ため息をつきながら帰宅するネガティブな夫を励まそうと、私が何か声をかけると「君みたいな楽観的な人に、僕の気持ちはわからないよ」と言われてしまいます。
そんな夫でしたが、最近は何か意識が変わったのかネガティブな発言が減り、仕事に励むように。平日は終電帰り、休日出勤もするようになりました。それと引き換えに、家にいるときはいつも疲れきった様子です。
夫の体が心配で、つい口うるさくしてしまう私に、夫は「凡人は人より頑張らないといけないんだ」と……。
急に増えた夫の出費。使い道とは
そんなある日、私は夫宛に届いたクレジットカードの請求書を見て驚きました。普段の2倍以上の金額が、引き落とされることになっていたのです。私たちは生活費を折半していますが、この金額が引き落とされたら、夫は折半している分の生活費を負担できません。
私が、夫にお金の使い道を尋ねると、「このままじゃダメだと思って、勉強していたんだ」と告白しました。ビジネスセミナーや資格講座の費用だと言い、「未来のため、家計のための投資だから応援してほしい。生活費はしばらく君に頼みたい」とお願いされたのです。
事前に相談してほしかった……と思いましたが、せっかくやる気になった夫に水を差すようなことを言うわけにはいかないと思い、私は夫の頼みを受け入れました。
しかし、それから1カ月後のある日、私は衝撃の事実を知ることになったのです。
仕事帰りに買い物をしようと、いつもとは違う駅を利用した私。以前に一度だけお会いしたことがあった夫の上司に、偶然お会いしたのです。私のことを覚えてくださっていて声をかけてくれた上司。その場で少し立ち話をしたのですが、そこで私は夫の会社での様子を聞いてひどく驚きました。
残業は嘘。夫は毎日どこで何を?
「今日も遅くなるから」
私が夫の上司と偶然会った日の夜、夫からいつものように残業して帰ると連絡がありました。しかし、今日の私はすんなり「わかった」とは言えません。
「毎日残業しているのに給料増えないよね」
私がそう返すと、夫は「残業代なんて出ないよ。ブラックな職場でも踏ん張るしかないんだ。嫌みを言うなよ……」と嘆きました。
「上司に確認してみたの」
そこで私は、数時間前に偶然夫の上司と会って、話をしたことを伝えたのです。
「え?!」
すると、「何を話した!?」とひどく動揺した様子で電話をかけてきた夫。上司と話した内容について聞いてきたので、私は上司から聞いたことを話しました。
上司いわく、夫は毎日定時で退社しており、残業や休日出勤はしていないとのこと。最近は、業務中もぼーっとしていることが多く、仕事にあまり身が入っていない様子だそうで、何か悩んでいることでもあるのだろうかと心配までしてくれていたのです。
こうして、残業が嘘だったと知った私は、先月の出費の理由にも疑念を抱きました。夫は本当に資格取得のために勉強をしているのだろうか……?
上司から聞いた事実を伝えたあと、私が「今日も本当は残業じゃないのよね? それならどこで何をしているの?」と聞くと、「いや、それは……えっと、勉強だよ」と何やら言い濁る夫。すかさず私は「どこで? 何の勉強? なんで残業と嘘をついたの? 本当は何をしているの? 誰といるの? 私の知っている人?」と追及。カマをかけるような質問も織り交ぜてみました。
すると夫は「えっとー……」と少し考えたあと、気まずそうに不倫を白状してきました。なんと夫は、SNSで知り合った女性と軽い気持ちで遊び始めたものの、相手に本気になられてしまい、ずるずると関係を続けていたと言うのです。
相手の女性から離婚を求められていて困っていると情けない声で話す夫。「真剣に付き合うつもりはなかったんだ。お互い都合のいい関係だと……でも向こうはそうじゃなかったみたいで……でも僕は……」などと、ぽつりぽつりと言い訳され、すっかり夫への気持ちが冷めた私は、この瞬間、離婚を決意しました。
そのまま離婚の意思を告げ、私は最低限の荷物だけを持って家を出たのです。
不満を言うだけ。努力しない夫は…
私が家を出たあと、帰宅した夫から「どうしたら許してくれますか」と連絡がきました。夫が「許してくれるなら何でもします」と言うので、「離婚を受け入れて、慰謝料を払ってほしい」と伝えた私。すると夫は、しぶしぶ離婚は受け入れたものの「慰謝料は待ってほしい」と言い出しました。
不倫相手に「関係をバラされてもいいの?」と脅され、高価なものをたくさん買わされていたそうで、急にクレジットカードの請求額が2倍以上に膨れ上がったのは、そのせいでした。「向こうの言うことを聞かないと何をされるかわからないから、こうするしかなかった。それ以外、どうすればいいかわからなかった」と説明する夫。あまりに情けなくて、私は返す言葉も見つかりませんでした。
夫は、自分の不満の原因を周囲の環境や生まれ持った才能の差のせいだと思い込み、常に言い訳ばかりしています。現状に不満があるにもかかわらず、それを打開しようと努力することも、ネガティブで他人任せな思考を改めようとすることもありません。その延長で軽い気持ちから不倫に走り、そこでもまた不満を抱えるものの、自分で状況を変えようとはしない。そんな夫の姿に、私は心の底からあきれました。
その後は、弁護士を通して話を進め、私たちは正式に離婚。待ってと言われた慰謝料も分割で支払うことで合意に至りました。元夫の人生に深く巻き込まれる前に、お別れできて本当に良かったと思っています。元夫と不倫相手がその後どうなったかは知りませんが、2人が幸せに暮らしていける未来はあまり想像できません。元夫には、私との離婚を機に、自分のことを見つめ直してほしいなぁと思います。
私は実家に戻り、ポジティブに今の生活を楽しんでいます。素敵なパートナーと巡り会えたらいいなと思っています。
◇ ◇ ◇
現状への不満を周りのせいにして、安易な道へ逃げても何も解決しません。自分の人生に責任を持ち、行動することこそが未来を変える唯一の方法なのではないでしょうか。元夫が今回の経験から、本当に大切なことに気づけることを願うばかりです。
【取材時期:2025年9月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。