取引先の方から、娘さんを紹介された
ある仕事中のことです。打ち合わせでわが社に来ていた、ある企業の社長さんから声をかけられました。僕も長く交流がある社長さんで、社長ながらとても気さくで若輩者の僕にもいろいろと気づかいをしてくれる方でした。仕事をするうえで、助けてもらったことも多くありました。
そんな社長さんから突然、「よかったら、娘と食事に行ってほしい」と言われたのです。突然の申し出に驚きながらも、「僕なんかでいいんですか?」と聞くと、笑いながら「娘がもっと仲良くなりたいと言っている」と。
実は娘さん(Aさんとします)も、社長さんと同じ会社に勤めていて、父娘で同じ会社で働いています。Aさんとも、仕事で何度かやりとりをしたことがありました。ただ、打ち合わせで話す程度で、そこまで密な交流があったわけではありませんでした。
まさかの申し出に驚きもありましたが、僕は後日、Aさんと食事に行くことになったのです。
初デート当日、まさかの人物に遭遇
そして食事当日。レストランの前でAさんと落ち合うと、彼女は少し緊張している様子でした。そんな姿に僕も急に緊張してしまったことを覚えています。
食事中も初めはなんだかギクシャクした感じもありましたが、共通の話題である仕事に関する話をきっかけに、徐々に緊張も解け、気づけば自然と会話を楽しめるように。
そんなタイミングで、思わぬ人物と再会することになったのです。
なんと、レストランで遭遇したのは、僕の元カノ。元カノも今交際しているのであろう男性と2人でレストランに来ていたようでした。僕たちの姿を見ると、元カノは「デートなの?」とちょっと笑いながら言いました。
さらに、Aさんの姿を見て、「地味だね」とひと言。初対面の相手にこんな蔑むような言い方……僕は「信じられない」という気持ちでした。思わず言い返すと、元カノはさらに
「あんたが地味だから、地味な女がお似合いじゃんw」
「私は高いお金を払ってもらうだけの価値のある女だから。地味なあんたと別れて正解だったね」
と笑って言ったのです。
この元カノとは、学生時代から交際していましたが、社会人になって以降、元カノはお金の使い方が派手になり、僕にもお金を求めるように。そんな彼女と今後を考えることができなくなり、僕から別れを告げるかたちで関係が終わりました。彼女の身なりを見ると、お金には困っていなさそうです。彼女の言葉から、一緒にいる男性にいろいろと払ってもらっているのでしょう。
社長令嬢の痛快なひと言
その場の空気が張り詰める中、これまで何も言わなかったAさんが口を開きました。そして、元カノに向かって落ち着いた口調で……。
「あなたが持っているそのバッグ、たぶん偽物ですよ」
と言ったのです! 彼女が口にしたのはそれだけ。まさかの言葉に、僕も元カノも一瞬「え……」と固まってしまいましたが、元カノはすぐさま反論していました。「偽物」と言われたことが許せなかったのでしょう。
これは後にAさんから聞いたことですが、Aさんは「本物」を知っており、だからこそ偽物だとわかったそうです。さすが社長令嬢だ……と思ってしまった瞬間でした。ただ「パッと見で偽物“っぽい”って感じただけで、腹が立ったからそう言った」とのこと。彼女にしか言えない、痛快すぎるひと言でした。
結局その後、元カノはわーわー喚いていましたが、Aさんは無視。元カノは隣にいた男性に引きずられるかたちでレストランを後にしていきました。
情けないところを見せてしまった
こうして初デートは、まさかの出来事に遭遇することに。「Aさんには情けないところを見せてしまったな」と、「嫌われても仕方がない」と思っていたのですが……。なんと、Aさんとはその後もデートを重ね、少しずつ距離を縮めています。Aさんの父である社長さんと仕事で会った際も「順調みたいだね」なんて言われており、なんだか恥ずかしい気持ちにもなっています(苦笑)。
ある日のデートで彼女がポツリと「あなたと一緒にいると落ち着く」と言ってくれたことが、僕にとっては何よりもうれしくて……。僕は地味で要領もよくないし、お金も持っていないけれど、だからこそ、少しずつでも誠実に向き合いながら、彼女との関係を育んでいけたらと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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