「やっと手に入れた……!!! 大切に乗ろう♡」
洗車をするたび、鏡のように輝くボディに映る自分の姿が誇らしくて、胸が弾みました。
義妹の強引なお願い
そんなある日、義妹がうちに遊びに来ました。私の車を見るなり「わぁ、すごい! これお義姉さんの新しい車? いいなー私も乗りたい! 今度ちょっと貸して!」と興味津々です。
「ごめんね。これは私の宝物だから誰にも貸せないの」
きっぱり断る私に、義妹は不満げな顔。
夫は苦笑しながら「いや、少しくらい貸してやればいいのに……」と小さくぼやきました。その言葉に胸がチクリとしたけれど、私は首を横に振って譲りませんでした。
新車が消えた! まさか盗難!? 犯人は
翌日、仕事が遅くなり残業後に帰宅すると、駐車場にあるはずの車が見当たりません。「まさか盗まれた!?」何年も願い続けてようやく手に入れた車をこうもすぐに盗られるなんて……愕然としつつも、警察に通報しようとしました。
すると、夫が「通報までしなくても……」と、慌てて止めてきました。話を聞くと、夫が義妹に車のカギを渡したと言うのです。
夫と義妹への怒りで、おかしくなりそうでした。大切な車だとあれだけ伝えたのに、勝手に乗るなんて許せません。
夫が何度も電話をかけ、すぐに義妹に戻ってくるように連絡を入れ、その後、車に乗って帰ってきました。
「あ、お義姉さんごめんなさーい! ちょっと借りてましたぁ。乗ってみたかっただけなの~乗り心地、最高だね!」と笑う義妹。怒りで言葉が出ませんでしたが、グッとこらえて車を確認すると、数カ所に傷が入っていました。
許せない! 夫のありえない発言
「この車は、私が何年も努力して働いて、欲しいものを我慢して貯金して、やっと買った車なの。どうして勝手に……」怒りと悲しみで勝手に涙が出てきます。
夫は「ちょっと練習したいって言うからさ。傷っていっても小さいし、わざとじゃないんだし、別にいいじゃないか。形あるものはいずれ壊れるんだし」と言いました。その瞬間、心の奥で何かがプツンと切れました。
「はぁ!? 勝手に人の物を盗んで使って傷つけて、謝罪もないの? わざとじゃなければ傷つけていいの? そんな問題じゃない!」
「修理代、出してよね。きっと数十万はするから、覚悟しといて」
義妹にそう伝え、夫を睨みました。けれど夫は明確な言葉を返せず、ただ黙り込むばかり。夫と義妹の顔を見ると怒りがこみあげてくるので、私は娘を連れてしばらく近くの実家に戻ることを決めました。荷物をまとめる私の背中を、夫はただ青ざめた顔で見送るしかありませんでした。
夫の反省と謝罪を受け入れて
数日後、夫が実家に謝罪しにきました。
「本当に悪かった。妹に甘すぎた。修理費は俺の貯金と妹で払うから、許してほしい」
正直すぐに許せる気はしませんでしたが、深々と頭を下げる夫の姿を見て、許すしかないと思い至り、家に戻ることにしました。車をすぐに修理に出し、夫と義妹に修理代を支払ってもらいました。そして、「義妹とは二度と会いたくない」と伝え、会っていません。義妹も私がここまで怒るとは思っていなかったようで、自分の浅はかさを反省していると夫が言っていましたが、当分許す気はありません。
その後、修理してきれいになった車が再び私のもとへ戻ってきました。ただ、ピカピカの新車が傷つけられたこの事実は、まだまだ引きずりそうです。
夫と義妹に宝物をぞんざいに扱われ、一度は真剣に離婚が頭をよぎるほどショックを受けました。家族が大切にしているモノは、夫にも同じように尊重してほしいなと思った出来事です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。