人の持ち物や暮らしをうらやみ、文句を言う夫。私が昇進したときも「なんでお前だけ」と拗ねるような人だったのです。
「ズルイ! 俺も青春を取り戻したい!」
ある日、夫が独身時代の友人に会ってきたと嬉しそうに話しました。
「あいつ、フリーランスになって海外を旅しながら仕事してるんだって! ズルい! 俺だって海外行きたい!」
私が「じゃあ次の長期休みに家族で旅行に行きたいね」と提案すると、夫は顔をしかめてこう言いました。
「何言ってんの? 俺は1人で行きたいんだよ! 俺も青春を取り戻したいの! 嫁と子どもがいたら意味ないだろ!」
私と娘が邪魔と言わんばかりのその言葉に、私はショックを受けました。
勝手にひとり旅へ行った夫
数週間後、夫が急に荷造りを始めました。理由を聞くと、「有給を全部使って、海外に行って来るわ。邪魔すんなよ!」とあっけらかんと言うのです。その日は、家族で動物園に行く約束をしていた日でした。
私は怒り心頭。家族との約束を破り、相談もなく勝手に1人で海外旅行に行く夫の背中を見ながら、「このままじゃダメだ」と思いました。
実家への帰省と宣言
「パパがそんなに1人になりたいなら、1人にさせてあげようね~!」
私は娘を連れて実家に帰りました。
旅行から戻った夫は、家が空っぽになっているのを見て慌てて電話をかけてきました。
「今どこだ?! 俺が悪かった! 帰ってきてくれ!」
けれど私は毅然と告げました。
「あなたはいつも人のことばかり妬んでばかり。自分も海外に行きたいからって、私に相談もなく1人で旅行に行って『邪魔するな』なんて……家庭があること、忘れてない? 本当、信じられない。家族をないがしろにするなら、離婚を考えてる」
夫の変化と再出発
事の重大さを思い知った夫はその後、反省の色を見せ始めました。家中をピカピカに掃除し、花を買って実家に迎えに来てくれました。
「ごめん。俺が欲しかったのは“青春”じゃなくて、お前と娘と一緒に過ごす時間だったんだ。離婚はしたくない。これからは家族を一番に行動するよ」
不器用ながらそう言って涙を浮かべる夫の姿に、私はしばらく様子を見てみようと心を決めました。今では、夫は休日に率先して娘と遊び、料理の手伝いもしてくれるようになりました。何かにつけて「ズルい!」と嘆いていた夫が、「ありがとう」を口にするようになったのです。
家族の形は少しずつ変わっていくもの。試練を経た今、私たち家族は穏やかに、楽しく暮らせるようになりました。夫が変わってくれて、家族と向き合ってくれてよかったと心から思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。