え直してくれ」と手のひらを返しました。
しかし、もう夫への信頼はなくなりました。もう離婚に向けて気持ちは固まっています。「何を言ってももう気持ちは変わらない」と伝え、電話を切りました。そしてすぐに両親に事情を話し、子どもとの生活の準備を進めることにしたのです。
離婚、その後——
その後、私は無事出産。入院中、夫が私の実家に謝罪にやってきたそうですが、私の両親から淡々と説教されたようです。私の意思が固いと知り、離婚に同意すると言って帰っていったと聞きました。
しかし、黙っていられなかったのが義母です。後で両親から聞いたのですが、実家にも電話をかけてきて散々暴言を吐いてきたようです。
一方の私は、両親のサポートを受け、安心して子育てをスタートできました。赤ちゃんとの生活は思った以上に大変で、どう考えても義実家への滞在や同居の開始は無理だったことでしょう。悪くすると、体調を崩したり気持ちを病んだりしていたかもしれません。
あのとき、自分と子どもの命を優先する決断をして本当に良かった――。まだまだ新米ではありますが、周囲の圧力に屈せず、わが子を守る強さを発揮できたことで、「お母さん」としての第一歩を踏み出せたような気がしています。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
えーと、どこにそんな描写が?