しかし、返ってきたのは「生活費、どうするの?」という冷たい言葉で……?
倒産から始まった夫婦の不協和音
「俺の稼ぎだけじゃ、家賃すら払えないんだぞ? わかってるよな?」と、なぜか高圧的な夫。夫の稼ぎはお世辞にも多いとは言えず、家賃や生活費は共働きをすることでやっと払えているのが現状です。心配な気持ちはわかりますが、それは私も同じです。
本当ならもっとやさしい言葉をかけてほしかったと思ったものの、気を取り直して「良い機会だと思って、前から興味があった資格を取ろうと思って。再就職はそのあと考えたい」と伝えました。
すると夫は不満げな顔で「働かないつもり?」と返してきました。そうはいっても、当面の生活費をまかなえるくらいの蓄えはあります。それを切り崩しながら生活するつもりでいました。
そう伝えると夫は気まずそうに頭をかき、「あー、その貯金なら、もうないぞ」と言ってきたのです。
数百万円はあったはずの、独身時代からコツコツと貯めてきた私の貯金。夫を問いただすと、私に断りもなく義母に渡していたのだとか。「母さんが生活に困ってるって言うから……」と夫は言い訳します。
私は「夫婦といえど、勝手に渡すなんて許せない」と怒りを抑えきれませんでした。
すると夫は逆ギレ。「……うるさいな。お前がまた働いて貯めればいいだろ?」と開き直るのです。信頼関係は、音を立てて崩れていきました。
義母からの追い討ち
数日後「息子から聞いたわよ! 無職になったって本当!? 恥ずかしいから誰にも知られないようにしなさいね!」と義母から連絡がありました。突然の倒産で、私自身も将来への不安でいっぱい……。それなのに義母は、私の気持ちなどお構いなしに責め立て、励ましの言葉をかけてくれることはありませんでした。
「うちの息子は若いのに出世コースで、親孝行もしてくれるのよ。私が友だちと旅行に行くときも、お小遣いをくれるの。あなたも見習いなさい!」と義母。
夫の手取りから義母にお小遣いを渡すなど到底無理でしょう。おそらく、夫は私の貯金を崩して義母にお小遣いとして渡していたはずです。その事実に気付き、私はがく然としました。
なにかあったときに備えて貯めておいたお金なのに……。そんなこともつゆ知らず、義母はひたすら私を責め、息子を褒め称え続けるのでした。
夫が私の貯金を使い込んだワケ
その日の夜、私は夫に静かに切り出しました。「お義母さんから電話があったよ。ずいぶん『良い息子』してるんだね。旅行のたびにお小遣いを渡してるって?」
「仕方ないだろ? 母さんに心配をかけるわけにはいかないよ。俺、自慢の息子なんだから!」と目をそらした夫。虚勢をはるために私の大切な貯金が使われていたなんて、納得がいきません。
ちなみに、夫は出世コースを歩いているとは言い難く、義母に話しているのは単なる見栄。「母さんに余計なことは何も言ってないよな?」と念押ししてくる様子を見ると、生活を支えているのが私の収入だとは、義母に話してなどいないでしょう。
私は「何も言ってない。でも私の口からバラされたくなかったら、ちゃんとあなた自身の口で訂正してくれる? あと、使い込んだ私の貯金はちゃんと返済してもらうからね」と夫にキツく言いました。
すると夫は「そんなことできるか! 俺よりちょっと稼いでたからって威張りやがって! 言っておくけど、今は俺のほうが無職のお前より稼いでるんだからな! ここはもう切り替えて、とっとと仕事見つけて働けよ! アルバイトでも派遣でもなんでもいいからさ!」とイライラ。
私は深いため息をつき、もうこの人とやっていくのは無理だと、心のどこかで覚悟を決めました。「言っておくけど、今のままじゃ離婚されても文句言えないぞ? そんな態度でいるなら、今週中に仕事見つけろ。じゃないと本気で離婚するからな」と離婚をチラつかせる夫に呆れ果て、「じゃあそうさせてもらう」と答えたのです。
その週末には自分の荷物をまとめて、家を出て行きました。
夫と義母の末路
家を出て3カ月後、義母から連絡が入りました。「夫が交通事故に遭ったっていうのに、あなたはいったいどこにいるの!?」
最初は義母が嘘をついて、私にお金をたかろうとしているのかと思ってしまいました。しかし、義母はそもそも私の貯金からお小遣いが支払われているのを知らなかったはず。それに、義母の声からはこれまで聞いたことのないような切羽詰まった様子が伝わってきたので、念のため事情を聞くことにしたのです。
「手術代と入院費が必要なの! すぐにお金を用意してちょうだい!」と義母。状況はだいたい理解できました。
「私たちもう離婚したんです。もう家族ではないので、お金は持っていけません」と静かに答えると、義母は絶句。しばらくして「……本気で言ってるの?」と聞いてきたので、私は淡々と続けました。
「会社が倒産したとき『すぐに働かないなら離婚だ!』と言われたので、離婚したんです」と伝え、元夫は出世などしていないこと、義母への小遣いは私の貯金から渡されていたことなど、すべて暴露してやりました。
義母は頼りにしていた私のお金が手に入らず、困った様子。離婚後、お金に困って保険も解約したのではないかと予想します。しかしもう私には関係ありません。
「知らなかった……」と震えた声でつぶやいた元義母に、必要なお金は自分たちでどうにかするようにと伝え、電話を切りました。
その後、元夫は事故の後遺症もあり、退職を余儀なくされたそうです。治療費は義母が親戚に頼み込んで借金し、どうにか支払ったとのこと。ただ、その後の生活や返済に追われ、年金だけでは到底たりず、シルバー人材として仕事を掛け持ちしているのだとか。趣味だった旅行に行く暇もないようです。
私は、週3でパートをしながら資格を取得。ようやく新しい仕事に就きました。失ったものも大きかったですが、今は穏やかに暮らしています。
【取材時期:2025年7月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。