ここ数カ月、夫の帰りが急に遅くなりました。休日には決まって「実家に行ってくる」と1人で出かけてしまい、私が同行しようとすると、何かと理由をつけて断るのです。
家にいるときは、こそこそとスマホを確認する回数が増え、夫の行動は怪しさを増すばかり……。
夫の怪しい行動の理由とは
不信感に耐えきれず、以前、夫が義実家に行くと言って出かけたあと、義母に電話をしてみたことがあります。そのときは、本当に夫は義実家にいて、義母も「ちょっと力仕事を頼みたくて呼びつけちゃったの。ごめんなさいね。今度は2人で遊びに来てね!」と言っていました。
結婚当初から義母は気さくな人で、私も義実家のリフォーム費用を援助したり、毎月仕送りをしたりと、自分なりに大切にしてきたつもりです。
しかし、そのやさしかったはずの義母も、最近はどこかよそよそしく感じます。夫にも義母にも避けられているような気がして……私は不安になり、探偵に夫の調査を依頼。すると、その調査によって夫は元カノと不倫関係にあることが発覚しました。しかし、それ以上に衝撃的な事実が……。
なんと夫には元カノとの間に子どもがおり、それを義両親も承知の上で、義実家に元カノとその子どもを住まわせ、家族のように過ごしていたのです。探偵から受け取った報告書には、夫と元カノ、そして5歳くらいの子どもが本当の家族かのように義両親と楽しく食事や買い物をしている写真がいくつも。
さらには、夫と義母が私のことを「ATM」と呼びながら、おもちゃ屋さんで元カノの子どもへのプレゼントを選んでいたという報告もありました。私が義両親へ送っていたお金が、元カノやその子どものために使われていたなんて……あの一家全員に騙されていたなんて……私は怒りに震え、仕返しを心に誓いました。
裏切り一家に宣戦布告!
探偵から報告を受けて数日後、夫がまた1人で義実家へ行くと言い出しました。この機会を逃すまいと、夫が家を出た少しあとに、私も家を出て義実家へ向かいました。義実家に到着し、インターホンを押すと、明らかに動揺した義母が「あ、あら……どうしたの?」と震える声で出迎えてくれました。
中に私を入れないようにしているのか、玄関先で世間話をしようとする義母の横をすり抜けてリビングへ向かうと、そこには案の定、夫と元カノ、そしてその子どもの姿が……。
談笑していた夫たちの表情が、私の顔を見た瞬間に凍りつきました。しかし、数秒間の沈黙のあと、夫はため息まじりに「バレたなら仕方ない。こっちが俺の本当の家族なんだ」と平然と言い放ったのです。
「うん、知ってたよ」
私は込み上げる怒りを抑え、必死に笑顔を作って答えました。続けて、探偵の調査報告書をテーブルに叩きつけると、夫は顔面蒼白に。義両親も血の気が引いたように固まっていました。
「あなたとそちらの女性には慰謝料を請求します。そしてお義父さんとお義母さんへの仕送りも、今月からやめさせてもらいます」
私の言葉に、その場にいた全員が「すまん」「ごめんなさい」「騙すつもりはなかった」などと言い訳と謝罪の言葉を口にしましたが、もう手遅れ。私は「すでに弁護士にも相談しているので、今後のことは弁護士を通して連絡してください」とだけ告げ、義実家を後にしました。
だました代償は重かった
その後、弁護士を通して話し合い、離婚成立。私は元夫と元カノの2人に慰謝料を請求しました。離婚のための元夫との話し合いで、元カノの子どもは5歳で、私と元夫が付き合い始めたころに生まれたとわかったのです。当時は元夫もその事実を知らず、私と付き合い、結婚しましたが、半年ほど前に急に元カノが子どもを連れて元夫の前に現れたそう。そして2人は復縁し、義実家で本当の家族のように過ごすようになったのだとか。
私たちには子どもがいなかったので、元義両親は急に孫ができてうれしかったのかもしれません。しかし、私はとても許せそうにはありませんでした。
離婚からしばらくして、元夫は会社で今回の件が噂になり、居場所がなくなり退職してしまったと聞きました。元夫の会社には私を知る人も多いので、噂が広まり、後ろ指を差されてしまうのも無理はありません。
今は、元夫も元カノも慰謝料の支払いに追われ、子どもを元義両親に預けてアルバイトを掛け持ちしながら必死に働いているそうです。仲良く過ごしていた元夫たちですが、今ではみんなで責任をなすりつけ合って、喧嘩ばかりしていると、元義実家のご近所さんから聞きました。
一方、私は1人暮らしを始め、人生の再スタートを切りました。仕事に打ち込む毎日はとても充実しています。いつかまた素敵な縁があるかもしれませんが、それまでは自分らしい人生を仕事とともに歩んでいこうと思います。
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どんなに近しい存在であっても、信頼を踏みにじった人を、もう一度、心から信用することは難しいかもしれません。受け止めきれないほどの衝撃的な事実が発覚しましたが、冷静に受け止め、毅然とした態度での行動はとても立派でした。新たな人生では充実した日々が続き、素敵なご縁が見つかることを願っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。