息子・晴人を出産し、退院した沙織に、守は「プレゼントがある」と告げます。言われるがままにクローゼットを開けると、沙織の服はすべて処分され、真っ白い服に入れ替えられていました。
「母親が派手な格好をしていて恥ずかしかった」と過去を語りながら、「沙織は理想の母親であるべき」と告げる守。その言葉に、沙織は不気味さを覚えます。
そして後日の夜。晴人にミルクをあげようとした沙織の腕を、守は「何してるの?」と言いながら突然ガシッとつかみました。
力強く腕を握りしめる手と、にこやかな笑顔――その対照的な姿に、沙織は再びゾッとします。振り向いた沙織に、守はさらにこう告げるのでした。
「晴人には母乳以外、あげちゃダメだよ」
「何してるの?」腕をつかんだ夫の真意とは
守が沙織の腕をつかんだのは、晴人にミルクをあげるのを止めるためでした。普段は母乳をあげている沙織ですが、いずれ仕事に復帰することを考え、保育園ではミルクに慣れておいた方がよいだろうと思っていたのです。
しかし守は「母親は母乳で育てるもの」という持論を沙織に押し付けます。沙織がしぶしぶ従おうとすると、「晴人は幸せ者だな」と笑みを浮かべる守。
考えは違っても、晴人を思っての言葉なのだろう――そう納得しかけたそのとき。守はボソッとつぶやきました。
「俺も、飲みたいな」
一瞬、聞き間違えたのかなと思った沙織。けれど振り向いた先で、守の手がゆっくりと近づいてきたのです。
◇ ◇ ◇
授乳の時間は、ママと赤ちゃんにとって大切なふれあいのひとときです。母乳には免疫物質が豊富に含まれており、消化吸収しやすいなどの利点がある一方、ミルクも母乳に近い栄養バランスでつくられており、どちらを選んでも赤ちゃんはしっかり育っていきます。
「母乳をあげるのが母親の仕事」「母乳じゃなきゃ」というのは考え方の一つにすぎず、夫婦であっても押し付けるものではありません。授乳方法は一つに限られるものではなく、母乳でもミルクでも大切なのは赤ちゃんが健やかに成長すること。そして、ママが無理なく続けられる方法を選ぶことです。
何より欠かせないのは夫婦や家族の理解。ママの選んだ方法を支えてもらえることが、赤ちゃんにもママにも大きな安心につながります。夫婦間でしっかり話し合い、パパがママの考えを知ることが、大切な最初の一歩です。