飛行機に乗れないと言われた理由
夫が関西へ1カ月もの長期出張に行っていたときのこと。当時、専業主婦だった私は、まだ幼い4歳と1歳の2人の子どもたちと毎日向き合う日々を送っていました。日に日にパパを恋しがる子どもたちの姿を見て、「よし、みんなでパパを驚かせに行こう!」と、一大イベントを計画したのです。
初めて挑戦する、子どもたちを連れての飛行機の旅。不安よりも、夫や子どもたちの喜ぶ顔を想像するだけで、ワクワクが止まりませんでした。
勢いづいた私は、その日のうちに慣れないネットで飛行機のチケットを予約。しかし、この「勢い」が、後に冷や汗だらけの事態を引き起こすことになるのです。
当日、子どもたちの手を引き、大きな荷物を抱えながらなんとか空港に到着。出発ロビーのカウンターで手続きをしようとした私に、スタッフの方から信じられないひと言が告げられました。
「お客さま、申し訳ございません。こちらの1歳のお子さまのご登録が、予約にございません」
一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。「え? この子はひざの上に乗せるので、チケットは予約していないのですが……」と伝えると、スタッフの方が申し訳なさそうにこう続けました。
「おひざの上でも、搭乗者として扱われるため、登録が必要になります。そして、あいにく本日この便は満席でございまして……。これ以上、ご搭乗者さまを追加することができない状況です」
酸素マスクの数に上限があるため、ひざ上の幼児も人数管理が必要、そう説明されました。
私は頭が真っ白になりました。チケットが必要な子どもの数を間違えたわけではない。ただ、「登録」というステップを、私が完全に失念していたのです。
「本日はキャンセル待ちも難しいかと……」という非情な言葉に、呆然としていると、「どうして飛行機乗れないの?」と不安そうな顔で私を見上げる子どもたち。その前で、泣き出したい気持ちを必死にこらえ、途方に暮れていました。
そのときです。私たちの様子を見かねたカウンターのスタッフさんが、「確約はできませんが、出発間際に急なキャンセルが出ることもあります。最後まで諦めずに待ってみませんか?」と声をかけてくださったのです。
その言葉に最後の望みを託し、祈るような気持ちでロビーの隅で待ち続けました。そして、もうダメかと思った矢先、先ほどのスタッフさんが駆け寄ってきてくださったのです。
「お客さま、奇跡的に1席だけキャンセルが出ました!」
その言葉に、思わず「本当ですか!?」と大きな声を出してしまいました。急いで1名分の登録をおこない、手続きを済ませたときは、安堵と感謝で涙がこぼれそうになりました。
波乱の幕開けでしたが、無事に夫と再会できたときの子どもたちの満面の笑みは、今でも忘れられません。大変な思いをして会いに来て本当によかったと、心から思えた瞬間でした。
ただ、この一件ですっかり飛行機が怖くなってしまった私。もともと行きのチケットしか予約をしていなかったので、帰りは「もうあんなドキドキは経験したくない……」と、迷わず新幹線を選択したのでした。ちょっぴり苦いけれど、今となっては忘れられない思い出です。
今回の失敗は、ひとえに私の確認不足が招いたものです。勢いだけでなく、一つ一つを冷静に確認することの大切さを痛感させられました。
同時に、このトラブルを通して、世の中のやさしさにも触れることができました。見ず知らずの私たち親子に、親身になって手を差し伸べてくださったスタッフの方たちには、本当に感謝しかありません。
あのときの絶望感と、助けていただいたときの安堵感は、今でも鮮明に思い出されます。完璧なママにはほど遠いけれど、失敗しながらも、周りの人たちの温かさに支えられて、子どもと一緒に成長していこうと思った出来事でした。今では家族の笑い話の一つになっています。
著者:山田朱莉/30代女性/2人の子どもを育てるアラサーママ。趣味はお菓子作り。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
※AI生成画像を使用しています
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